フランス ラ・ポストの民営化/レイバーネットML

2010-05-24 06:30:48 | 世界
3ヶ月近くも報告が遅れましたが。。。

 フランスの郵便局ラ・ポストが民営化されました。
 昨年10月に、労働組合、ATTACフランスをはじめとした様々なアソシエーション、政党などが集まってできた全国評議会で行った市民投票で、90%以上が民営化ノンという意思表示をしたにもかかわらず、法案が通過し、あっという間の3月1日からラ・ポストは、国が100%所有の株式会社ラ・ポストとなりました。
 政府はラ・ポストの株は市場には出さないと言っていますが、来年の1月にはこの資本の一部を、la Caisse des Depots et Consignation(預金供託公庫)が所有することが決
まっています。そして市場に株を公開するべく利益を上げるために、2010年から2015年までに50000人を雇用削減をする計画を立てています。

 政府が今回の株式会社への変更を、「これは民営化ではない」としきりに言ってきたのは、「民営化(私有化)」という言葉を使うのを避けて、市民を刺激しないようにし、でも着実に民営化を進める卑怯で巧妙な方法をとっているからですが、実際、ラ・ポストが民営化されたと意識している市民は少ないでしょう。労働組合やATTACフランスなどの社会運動団体は、もちろんこれは民営化(私有化)だと反対してきましたが、多くのメディアも政府と同じく「民営化(私有化)」とは明言しません。「郵政民営化をすれば、経済が活性化されて、サービスも向上する」と、しきりに宣伝して、民営化を推し進めた日本の前小泉政権とは、まったく違う方法をとっています。

 しかし、サービスは日本以上に低下していると言えるかもしれません。全国に17000あった郵便局は、10年前からどんどん廃局・統合され、約12000局となりました。地方ではどんどん郵便局がなくなり、そこでは市役所や商店が、切手・書留・小包を取り扱っています。また2002年から現在までの8年間で、既に50000人の雇用が削減されています。更にラ・ポストには、ポストバンク、クロノポスト、メディアポストをはじめ約200の子会社が存在し、小包配達は下請けされています。

地位を変更して株式会社ラ・ポストは、さっそく郵便料金の値上げを発表しました。ユニバーサルサービスを確保するための資金調達のためと言いながら、大口顧客には優遇措置をとり、個人利用者にその分をかぶせるという二重構造に加えて、郵便労働者の大幅削減がセットです。結局ここでも「つけを払わされるのは市民と労働者」なのです。 資本主義がヨーロッパを標的にしている今、フランスでも政府は、国の格付けが暴落する心配があると人々に迫り、この危機を口実に、緊縮政策を押しつけようとしています。そうなればますます労働条件は悪化し、社会的サービスは後退していきます。再び剥ぎ取られるまえに「彼らの危機のつけを払うのは市民・労働者じゃない!緊縮政策ではなく富の分配を!」と、ギリシャ・スペイン・ポルトガルの人々と連帯してヨーロッパの市民・労働者が団結する時だと、27日に年金改革反対ストとデモが呼びかけられています。  



よろしければ、下のマークをクリックして!
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。