歌いたい人
歌をきいて癒される人に ケチをつけるのは 野暮の極致?でしょうが
以下のような事実だけは 知っていても損は無い
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NHK books「詩歌と戦争--白秋と民衆、総力戦への道」(中野敏夫・著)
第1章 抒情詩歌の成立と本質化される郷愁
第3節 唱歌による規律/郷愁を「吹き込む」
官製郷愁としての「故郷」・・・からの抜粋とまとめ
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●1911年から刊行され始めた学年別「尋常小学校唱歌」は準国定教科書
●「修身・国語・歴史・地理・理科・実業等諸種ノ方面ニ渉りテ適当ナル題材ヲ求メ、文体用語等ハ成ルベク読本ト歩調ヲ一ニセンコトヲ期セリ」(諸言)
●文部省唱歌は 他の教科との連携統合を強く意識してつくられ、国家意志が貫徹されていた。
●ここでいう「国家意志」に基づく教育とは無論、明治から大正へと続く「明治憲法」下の天皇制教育をさす
●「故郷」三番の歌詞にある「志をはたして」とは、この時代の言葉である
●1914年8月「尋常小学唱歌 第六学年用」の指導書「尋常小学唱歌伴奏楽譜歌詞評釈」にある「故郷」は以下の位置づけ。
『小学校生徒は遊学して居る時代でないから故郷といふ題目は了解に苦しむだらうと云ふ人もあらうが、我現在成長しつつある処即ち故郷は此の如く懐しいものであると云ふ感じを吹込むつもりで作つたのである。郷土を愛するの念は、これ国家を愛するの念なり。郷土を思ふの念は郷土を離れて始めて沁みじみと感じられる思ひである。郷土を離れたものの愛郷の情を想像させることは訓育上恰好の材料ではあるまいか』
●愛国心を持つ国民を「訓育」しようとする国家意志は、「尋常小学唱歌 第六学年用」の教材曲の配列を見ると明確になる
尋常小学唱歌 第六学年用
1・明治天皇御製
2.児島高徳
3.朧月夜
4.我は海の子
5.故郷
6.出征兵士
7.蓮池
8.灯台
9.秋
10.開校記念日
11.同胞すべて六千万
12.四季の雨
13.日本海海戦
14.鎌倉
15.新年
16.国産の歌
17.夜の梅
18.天照大神
19.卒業の歌
●明治天皇御製 に始まり 天照大神 にいきついて 卒業という年間の教材構成で
我は海の子 と 出征兵士 との間に「故郷」は挟まれ
愛郷を愛国へという「国家」の意志・意向が貫徹されているといえる
●「我は海の子」7番の歌詞
いで大船を 乗出して
我は拾わん 海の富
いで軍艦に乗組みて
我は護らん 海の国
●「出征兵士」には 以下の歌詞
{義勇の努御国に尽し}
{軍に行かばからだをいとへ
弾丸に死すとも病に死すな}
●帝国への翼賛と献身の義務が語られる、その間におかれた「故郷」が「郷土を離れたものの愛郷の情」、戦争に向かう国家への献身と「郷愁」とを関係づけ、その両者の習得が文部省=国家によって上から指示されていた
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NHKブックス No.1191
詩歌と戦争白秋と民衆、総力戦への「道」
中野敏男 著
定価 1,260円 (本体1,200円) / 送料 120円 / 2012年5月30日 発売
関東大震災から戦時体制へ
揺らいだ心情の深層
日本の軍国体制は歴史の“逸脱”ではない。震災後に北原白秋の詩作が童謡から民謡そして戦争詩へと向かった歩みと、人々が希望と不安の中で歌を求める文化運動を起こし、自発的に戦時体制を担うようになった道筋とが、強く影響しあいながら戦争への翼賛を実現していったことを解き明かす
https://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=00911912012
アマゾンでは ここ
藤波 心ちゃん 日の丸はためく前で 「ふるさと」を 歌うの図/YouTube
よろしければ、下のマークをクリックして!
よろしければ、もう一回!
歌をきいて癒される人に ケチをつけるのは 野暮の極致?でしょうが
以下のような事実だけは 知っていても損は無い
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NHK books「詩歌と戦争--白秋と民衆、総力戦への道」(中野敏夫・著)
第1章 抒情詩歌の成立と本質化される郷愁
第3節 唱歌による規律/郷愁を「吹き込む」
官製郷愁としての「故郷」・・・からの抜粋とまとめ
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●1911年から刊行され始めた学年別「尋常小学校唱歌」は準国定教科書
●「修身・国語・歴史・地理・理科・実業等諸種ノ方面ニ渉りテ適当ナル題材ヲ求メ、文体用語等ハ成ルベク読本ト歩調ヲ一ニセンコトヲ期セリ」(諸言)
●文部省唱歌は 他の教科との連携統合を強く意識してつくられ、国家意志が貫徹されていた。
●ここでいう「国家意志」に基づく教育とは無論、明治から大正へと続く「明治憲法」下の天皇制教育をさす
●「故郷」三番の歌詞にある「志をはたして」とは、この時代の言葉である
●1914年8月「尋常小学唱歌 第六学年用」の指導書「尋常小学唱歌伴奏楽譜歌詞評釈」にある「故郷」は以下の位置づけ。
『小学校生徒は遊学して居る時代でないから故郷といふ題目は了解に苦しむだらうと云ふ人もあらうが、我現在成長しつつある処即ち故郷は此の如く懐しいものであると云ふ感じを吹込むつもりで作つたのである。郷土を愛するの念は、これ国家を愛するの念なり。郷土を思ふの念は郷土を離れて始めて沁みじみと感じられる思ひである。郷土を離れたものの愛郷の情を想像させることは訓育上恰好の材料ではあるまいか』
●愛国心を持つ国民を「訓育」しようとする国家意志は、「尋常小学唱歌 第六学年用」の教材曲の配列を見ると明確になる
尋常小学唱歌 第六学年用
1・明治天皇御製
2.児島高徳
3.朧月夜
4.我は海の子
5.故郷
6.出征兵士
7.蓮池
8.灯台
9.秋
10.開校記念日
11.同胞すべて六千万
12.四季の雨
13.日本海海戦
14.鎌倉
15.新年
16.国産の歌
17.夜の梅
18.天照大神
19.卒業の歌
●明治天皇御製 に始まり 天照大神 にいきついて 卒業という年間の教材構成で
我は海の子 と 出征兵士 との間に「故郷」は挟まれ
愛郷を愛国へという「国家」の意志・意向が貫徹されているといえる
●「我は海の子」7番の歌詞
いで大船を 乗出して
我は拾わん 海の富
いで軍艦に乗組みて
我は護らん 海の国
●「出征兵士」には 以下の歌詞
{義勇の努御国に尽し}
{軍に行かばからだをいとへ
弾丸に死すとも病に死すな}
●帝国への翼賛と献身の義務が語られる、その間におかれた「故郷」が「郷土を離れたものの愛郷の情」、戦争に向かう国家への献身と「郷愁」とを関係づけ、その両者の習得が文部省=国家によって上から指示されていた
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詩歌と戦争白秋と民衆、総力戦への「道」
中野敏男 著
定価 1,260円 (本体1,200円) / 送料 120円 / 2012年5月30日 発売
関東大震災から戦時体制へ
揺らいだ心情の深層
日本の軍国体制は歴史の“逸脱”ではない。震災後に北原白秋の詩作が童謡から民謡そして戦争詩へと向かった歩みと、人々が希望と不安の中で歌を求める文化運動を起こし、自発的に戦時体制を担うようになった道筋とが、強く影響しあいながら戦争への翼賛を実現していったことを解き明かす
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藤波 心ちゃん 日の丸はためく前で 「ふるさと」を 歌うの図/YouTube
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何を唄うかは、決して瑣末なことではないと思います。
世代を超えて歌を共有する智恵が働いているのではないでしょうか。成り立ちを知った上で、批判点も意識した上で歌うのもひとつの有り方です。
ミュージカル映画「キャバレー」で、郊外のビヤホールのシーン。
善良そうなふつーの人々が、若く美しく清潔そうな青年の、ドイツの美しい国土などを歌う声に耳を傾けているシーンがありました。
その歌声はやがて ドイツ民族と国家の偉大さを讃えるものに(断絶することなく)代わっていき、ハーケンクロイツの腕章とナチ賛美へと 見事に転換していきます。実に鮮やかなシーンでした。
当事者ではない私にはわからない。しかし,薔薇さんの警告は聞いておくべきかと