調査捕鯨 乏しい成果、すぐに廃止を
米本昌平
東京大先端科学技術研究センター特任教授
(科学史・科学技術論)
日本は1988年に商業捕鯨を事実上放棄して以後、これまでに調査捕鯨の名目で9千頭のミンククジラを南極海で捕獲している。
調査捕鯨を請け負っている共同船舶には、日本鯨類研究所(鯨研)経由で年に5億円の国庫補助金がつけられている。
厳しい財政事情を考えればただちに廃止されてよいのが調査捕鯨なのだが、なぜか「事業仕分け」の対象にすらならなかった。
その理由は、長年の農林水産省の官僚による国会議員への「ご説明」が功を奏し、党派ごとに捕鯨議員連盟があるからなのだろう。
民主党の「政策集インデックス2009」には商業捕鯨の復活までが言及されている。
私はIWC(国際捕鯨委員会)にオブザーバー資格をもつNGOの一員としてIWC会議をウオッチしてきているが、日本での議論は
農水省とその外郭団体である鯨研が提供する情報だけでなされていると言って過言でない。
05年までの調査結果についてはIWC科学委員会で評価を受けたが、委員会が定めた、鯨の持続的利用再開の判断根拠となる
科学的成果には乏しく、発表論文も鯨を殺す必要がないものがほとんど、というのが委員会の大勢意見である。
そもそも毎年400~500頭もの鯨を捕獲するのは、鯨肉を売って船団経費を賄うような仕組みで始められたからである。
調査捕鯨はIWC条約第8条が加盟国の裁量で科学調査を認めているのが根拠だが、日本のやり方は当初から目的と手段が逆転
しており、諸外国からは「科学の名を騙る商業捕鯨」と非難されている。
鯨肉の売り上げは年間約60億円で、この小さな利権を守るために農水省は愛国的感情を刺激するような情報を流し続けている。
IWC総会における捕鯨・反捕鯨の勢力バランスは長い間ほぼ不変なのだが、実はこの状態こそがすべての関係者にとっては
好都合なのだ。
農水官僚は小利権を守り、シー・シェパードなどの反捕鯨組織には世界中から募金が集まり、日本やオーストラリアの国会議員は
年に1度、愛国的に奮闘している姿がテレビに映し出されるからである。
「鯨食は日本の伝統文化」というのは、70年代半ばからPR会社を介して振りまかれてきた俗説であり、鯨肉は売れず在庫は
ダブついている。
日本がIWCの場で、調査捕鯨をやめる代わりに沿岸捕鯨を認めてくれるよう提案すれば、長年の対立はただちに解消するはずである。
現在、マグロなどの水産資源はグローバルな次元で管理強化の方向にある。
そのような議論の場で、日本の科学的データに疑問が付されることがないようにするためにも、国の事業としての調査捕鯨は
廃止すべきだ。
*朝日新聞2009.12.13「私の視点」
米本昌平研究室
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東京大先端科学技術研究センター特任教授
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日本は1988年に商業捕鯨を事実上放棄して以後、これまでに調査捕鯨の名目で9千頭のミンククジラを南極海で捕獲している。
調査捕鯨を請け負っている共同船舶には、日本鯨類研究所(鯨研)経由で年に5億円の国庫補助金がつけられている。
厳しい財政事情を考えればただちに廃止されてよいのが調査捕鯨なのだが、なぜか「事業仕分け」の対象にすらならなかった。
その理由は、長年の農林水産省の官僚による国会議員への「ご説明」が功を奏し、党派ごとに捕鯨議員連盟があるからなのだろう。
民主党の「政策集インデックス2009」には商業捕鯨の復活までが言及されている。
私はIWC(国際捕鯨委員会)にオブザーバー資格をもつNGOの一員としてIWC会議をウオッチしてきているが、日本での議論は
農水省とその外郭団体である鯨研が提供する情報だけでなされていると言って過言でない。
05年までの調査結果についてはIWC科学委員会で評価を受けたが、委員会が定めた、鯨の持続的利用再開の判断根拠となる
科学的成果には乏しく、発表論文も鯨を殺す必要がないものがほとんど、というのが委員会の大勢意見である。
そもそも毎年400~500頭もの鯨を捕獲するのは、鯨肉を売って船団経費を賄うような仕組みで始められたからである。
調査捕鯨はIWC条約第8条が加盟国の裁量で科学調査を認めているのが根拠だが、日本のやり方は当初から目的と手段が逆転
しており、諸外国からは「科学の名を騙る商業捕鯨」と非難されている。
鯨肉の売り上げは年間約60億円で、この小さな利権を守るために農水省は愛国的感情を刺激するような情報を流し続けている。
IWC総会における捕鯨・反捕鯨の勢力バランスは長い間ほぼ不変なのだが、実はこの状態こそがすべての関係者にとっては
好都合なのだ。
農水官僚は小利権を守り、シー・シェパードなどの反捕鯨組織には世界中から募金が集まり、日本やオーストラリアの国会議員は
年に1度、愛国的に奮闘している姿がテレビに映し出されるからである。
「鯨食は日本の伝統文化」というのは、70年代半ばからPR会社を介して振りまかれてきた俗説であり、鯨肉は売れず在庫は
ダブついている。
日本がIWCの場で、調査捕鯨をやめる代わりに沿岸捕鯨を認めてくれるよう提案すれば、長年の対立はただちに解消するはずである。
現在、マグロなどの水産資源はグローバルな次元で管理強化の方向にある。
そのような議論の場で、日本の科学的データに疑問が付されることがないようにするためにも、国の事業としての調査捕鯨は
廃止すべきだ。
*朝日新聞2009.12.13「私の視点」
米本昌平研究室
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これを利権がないからと言って捨てて良いものでしょうか?
それに、シーシェパードはテロ組織としてアメリカ連邦捜査局(FBI)の監視下にあります。
ここで引いてはテロに屈した事にならないでしょうか?
そうでないというのなら、根拠を示して説得すべきです。
この記事の趣旨が、「テロ」の問題とは無関係であることはよく読んでいただければわかるはず。
「テロに屈」っするなどという物言いは、本質と関係ないことです。
>科学的成果には乏しく、発表論文も鯨を殺す必要がないものがほとんど、というのが委員会の大勢意見である。
それは一体どこの世界の委員会でしょうか?
日本の調査捕鯨は科学委員会から高く評価されていますが。
>日本のやり方は当初から目的と手段が逆転
しており、諸外国からは「科学の名を騙る商業捕鯨」と非難されている。
それは反捕鯨国だけです。
科学委員会からは高く評価されています。
>IWC総会における捕鯨・反捕鯨の勢力バランスは長い間ほぼ不変なのだが、実はこの状態こそがすべての関係者にとっては
>好都合なのだ。
ただの妄想、陰謀論の類です。
>鯨肉は売れず在庫はダブついている。
売れています。
ダブついているなんて嘘つかないでください。
>日本がIWCの場で、調査捕鯨をやめる代わりに沿岸捕鯨を認めてくれるよう提案すれば、長年の対立はただちに解消するはずである。
オーストラリアなど強硬な反捕鯨国に言ってください。
反捕鯨国の中でも原理派は調査捕鯨だろうと商業捕鯨であろうと一切認めない方針ですから。
>そのような議論の場で、日本の科学的データに疑問が付されることがないようにするためにも、国の事業としての調査捕鯨は
廃止すべきだ。
そもそも商業捕鯨モラトリアム自体が科学委員会でも根拠がないと言われているのですが。
反捕鯨国は科学根拠がないモラトリアムを即解除すべきですね。
>ダブついているなんて嘘つかないでください。
という根拠をききたいものだ
根拠も出典も示さず出鱈目ばかり書いていますが。
ニュージーランド人のDavid氏が作ったサイトから。
彼は日本の新聞記事から売れ行きを精密に調査し膨大なデータをまとめて公開しています。
ttp://david-in-tokyo.blogspot.com/
これはDavid氏が農林水産省や市場のデータから調べたグラフです。
年間の入荷量および消費量を比較したグラフ
ttp://1.bp.blogspot.com/_8TnJRwkIfd4/SZd-AOG_k8I/AAAAAAAAAyg/2scGH6gKtqo/s1600-h/annual_0812.png
2006から消費が増えて2008まで7000t超になっているのがわかります。
鯨肉の在庫指数率
ttp://3.bp.blogspot.com/_8TnJRwkIfd4/SZfV03HCKZI/AAAAAAAAAyw/kHCquVDIK-o/s1600-h/inventoryratio_0812.png
以前にも水産庁の森下氏が「鯨肉の在庫はここ数年安定している」言っていましたが、在庫率指数のグラフから見ても6~9と安定していることから氏の主張の正しさを裏付けています。
>日本において鯨は、ただ食べるだけでなく、からくり人形や文楽人形のバネとなったり、細工の原料、弓の弦、薬
からくり人形のぜんまい仕掛けのバネに鯨のヒゲがつかわれているのは事実です。でも、それが文化というのは間違いです。
からくり人形は、時計のメカニズムを生かした玩具で、戦国時代当時最高水準のテクノロジーを使っています。からくり人形といったテクノロジー系(これは書かれていることすべて含まれますが)は、「入手可能な材料で最高に知恵を絞って玩具を作る」というコンセプトが文化なのです。
例としてからくり人形をとりましょう。
からくり人形がブリキ玩具になり、さらにアシモをはじめとするロボットが、からくり人形の正統な後継者たりえるのは、コンセプトが同じだからです。近代捕鯨が始まる以前から「ヒゲ」を利用したゼンマイは消滅して、文化財や収集家の骨董、復刻というもの以外残されていません。別に捕鯨問題がヒゲによるゼンマイの消滅に力を貸したわけでもなんでもありません。
材料が文化となりえないのは、その製作者自身が、ゼンマイの材料として「鯨ヒゲ」より良い材料が入手できれば、全く躊躇せず材料をかえるように代替可能だからです。
自動車の歴史のはじめに「蒸気自動車」というのがありますが、だから「蒸気機関は文化」なのだといわれても、トヨタやホンダの技術者は「はあ?」と言うしかありません。同じように、戦後燃料の無い時代にガソリンの代わりに木炭をつかって走る車がありましたが、「木炭エンジンは文化だ」と言っても、「はあ?」でしょう。さらに、現在はガソリンを使わず、電気その他を燃料とする自動車の開発を各社必死になってやってますが「ガソリンを使うことは文化だ」と言えば、「もう、あっちに行ってくれ」というレベルでしょう。
弓の弦ですか?今どきどんな人が弓で狩猟生活をしているのかわかりません。薬でもわざわざ鯨を使わないほうが品質が高いと思いますけど。
>その全てを捨てることなく利用されており、もはや食文化と限定されない鯨文化とも言うべき物が存在しています。
ここまで書いたからわかると思いますが、そんなもの日本のどこに「存在」しているのですか?寡聞にして全然見当がつきません。
ちなみに鯨研のHPで確認してきましたが、やはり文化伝統は「食文化」しか出てきませんね。当然でしょう。
もちろん「調査捕鯨」というケッタイな名前の捕鯨は、調査することに意義があるのであって、文化を継承するために行なっているのではありません。そんなの名前見ればわかるとおりです(調査?つっこみどころ満載ですが、ここでは割愛します)。
調査捕鯨が廃止され、鯨が取れ放題になると、アシモにヒゲゼンマイが組み込まれて、弓が出回ったり(野武士が攻めてくるのかなあ?)、市民が鯨油をつかったランプで生活をエンジョイできるわけですね。すばらしい。
捕鯨をしたいので書き込むなら、まず捕鯨の大御所である鯨研のHPをまずじっくり読んで、何故捕鯨をしているか根拠を勉強してからにしよう。でないと話にならないです。
http://suisantaikoku.cocolog-nifty.com/genyounissi/2010/01/janjan-no-3f7e.html?cid=41301870#comment-41301870
kkneko氏の「鯨肉は環境負荷最悪の食材」などという吹聴は完全に根拠の無い妄言だという事が科学的ソースによって証明された事を示しましたところ、氏は一切の反論を諦められたようです。
YAHOO掲示板等、公共のBBSで反論する事もしない、と
捕鯨船団の空調・冷凍設備に関するLCAについてもナニやらゴネておられたようですが、それらは基本畜産飼料海運船舶に於いても同様であります。
飼料運搬船舶に於けるそれを畜肉生産LCAに加えようとはなさいませんのに、捕鯨船団のそれのみに「鯨研は数字を出せ!!」と息巻いておられます様子を見た時点で気付かなければいけない事ではありますが・・・w