橋下徹27日、日本外国特派員協会での記者会見・詳報/産経WEB(上・中・下)ほか

2013-05-27 18:32:02 | 社会
橋下徹の「私の認識と見解」・全文

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大阪旧遊郭街顧問弁護士の経歴もやり玉に 外国人記者らが橋下市長釈明を追及/J-CAST
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130527-00000002-jct-soci

日本維新の会の橋下徹代表(大阪市長)は2013年5月27日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見し、自身のいわゆる従軍慰安婦をめぐる発言について釈明した。同協会としては異例の数の396人が集まり、一部記者からは「上祐(史浩・元オウム真理教広報部長)以来の盛り上がり」との声も出た。

 橋下市長は侵略と植民地支配については認め、慰安婦に対して謝罪すべきだとの立場を繰り返した。慰安婦動員の強制性を認めた1993年の河野談話については「修正」や「否定」ではなく「明確化」すべきだと主張。

 この主張に対して外国記者からは「矛盾している」「質問に答えていない」との声が相次いだほか、旧遊郭街の顧問弁護士を務めていたことについては「『料理組合』の顧問弁護士。料理組合自体は違法でもない」と主張。「詭弁(きべん)を弄して恥ずかしくないのか」という声も出た。

■「かつては顧問弁護士だったことは事実」

 橋下市長は会見冒頭、事前に発表された文章『私の認識と見解』を20分近くかけて朗読。外国人記者には、配布された英語版を読んだ上で質問することを求めた。文章には従軍慰安婦に謝罪すべきことや、米軍に風俗業の活用を勧めたことを撤回する考えなどが盛り込まれており、質問の大半は、この文章に書いてある範囲内のものだった。

 それ以外で特に厳しい質問が飛んだのが、弁護士としての顧問先についてだ。橋下市長は、大阪の旧遊郭街として知られる「飛田新地」の組合の顧問弁護士を務めていたが、市長という公的な役割との整合性を問う質問が出た。これに対して橋下市長は、

  「かつては顧問弁護士だったことは事実。それは、飛田の組合という『料理組合』の顧問弁護士。日本において違法なことがあれば、捜査機関が適正に処罰する。料理組合自体は違法でもない」

と主張。記者席は失笑の声がもれた。この回答では到底理解を得られなかったようで、別の記者が、

  「名称は『料理組合』かも知れないが、飛田は、お店の2階に上がってお金を払えば買春できることは、大阪のちょっとませた中学生なら誰でも知っている。中学生が聞いて、『橋下さん、うそついてはるわ!』と思うような詭弁(きべん)を弄してひとりの政治家として恥ずかしくないのか」

と追及。橋下市長が苦笑いしながら、

  「違法なことであれば、捜査機関が行って逮捕されます。以上です」

と述べると、「なーにいってんだ」という声とともに、再び失笑が漏れた。


争点を「国家の意思があったかどうか」に絞る考え?

 従軍慰安婦問題については、

  「慰安婦の方には、しっかりおわびを申し上げなければいけないことは間違いない」

という言葉を繰り返しながら、「国家が組織的に意志を持って女性を拉致・人身売買したかどうか」という点のみを争う考えのようだ。この点について橋下市長は、

  「国家が組織的に、国家の意思として女性を拉致した、人身売買をしたという事実はないというのが、日本の多くの歴史学者の主張であり、河野談話の後に出た2007年の日本政府の閣議決定では、国家の意思としての拉致、国家の意思としての人身売買を裏付ける証拠はなかったという日本政府の見解がでている」

と日本側の見解を述べた上で、事実関係について韓国と共通見解を持つべきだと主張した。

  「韓国の皆さんが最も関心を寄せているこの核心的論点について、河野談話は逃げている。これが日韓関係が改善しない最大の理由。河野談話を修正・否定するということではなく、明確化すべきだと言っている。韓国のほうもいろんな意見があるだろうから、ここは日韓の歴史家・歴史学者が共同で事実を明確化すべきだと思っている。韓国は、日本が国家の意思として組織的に女性を拉致・人身売買したという主張。日本は、そのような事実はなかったという主張。ここを明確化しなければならない」
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香港記者「『強制性ない』と思っているのに河野談話修正・否定しないのは矛盾」

 橋下市長は、2012年8月24日には「河野談話は見直すべきだ」と述べている。この発言との矛盾や、「強制性」に関する認識を問われたが、

  「これも核心的な論点。河野談話について、書かれている事実を変える必要はないと思っている。しかし、表現については、もっと付け足さないといけない。表現を付け足すことを『修正』というのか『明確化』というのか、これは言葉の問題。まさに『強制性』の言葉をもっと丁寧に記述すべきだと思う」

 と、慰安婦の動員に国家による「強制性」があったかどうかについてはコメントを避けた。

 この「強制性」に関する質問をした、香港のフェニックステレビのリー・ミャオ東京支局長は、

  「私は、国による強制性があったかどうかを聞きたかったが、それをはっきり言わなかった。橋下市長が言うように、これが核心的な問題なら、なぜはっきり言わないのか。安倍1次内閣の(07年の閣議決定の)ように『強制性はない』と橋下市長は思っているようだが、河野談話は修正・否定はしないと言っている。すごく矛盾している」

と、煮え切らない態度に納得がいかない様子だった。


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以下は産経WEB

【橋下氏会見@特派員協会】
詳報(上)戦場の性の問題「今まさに議論しないといけない」
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130527/waf13052716390023-n1.htm

日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は27日午後、東京都千代田区の日本外国特派員協会で自らの慰安婦発言などについて記者会見を開いた。外国人記者らとの一問一答は以下の通り。

“飛田新地”顧問弁護士だった点は「違法でない。売春は警察…」

 --慰安婦の強制連行の有無などについて

 大前提として、日本の過ちは正当化するつもりはないということを理解してほしい。これまでの慰安婦問題の議論は、日本の責任を否定するような議論が多かった。われわれは責任は回避できない。

 質問は歴史的な事実に関わる点だが、日本政府が認めているのは、施設の管理、戦地へ女性を移動させること、民間業者に女性を集めてほしいとの要請。これらの点には軍の一定の関与があったと認めている。

 ただし、この問題の核心的な論点、韓国のみなさんも一番気にしている論点、世界も日本特有のユニークな制度だと思っている論点、つまり国家の意思として意識的に女性を拉致した、国家の意思として組織的に女性を人身売買した、こういうことについて認めていないというのが日本の立場だと考えている。

 ここが韓国との間の一番核心的な論点で、繰り返し対立している。ただし、軍の一定の関与はある。ですから、慰安婦の方にはきちんとおわびしなければならない。

--イタリアの記者「女性の尊厳を尊重する」「慰安婦制度は尊厳を冒す」ということだが、昨日の報道番組で(大阪市西成区の料理組合)「飛田新地」の顧問弁護士をしていたというが、どのようなことか。

 弁護士業として顧問先については、守秘義務があるので全てここで語るわけにはいかない。かつては顧問弁護士だったことは事実だが、それは、飛田の料理組合の弁護士ということ。(売春行為など)日本において違法なことがあれば、捜査機関が適正に処罰する。料理組合自体は違法ではない。

 --(日本の記者)外国から疑問を持たれることは政治的責任を伴う。共同代表を辞任する考えはあるか。参院選に出るか。

 民主主義の国で、政治家の政治的責任は選挙で審判を受けること。私の発言に対して国民が「ノー」と言うなら、参院選で維新は大きな敗北になるだろう。

 その結果を受けて、党内で、私自身を代表のまま就かせるのか議論が起こる。それが民主主義の国における政治家の責任の取り方のメカニズムだ。

 --(日本の記者)他の国も(戦場での性の問題に)一定関与しているので、日本だけ批判されるのはおかしいという考えか。

 核心的論点に関する質問だ。繰り返しになるが、私は日本の過去の過ちを正当化するつもりはない。慰安婦の方々が味わった苦しい経験について、われわれはずっと、それを引き受けていかなくてはならない。

 ただ、この慰安婦問題に関して、不合理な議論には終止符を打つべきだ。日本が責任を回避するような議論をしてはいけない。このような日本の姿勢が、韓国の人が一番怒る原因だ。

皆さんに問いたいのは、戦場での性の問題だ。世界各国は過去を直視していないのではないか。過去を直視しなければ未来を語ることはできない。

 戦場の性の問題は、これまでタブー視され、表だった議論はなかった。慰安婦を利用した日本は悪かったが、民間業者の女性を利用することはいいのか。米国や英国は、軍が施設を設けることはしなかった。しかし、現地の女性を利用したことは歴史的な事実だ。

 米国の日本占領期間中も、日本政府が作った施設を米兵士は利用していた。これは歴史的な事実としてしっかり証拠がある。私が言いたいのは、軍が作ったか民間業者が作ったかは関係ないと思う。

 日本の慰安所は軍が管理していたことは間違いない。これはさまざまな理由があるが、ここは歴史学者に委ねたい。ただ、軍が管理していた日本の施設も、民間業者が管理している施設も、その施設の中で行われたことが不幸なものであることに変わりはない。

 また、ドイツも日本と同じような施設を使った事実が出てきている。朝鮮戦争時においては、韓国にも施設があったという事実が出てきている。このような事実について、世界はすべてフタをしている。

 日本(の過去の過ち)を非難することはもちろん必要だが、それで終わってはいけない。今日においても、紛争地で女性の人権が蹂躙(じゅうりん)されている。そして軍と性の問題もタブー視されている。このタブーを取り払い、しっかり議論する必要があるのではないはないか。

もちろん「世界がやってるから日本もいいじゃないか」と言うつもりはないし、そういうことを言ってはいけない。私たちは悪いことをした。しかし、皆さんも過去を直視してほしい。女性の人権を守るために、軍の一部の心ない兵士による人権蹂躙を防ぐために、過去を直視しなければならない。

 「戦場において女性を利用してはいけない」。これを言うことは簡単だ。しかし、自分たちがやったことを直視しなければその対応策は出てこない。戦場の性の問題は今まさに議論しなければいけない問題だ。

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詳報(中)「侵略と植民地施策、しっかり認識しないといけない」
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130527/waf13052717340027-n1.htm

国を代表する政治家は、韓国“侵略”を認めよ

 --(日本の記者)(慰安婦制度について「おわびと反省」を表明し、日本政府が強制連行を認めたとの解釈につながる根拠となった)「河野談話」が今でも外務省サイトに掲載されている。実際に軍が人身売買に関与していたことを認めたと解釈するが、談話の変更を求めるのか。

 河野談話を否定するつもりはないし、ここに書かれていることはおおむね事実だと考えている。しかし、談話は肝心な論点については曖昧、不明確にしている。

 (慰安婦の)移送について、軍が関与していたという指摘があった。歴史的事実として証拠があるのは、民間業者が移送に軍の船を使ったということだ。日本の慰安所も、多くは民間業者が雇用主だった。

 ただし、その施設に、例えば性病検査などで軍が関与したことは間違いない。戦場だから、女性を移送する際、軍の船を使った。

しかし、国家の意思として組織的に女性を拉致した事実はないというのは、多くの歴史学者も主張している。日本政府の見解では、国家の意思での拉致、人身売買はなかったとの見解が閣議決定されている。

 韓国のみなさんが最も関心を寄せる核心的論点について、河野談話は逃げている。これが、日韓関係が改善されない最大の問題だ。だから私は、談話を否定、修正するのではなく、明確化することだと言っている。韓国にもいろいろ考えがあるだろうから、日韓の歴史学者が共同で事実を明確化すべきだ。ただし、この話とは別に、慰安婦におわびしなければならないことは言うまでもない。

 「国家の意思として組織的に女性を拉致、人身売買した」とされている点が、日本が世界から非難される理由になっていると思う。日本兵がかつて慰安婦を利用したことは本当に申し訳ないと思うが、事実は事実として明確化しなくてはいけない。韓国のみなさんとしっかり意見交換をさせていただきたい。

 --(ドイツの記者)維新の石原慎太郎共同代表が「日本が戦争責任を謝罪したことは間違いだった」と言っていた。「戦争を始めさせられた」とも言っていたが、認識は。

 第二次大戦が日本の侵略戦争だったのか、韓国への植民地政策だったのかは、いろんな日本の政治家が議論した。これは、歴史家が議論することだと思う。

 国を代表する政治家は、侵略だったということを認めないといけないと思う。国を代表する政治家は、韓国へは許されない植民地政策だったと認識しなければいけない。それを否定すれば、多大な国民の命を落とした戦勝国側も、とてもじゃないが納得できないと思う。歴史家は別として、国を代表する政治家は、侵略と植民地政策について、しっかりと認識しないといけない。周辺諸国に多大な損害と苦痛を与えたことをおわびしないといけない。

石原代表とは世代も考え方も違う

 ただ、石原代表は異なった考え方を持っている。戦争時代を生きてきた人と、戦後に生まれ育った僕との世代の違いもあるのではないか。これは敗戦国としては大変難しい問題だ。戦争当時を生きてきた人は、国のやっていたことが絶対正しいと思っていた。国民の多くは、侵略だったことを認め、反省していると思う。しかし、1億2千万人(の国民)全員が同じ考えになるというのは、民主主義の国ではなかなか難しい。

 われわれ世代の政治家は、過去の評価を蒸し返すようなことをやってはいけない。大戦について日本の正当性を主張し、過去にこだわるより、未来に向かっていかなければならない。

 ただし、敗戦国だからといって、不当な事実誤認について口を閉ざすということでもないと思う。そういう思いで、慰安婦制度で戦場の性の問題を提起させていただいた。

 --(シンガポール紙の記者)スピーチで「6月のG8サミットが、世界各国の兵士が性の対象として女性をどのように利用していたのかを検証し、今日の問題解決に協働して取り組む場となることを期待する」とおっしゃったが、具体的に何を期待するのか。

 日本に責任がないなんてことはあり得ない。日本の責任を認め、事実をしっかり検証した上で、日本の慰安所方式以外のやり方でどのように女性の人権が蹂躙(じゅうりん)されたのかをしっかり議論してほしい。

 --(日本の記者)河野談話を「否定しないが、不明確なところがある」という言い方が不明確だ。軍の強制性はあったと思うのか。

 河野談話に書かれている事実を変える必要性はないと思う。しかし、表現については、もっと付け足さなくてはいけない。表現を付け足すことを修正というか明確化というかは言葉の問題だと思う。まさに、強制性の言葉を、もっと丁寧に記述すべきだと思う。

多くの慰安婦の方が自らの意思に反して仕事をしていたのは間違いないでしょう。これは、つらい環境があったのも間違いない。これは日本のいわゆる慰安所方式以外の民間の施設でも、同じような状況があったと思う。

 国家の意思として組織的に女性を拉致し人身売買をしたのか、北朝鮮の拉致と同じような状況だったのかについては、河野談話では触れていない。

 このような事実がなくても、慰安婦の皆さんにおわびはしなければならない。ただ、国家の意思として組織的に拉致したのか、ここは、日本の認識と韓国、世界の認識にずれがあるので、事実は明確化しなければならない。

 そのような事実があったのかなかったのか、日本政府がしっかり言及すべきであって、これを僕は「明確化」と言っている。

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詳報(下)戦場での性的利用「だめだという世界の決議必要」
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130527/waf13052719090030-n1.htm

--(日本の記者)発言に際し、女性に関する感覚が甘かったのではないか。もし生まれ変わるなら男性がいいか、女性がいいか。

 女性の人権を大切にするということは、これまで人類が努力してきた一つの到達点だし、さらに努力していかないといけない。だからこそ、戦場においていかに女性の人権が蹂躙(じゅうりん)されているかを、世界各国で考えてほしい。もちろん日本の過去の過ちを反省してのことだが。

 次に生まれるなら、男性でも女性でも、その性をまっとうしたい。これからの世界各国の人類が、次に生まれるときに、男性でも女性でもまっとうできるようにしていくことが、われわれの使命だと思っている。

--(米通信社の日本人記者)2007年の閣議決定では「(慰安婦の強制連行について)書類がなかった、証拠がなかった」としているが、今日の話でいくと、強制連行はなかったということか。なぜこの時期に主張しなければならなかったのか。

 河野談話が作られた際、官僚の責任者だった石原信雄元官房副長官が「国家としての拉致、人身売買はなかった」とはっきり述べている。07年の閣議決定によって、強制連行を裏付ける直接証拠はないという、政府の正式見解も出た。

 日本政府が河野談話でどのような事実を認めたのか、曖昧で不明確になっている。河野談話は、ある意味政治的に妥結した文章になっている。

 歴史的事実については、政治家は政治的妥協をしてはいけないと思っている。河野談話に書かれている事実を全否定するわけではない。もう一度、どのような事実があり、どのようなことがなかったのかを明確化すべきだ。

 国家の意思として女性を拉致した、人身売買があったのなら、そのような記述にすべきだ。「慰安婦の意に反して」というのは間違いないだろう。しかし、河野談話は主語が明確ではない。民間業者が慰安婦の意に反して女性を集めたのか、国家が組織的に集めたのかを明確化していない。どちらにも読めるような表現になっている。

 韓国の方は、河野談話をもって「日本が拉致をした」と理解している。しかし日本の多くの歴史学者、政治家は「国家ではなく民間業者がやった」と言う。主語は非常に大切。今回の私の発言でも、私は「当時、世界各国の軍が女性を必要としていたのではないか」と言った。ところが、その主語が「私が必要としていた(と認識している)、容認した」と報じられた。

 国家の意思で組織的に拉致、人身売買があったのならそのように書くべきだし、なかったのならそう表記すべきだ。

 私は歴史学者じゃないので、あったかなかったか、明確に研究したわけではない。ですが、河野談話では一番の核心的論点について曖昧、不明確になっているということを伝えたかった。この点が日韓関係を改善できない根本点だと思っている。

 あったのかなかったのか、韓国のみなさんと合意を得ることが大切だと思う。この事実を不明確にしたままでは日韓関係は改善しない。韓国にも言い分があるだろうから、日韓共同で歴史学者が解決をしてほしい。

 なぜこの時期に発言したかということだが、僕は毎日(「囲み取材」などで)記者の質問が尽きるまで自分の考えを述べる。確かあのときは、安倍(晋三)首相が第二次大戦当時、日本の侵略があったのかなかったのかを明確に言わなかったことについて、メディアが問題視していた。そのことに関連して私に歴史認識を問う中で、今回の発言につながった。

--(米紙の日本人記者)人身売買の定義について、強制拉致がなくても、移送や拘束など拉致以外の部分でも、世界的には人身売買に入る。橋下氏は強制拉致がなかったら人身売買には当たらないという考えか。

 誤解が生じるといけないので繰り返し言うが、私の議論は当時の日本の行為を肯定するものでないということだけはご理解ください。世界的スタンダードでいけば、戦場での女性利用行為は人身売買であり、許されるものではない。日本は反省しなければならない。

 ただ、重要な論点は「日本が国家としてそれをやったのか」ということだ。施設で働く際に女性が身売りされるということはあったと思う。だまされ、誘惑され、当初言われていた働き先と違うところで働かされた女性もいただろう。貧困で借金を背負わされ、意に反して働かざるを得なかった人もいただろう。

 しかし、民間業者の施設でも普通にこういうことがある。第二次大戦当時、米軍や英軍が利用していた民間施設でも、そのようなことはあったと思う。

 日本はもちろん悪い。しかし、民間業者の施設でも人身売買はあった。そうすると、日本の軍が一定関与した施設と、民間業者のそのような施設は、人身売買については変わることがなく、両方悪いと思う。そこに、世界各国には目を向けてもらいたい。戦場における性の問題は人身売買につながる。

 慰安婦の証言があるとも聞いているが、歴史学的に、信憑性(しんぴょうせい)についてはいろいろ議論がある。河野談話を作った当時の官僚の責任者は、証言を裏付ける合理性に疑問があったということも言っている。証言だけで事実を認定するのなら、河野談話にそう書けばいい。

 日本の責任を否定することなく、いったいどういう事実があったのかを明確化しなければ、韓国のみなさんも理解しないと思う。ものすごい重要な日本の意思表示となるわけだから、もっと具体的、詳細に記述すべきだと思う。

 --(フランスの記者)当時、日本政府や軍が慰安婦制度について何もしなかった(黙認した)だけでも、関与したことになるのではないか?

 今の価値観で考えれば、国家としては人身売買を止めなければいけないことは間違いない。日本はいかなる意味でも責任を回避することはできない。国家は、そのときにどのような行動をするのかを、しっかり今考えるべきだ。当時の戦地においては、民間業者でも人身売買があった。そのような民間業者を利用していた国、軍、議会の責任はどうなのかも、しっかり議論すべきだ。

日本の責任は否定しないが、世界各国で戦場の性、当時女性を利用したことについて議論されているだろうか。今の状態だと「日本のような方式は悪いが、民間業者の利用は問題ない」という議論につながりかねない。日本の方式も悪い。しかし民間業者の女性の利用もだめだ。民間業者の施設でも、人身売買は行われていた。

 日本の反省とともに、世界各国の軍においても責任を直視してほしい。未来に向けて女性の人権をしっかりと守っていくためにも、戦場において、民間業者でも女性の利用はだめだという世界の決議が必要だと思う。

 《会見終了。約2時間半に及んだ》

 =(完)
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