日本共産党、「赤旗」発行維持が困難に:村岡到/レイバーネットML

2011-07-06 21:36:23 | 社会
日本共産党は、7月3日、4日に中央委員会総会を開き、当面の活動方針を決定した。同時に、機関紙「赤旗」日刊が発行維持が困難なほど購読者が減り、9月から月に500円値上げすると明らかにした(現在は2900円)。これはきわめて重大な事態である。
 機関紙活動担当の岩井鐵也常任幹部会委員・機関紙活動局長が提起した「『しんぶん赤旗』日刊紙発行の危機打開のために」によると、実態は以下のとおりである。それほど長くはない文書だが、次のように書かれている。
 「この日刊紙がいま、大きな経営的困難をかかえ、発行を続けることが危うくなっています」。
 「いま日刊紙が直面している経営上の困難は、きわめて深刻であり、一刻も放置できないものです」。
 「日刊紙の危機打開はもはや猶予できない事態であり、抜本的な打開が急務となっています」。
 現在の日刊紙読者数は24万人。10年前は36万人。現在毎月2億円の赤字。安定的な発行のためには、500円の値上げと2万部の読者拡大が必要と提起して、そう決定された。なお、機関紙発行は独立採算とされているが、これまでは日曜版のプラスを日刊紙の赤字に補填していた、定価は2000年以来据え置かれてきたと説明。
 共産党本部の財政全般がどうなっているのかは知るよしもないが、これは由々しい事態であり、ここまで放置してきたことの責任がまず問われなくてはならない。500円値上げということは約17%の上げ率である。極めて高率である。まったく寝耳に水である。
 それに値上げの説明がずさんである。日刊紙は現在月に2900円だから、24万部で約7億円となる。制作費や中央への納入率がどうなっているか分からないが、2億円の赤字とは比率が極めて高い。500円値上げで2万部増加だと、単純に計算して24万部から1億2000万円、新規の2万部から7000万円。まだ2億円には1000万円足りない(増紙の分は支出増になるはず)。どうして、それなのにこうすると「日刊紙の発行を安定的な軌道にのせることができるようになります」となるのか、部外者には分からない。
 高齢や貧困者には定価を下げるという二重価格制は、集会の入場料なら実施しやすいが、新聞代金では難しい。それなら、高齢の党員の党費を割り引くという方法は考えられなかったのか。
 もう一つは、紙面改善である。私は2003年に「『赤旗』紙面の抜本的改革」を提案したことがある(『不破哲三との対話』社会評論社)。せめて、読者アンケートなどによって、どんな記事が好評で、どういう紙面にしてほしいのか、読者の声を聞く努力が必要だったのではないか。「赤旗」の中身を改善することこそが求められているのである。
 500円の値上げによって購読を止める人も出てくるに違いない。逓減している趨勢のなかで、2万部増加も容易ではないはずである。事態が裏目に転じないことを希望するが、共産党は今、重大な試練に立たされている。
 この3中総については、改めて論評するが、党勢や選挙に関する具体的な数字がほとんど出てこないことは異例とも言える。また、志位和夫委員長の長い報告に対して、笑いや拍手がまったく一度も記録されていない。余程に深刻だったのであろう。



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