賛同のお願い 【声明】チェチェン人人権活動家の連続殺害事件について

2009-08-18 17:50:07 | 世界
【声明】チェチェン人人権活動家の連続殺害事件について

 2009年8月14日
 呼びかけ:チェチェン連絡会議

 ロシア南部、チェチェン共和国において、誘拐・殺害事件が相次いでいま
す。7月15日、チェチェン人の人権活動家で、ロシアの人権団体「メモリア
ル」の現地代表を務めていたナターシャ・エステミロワさんが何者かに誘拐さ
れ、その日のうちに銃殺遺体となって発見されました。

 また、8月10日には、チェチェンの首都グローズヌイで、「若者を守ろう」
という、戦争を経験した若年層や孤児を支援するNGOを運営していた、ザレー
マ・サドゥラーエワさんと、夫のアリク・ジャブライロフさんが、二人同時に
誘拐されたあと、すぐに銃殺され、翌11日に遺体が自動車のトランクに詰め込
まれているのを発見されました。この他にも、大勢の一般市民が、同様の手口
で誘拐/殺害されており、その件数は今年になって増加しています。

 暴力の蔓延するチェチェンの中で、勇気をふりしぼって、人権のために活動して
いた人々が、こうして残酷に殺害されていることを知り、私たちは、悲しみと
強い憤りを感じずにはいられません。

 心から、この勇気ある方々のご冥福をお祈りいたします。


 1991年に独立を宣言したチェチェン共和国は、2度にわたるロシアの軍事侵
攻を受け、現在はロシア政府が後押しするラムザン・カディロフ大統領の親ロ
シア政権が、その大部分を支配しています。カディロフ氏は、これまで多数の
虐待と非合法処刑事件に関して、チェチェン人のみならず、アムネスティ・イ
ンターナショナル、ヒューマンライツ・ウォッチなど、多くの人権団体から批
判を受けています。

 相次ぐ事件のうち、とりわけ、エステミロワさんの殺害については、カディ
ロフ大統領派の関与が強く疑われています。事件のあった日は、カディロフ派
が行った虐待事件に関して、エステミロワさんは被害者の前で報告する予定で
した。また、「メモリアル」は、カディロフ氏自身が、エステミロワさんに対
して直接、脅迫をしていたと声明を出しています。

 さらにカディロフ氏は、殺害への関与を否定しつつも、メディアを通じ、エ
ステミロワさんに関して「誰も相手にしていない、恥知らずの人物」などと呼
び、人権活動家に対するイメージダウンと、さらなる犯罪を誘発しかねない発
言を繰り返しています。

 このような要因を考えるとき、ロシア政府には、カディロフ氏に対する捜査
も含め、実体のある公正な犯罪捜査を行い、事件の再発を防止する責任があり
ます。もしもそうしないのであれば、ロシア政府は、このような未解決の事件
に対して、カディロフ氏と同様の責任を有する──犯罪を容認し、これを支援し
ていると言っても、過言ではないでしょう。

 日本のメディアは、「現在のチェチェン国内は比較的『平穏』である」と解
説する傾向があります。しかしこれは、このような人権侵害事件や、散発的に
発生するゲリラ戦を知りながら、現実をあえて無視する表現であると、私たち
は考えます。

 また、サドゥラーエワさん夫妻の殺害事件に関しては、「武装勢力」による
ものだという見出しが目立ちました。これまでのチェチェン報道において「武
装勢力」とは、主にロシア軍に抵抗するチェチェン独立派を指すものでした。
しかし、今回のように、チェチェンで人権活動家たちを襲っているのは独立派
ではなく、前述のようにカディロフ大統領派である可能性が、かなり高いと言
えます。

 人を誘拐し、銃殺する集団は、独立派であれ、親ロシア派であれ、「武装勢
力」と呼べるでしょう。しかし、これまでの文脈に照らすとき、こうした文言
は、犯行主体が独立派であるかのように誤解させるものでしかなく、それを避
けるために、より具体性のある文言をあてることは容易なはずです。

 また、チェチェン侵攻にはじまる暴力の渦が、チェチェンから、近隣のコー
カサス諸国へと波及し、年々、腐敗と人権侵害、武力衝突が増えています。と
りわけイングーシの人々には、カディロフ氏が国境を越えて「治安作戦」を行
おうとしていることに対する反感や恐怖が強く、このような暴力の輸出はただ
ちに止めなければなりません。

 私たちは次のことを、ロシア政府および、国際社会に訴えます。

1、ロシア政府は、エステミロワさんおよびサドゥラーエワさん夫妻の殺害犯
と、それを指示した人間を逮捕し、公正な裁判を通して真相を明らかにするこ
と。アンナ・ポリトコフスカヤおよびアレクサンドル・リトビネンコの暗殺事
件についても、公正かつ実体のある捜査・訴追の手続きを行うこと

1、ロシア政府は、これらの事件の根にある対チェチェン政策を根本的に見直
し、チェチェンの人々の政治的権利と基本的人権を保障し、チェチェン領内で
の国際機関、報道機関、NGOの安全と自由な活動を保証すること

1、チェチェンにおいて、人権活動家や非武装の市民が次々と殺害されたり強
制的に失踪させられていること、また、その犯行を疑われる人物自身が現地政
府を支配している現状に対し、国際社会は一歩踏み込んだ対策をとる必要があ
ります。日本を含む各国政府は、国際法上の普遍的管轄権を今こそ行使し、
チェチェンにおける国際人道法および国際人権法の重大な違反行為について、
犯罪捜査を開始すべきです

 最後に、この声明を読んでいる皆さまへのお願いがあります。

 チェチェンに生きる人権活動家や、一般の市民が日々体験している恐怖は、
想像を絶するものがあります。こうした人々に、より多くの人々が関心を持つ
ことこそが、チェチェン問題の平和的解決につながります。とりわけ、マスメ
ディアに携わっている方々には、より公正な報道をお願いします。

 そして、暴力のただ中で、発言を封じられている人々のためにも、この声明
に賛同し、暴力に反対する意志を表明してください。多くの人々が憂慮を共有
していることを、国際社会と、チェチェンの人々に伝えましょう。

 チェチェンに平和と人権を!


 呼びかけ:チェチェン連絡会議

 賛同人:青山正(市民平和基金)
 大富亮(チェチェン連絡会議)
 岡田一男(チェチェンの子どもたち日本委員会共同代表・映像作家)
 
 (この声明はロシア大使館、日本外務省、報道各社に送付し、
  ロシア語または英語で、インターネット上で公開します)

---------------------------------------------------------------------
●声明への賛同をお願いします! 
  ▼次の部分をclc@chechennews.orgに返信してください

 お名前:
 肩書き/所属(あれば):
 あなたのメッセージをどうぞ:

 氏名を公表する
 氏名を公表しない  (どちらかを消してください)

 連絡先:(メール、住所、電話、どれでもかまいません。公表しません)

---------------------------------------------------------------------
この声明に関する連絡先 clc@chechennews.org
〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町1-21 静和ビル1-A
ピースネットニュース気付 チェチェン連絡会議

電話連絡が必要な方は、メールでお名前と電話番号をお送りください。
コールバックします。

活動費のカンパをお願いします!
郵便振替加入者名:チェチェン連絡会議 口座番号:00180-6-261048


よろしければ、下のマークをクリックして!
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。