水田でカエルを見たのは何年ぶりだろう。ゆっくりとした時間を過ごすことができない日が続いていたからかもしれない。水田の稲も大きく成長してくる真夏の暑い日、水が張られた田圃で太くなった稲の株は、水面から高く伸びている。浅い水たまりのようになった水田は様々な動物が生活している空間だ。水面から頭をもたげてじっとしているのがカエルだった。体長は2センチも無さそうな、小さなカエルがのどの下を振るわせながら、どこを見ているのかじっと構えている。のどのあたりが震えているのはわかるが体全体は全く動かない。カエルの視線の方向を追いかけるともう一匹、より小さいカエルがいる。稲の株のすぐ脇である。やっと動きが見られたのはその小さなカエルの頭が一瞬スッと角度を変えたこと。その方向を見ていたやや大きい方のカエルも、カエル跳びで一歩移動した。広い水田の小さな片隅で経験した10分間のカエルとの出会い。なぜか幼き頃の懐かしさが漂うのである。
30秒の心象風景7563・車道脇の水田で~カエル
https://youtu.be/dv49cxogfTw
30秒の心象風景7563・車道脇の水田で~カエル
https://youtu.be/dv49cxogfTw