きゃらめるぽっぷこーん

きっかけは韓国映画、今は興味の赴くままに観ます。mottoは簡潔に。radiotalkでラジオ配信始めました。

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

2021年05月21日 | 日本


現在放映中「ドラゴン桜」の南沙良ちゃんが映画で新人賞を受賞していると知って気になって鑑賞。
なるほどー全然違う役柄、、というかそもそもドラマの今どきの女子高生役がイレギュラーみたいですね。

「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」というタイトルが秀逸で、まさにその通りの作品でした。

同じ音を繰り返す「おおしま」という名字だなんて、なんというお気の毒な巡り合わせ、、
志乃ちゃんは独り言だったらすらすら話せるのに、人前では吃音症でうまく言葉がでない。
そして加代ちゃんは音楽が大好きなのに、人より抜きん出た音痴。
コンプレックスを抱えて人とうまく関われない青春真っただ中の二人に、
さらに空気が全く読めなくて周りから浮きまくってて友達が作れない同級生の男子の菊池が関わってくる。

我が身を振り返って考えるに、周りの高校生は楽しそうに盛り上がってる風に見えるけれど、自分てナニ?って考える時代で、
コンプレックスと向き合って、周囲と折り合いをつけることに心を痛めたり、傷ついたり、多かれ少なかれ、こういう感覚ってあると思うのよね。
なので、これが3人の特別な物語だとは全く思えなくて、ドストライクに身に染みて観ました。

シノカヨの主演二人が抜群に良くて、蒔田彩珠ちゃんも今クールの朝ドラに出演してますよね。期待の女優さんだってことが納得。
文化祭のクライマックスは涙しました。

絵に描いたような綺麗な結末ではないけれど、ちゃんと青春してて、確実に少し世界は動いてて、じわっと感動。
良い作品でした。



志乃ちゃんは自分の名前が言えない  2017年  ☆☆☆☆☆
監督:湯浅弘章
出演:南沙良、蒔田彩珠、萩原利久

周囲とうまく会話ができない高校1年生の大島志乃(南沙良)は、音楽が大好きな同級生の岡崎加代(蒔田彩珠)と仲良くなり、一緒に行動するようになる。積極的に人と関わることが苦手な志乃だったが、加代に誘われバンドを結成したのを機に少しずつ変化する。そこへかつて自分をからかったお調子者の同級生・菊地が参加してくる。

19本目

私をくいとめて

2021年04月24日 | 日本


倫也くんの脳内ボイス、私の脳内でも流れないですかねぇ、、毎日癒されるし、心強そう。
黒田みつ子(のん)の自意識の物語、最高に面白かった!

エビのてんぷらの食品サンプルを作って満足そうに眺めるみつ子さん、好きです。
誰のものでもない自分なりの楽しみを持ってることが一番ですもん。

人間なんてみんな生まれながらのおひとり様、誰かといるためには努力が必要、、、わかりみが強い。
みんな悲しい、、みんな頭のなかで悲しい話ばかりしている、、、私は基本ポジティブなので違うけどそういう人の気持ちは否定しない。
共感ともちょっと違うけど、わかるよ、うん、わかるよ、ってことばかりだった。

その人がそのひとらしく生きることが一番幸せで、無理しないでも一緒にいられる人といればいい、多田くん(林遣都)の付き合っても今までの生活と何も変わらない、となりに僕がいるだけってセリフ、ちょっと遣都くんに惚れちゃいそうでしたー☆

片桐はいりの上司ね。カッコよかったですね、あんな上司欲しい、安心する。
そして大瀧詠一の「君は天然色」ね、チョイスが最高です。

「勝手にふるえてろ」に続く、綿矢りさ×大九明子のタッグに大満足の作品でした。




私をくいとめて  2020年  ☆☆☆☆☆
監督 脚本:大九明子
原作:綿矢りさ
出演:のん、林遣都、臼田あさ美、片桐はいり、橋本愛、中村倫也

アラサー女子の黒田みつ子(のん)は何年も恋人がいないが、脳内にいるもう一人の自分「A」にさまざまなことを相談しながら独り身でも楽しく生活していた。常に的確な答えを導き出す「A」と一緒に平和なシングルライフが続くと思っていたある日、年下の営業マン多田くん(林遣都)に恋してしまう。独身生活に慣れたみつ子は勇気を出せない自身に不安を抱えつつも、多田くんと両思いだと信じて一歩踏み出す。

18本目

机のなかみ

2021年04月22日 | 日本



吉田恵輔監督は初期の頃の作品を除いてほぼ観てるんですけど、今回アマプラで2作品目を発見したので早速拝見しました。
今作の系譜を継ぐのが映画「さんかく」ということですかね。

「さんかく」のレビューを見返したら、
オトコのあほさに呆れるけど
そんなあほなオトコに惚れるオンナもな、、ってこと

って書いてて、まるっとそのまま今作にも当てはまるじゃ~んって思いましたわ(笑)

前半は家庭教師の視点から、後半は女子高生の望の視点で、表と裏みたいで面白い。
ボールペンが意味ありげだったけど、いやぁそういうことだったとはねー(おいおい)
もしかして監督の趣味趣向が反映されてたりしますかね(失礼)
女子高生のお尻が可愛かったりとか、いくつになっても娘と風呂に入りたいっていうお父さんの願望だったりを
映画を通して実現しないでいただきたい(おい)

正直、焦ったい。ちょっとだけイラつく(笑)
でも一皮むいちゃうと、人の感情ってこんな感じかも、、とも思わないでもない、、

只今上映中の「BLUE/ブルー」は私の絶賛作品です☆
大好きな吉田監督の15年前の作品、楽しかったです。



机のなかみ  2006年
監督:吉田恵輔
出演:あべこうじ、鈴木美生、坂本爽、清浦夏実、踊り子あり

大学受験を目前に控えた高校生の望(鈴木美生)は、家庭教師の馬場(あべこうじ)に勉強を教えてもらうことになる。同棲中の彼女(踊子あり)がいるにも関わらず、望の愛くるしさにすっかり参ってしまった馬場は、何かにつけて彼女の気を引こうとする。彼のアタックをかわしながら猛勉強を続ける望には、ある秘密があった。

17本目


泣く子はいねぇが

2021年04月17日 | 日本
大人になりきれない、すべての大人たちへ




大人になりきれない、娘が生まれても父親になり切れないたすく。
ラストシーンが最高に秀逸だった。
見つめ合ってお互いの葛藤がビシバシ伝わってきた後、、泣いた。
たすくはこれで変われたんだろうか、、いや、現実はそんな簡単に変わったりしない(私は知ってる、笑)

たすくは情のある子だと思うし、悪い子じゃない。だけど流されるし、決断力がなくて、どーしようもない。決定的な失敗はしたけれど、逃げちゃだめだよ、歯を食いしばって家族を守らなくちゃ。
ことねの冒頭の「ちゃんとしようよ」「なーんも考えてないっしょ」は強烈なセリフでしたね。
たすくの頼りなさが、はいはいって想像できたもん。吉岡里帆ちゃんの苦労が顔にでてるスッピンが印象的だった。

そもそも仲野太賀くんが観たくてという作品だったけど、上手いよねぇ、仲野太賀=たすく、としか思えない。彼の演技に大満足でした。

お父さんが録画してたのを見て爆笑する場面が大好き。
あれはごまかすために運動会のラベルを貼ったのか、運動会のテープに上書きしたのか(笑)

でもさ、親になるってどういうことなんだろうって話。
そういう日常を繰り返して、いつのまにか子供が育って、結果親になるんじゃないかなぁ。
たすく頑張って生きれ!

今作で是枝裕和監督、西川美和監督の制作者集団「分福」の存在を知りました。期待したいです。

  
⇒⇒ Radiotalk 映画『泣く子はいねぇが』 




泣く子はいねぇが  2020年  ☆☆☆☆
監督:佐藤快磨
出演:仲野太賀、吉岡里帆、余貴美子、山中宗、寛一郎、柳葉敏郎

秋田・男鹿半島のさびれた港町、娘が生まれたのにいつまでも父親の自覚を持てないたすく(仲野太賀)に、妻ことね(吉岡里帆)は愛想をつかしていた。大みそかの夜、「悪い子はいないか」となまはげたちが練り歩く街の様子を生中継していた全国放送のニュース番組に、全裸のなまはげが全力疾走する姿が映る。そのなまはげの正体は、妻との約束を守れず泥酔したたすくだった。

羊の木

2021年04月13日 | 日本

 

「ここはいい所ですよ、人もいいし魚も美味い」、、としか説明のできない、静かな港町・魚深。
きっと住んでる人には住み心地の良い町なんだよなぁ。

その町に6人の元殺人犯が国家プロジェクトとして移住してくる。
全員が「訳アリ」を絵に描いたような不穏そのものな雰囲気。
それを受け入れる市役所職員の月末(錦戸亮)が人の好さそうないかにも凡庸な感じで、不穏な人との挨拶が6回繰り返されて、怖いけど薄ら可笑しさのある始まりでした。

もう設定だけでおもしろいじゃん。
異質なものが入ってきた不協和音と、彼らの殺人の理由や背景がわかってきて、いつか何かの事件が起きるんじゃないかという不安感。
でも正直に言っちゃうと、月末にとって上司から命じられてこなしている業務で、公務員としての彼の働きぶりが普通で、妙に面白かった。
そこに好意を寄せていた幼馴染の文(木村文乃)が東京から戻ってきてさらに複雑で、錦戸くんの存在はこの作品において大きかった。

みんなおかしいといえばおかしい。
犯しちゃいけない罪を犯してるけど、今はぎりぎり踏みとどまって真っ当に生きていこうとしてる。

でも踏みとどまれない人も、、、たぶん彼も自分自身を説明できないんだろうな。それしか言えない。
表情がなんとも言えない、目の表情が独特で彼らしい名演でした(誰って言わないー、ネタバレだもん)

ラストは説明しがたい展開で、息をのみました。びっくりしたーー。

 

「羊の木」という不思議なタイトルは、「その種子やがて芽吹き、タタールの子羊となる」という引用が冒頭にあるんだけど、
昔ヨーロッパで木綿の存在が知られてなくて、羊が収穫できる植物があると伝わったということらしい。

清掃員として働く清美が「羊の木」が描かれた缶の蓋を拾い、それを大切に飾っていて、アパートの脇に魚や小動物の墓を作り、そこからひとつ芽吹いた芽があった。

あ~~成程な~って思ったんだけど、説明できない。
っていうか、受け取り方はたぶん人によって様々で、説明できないのかもしれないけど、、

私的にはね、ラストがものすごい衝撃だったわけですよ。現実にはあり得ない衝撃的なことが起きてるんだけど、次の場面では、月末がいつものように仕事してた。
バイクの文とすれ違って「ラーメン」って、、、(笑)
あ、この間話をしたラーメン屋にいくのかな?って、もしくは今度行こうよ!って意味なのかもしれない。

日常なんですよ、死ぬか生きるかの出来事があったのに、それでも生きていくし、生活は続くんですよ。
どんな凶悪な殺人者がいても事件が起きても、普通の日常がそれを飲み込んで、それでも人は生きていく。

なんか、私はそれに感動してしまった。
お墓から出てた新芽はそういう意味なのかなぁって。

 

追記、優香のエロさは別格でした☆

 

 

羊の木  2017年  ☆☆☆☆
監督:吉田大八
出演:錦戸亮、木村文乃、松田龍平、北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中泯

刑期を終えた元受刑者を自治体が受け入れる新仮釈放制度により、閑散とした港町・魚深市に男女6人が移住してくる。市役所職員の月末一(錦戸亮)は彼らの受け入れ担当を命じられるが、移住者たちの過去を住民たちに知られてはならないという決まりがあった。やがて、全員に殺人歴がある犯罪者を受け入れた町と人々の日常に少しずつ狂いが生じていく。


吉田大八 監督

2021年04月13日 | 監督
吉田大八(1963年10月2日生)

☆作品

騙し絵の牙 2021年  ☆☆☆☆
羊の木 2018年  ☆☆☆☆
美しい星 2017年
紙の月 2014年  ☆☆☆☆☆
桐島、部活やめるってよ 2012年
パーマネント野ばら 2010年  ☆☆☆☆
クヒオ大佐 2009年
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 2007年



☆インタビュー


映画監督 吉田大八さんインタビュー|「他者とどう生きるか」を描いた映画『羊の木』
『美しい星』を撮るために映画監督になった!?吉田大八監督が独自の世界観を語る
『紙の月』吉田大八 監督インタビュー
『桐島、部活やめるってよ』吉田大八監督インタビュー
『パーマネント野ばら』吉田大八監督インタビュー



BLUE/ブルー

2021年04月12日 | 日本

 

うりちゃ~~ん!!!
とりあえず観終わった後、そう叫びたくなる。
思った以上にボクシングの映画で、ボクシング愛が溢れてて、好き。

見たくないところをぐいぐい見せて突きつけて面白がって来る(褒めてます)監督がこんなじんわり染みる作品も撮るのね。
前作とのギャップ(笑)
吉田恵輔監督作品はほぼ傑作です、期待を裏切らない。私調べですけど。

負け続ける瓜田と、日本チャンピオン目前の後輩の小川、ボクシングやってる風を目指すモテたいだけの楢崎。

3人の話なんだけど、楢崎が結構な面白さで、あまり声を出して笑わない私が笑っちゃいましたね、彼がすごく良いアクセントになってた。
途中から日本チャンピオン目指す小川と並走して描かれる楢崎のトレーニング風景がツボだったんだけど、あれ?これって楢崎の映画だっけ?みたいな(笑)
カタルシスは彼にありましたね。面白かった。
ばーちゃんと歩きながら呟いた一言が最高だった。

主役なのに、うりちゃんが一番静かで穏やか。
負け続けても彼にはボクシングしかない。
でも観終わった後に心に残るのは、考え続けるのはやっぱり彼のこと。

終盤に描かれる彼の後ろ姿がね、
なんだろ、、、ものすごく切ないのに、いつものように微笑んでるのがわかる。
ボクシングを愛していることが伝わってきてジーンとする(泣ける)

エンドロールで吉田監督が、監督/脚本/殺陣指導と表記されてて、え?って思って、ボクシングにも殺陣指導があるんだなって知ったけど、そりゃそうだよね。
やみくもに闘えるはずがない。監督自ら拳闘シーンの殺陣指導まで担当した映画ってすごい。
今作がいかにリアルにボクシング映画であるかということがわかる。

そこだけでなく、編集も素晴らしくて、描かれるのはボクシングジムの日常なのにずーっと楽しく観られました。
木村文乃が本当にいいの。
うりちゃん、ずっと千佳が好きだったし、そのことをみんなわかってるよね。
わかってるけどわかってないことにする関係性が、むっちゃエモーショナルでした。

竹原ピストルさんのエンディング曲もぴったりで、あとからじわじわと好きになる、すんごい好きな作品です。

 

 

BLUE/ブルー  2021年  ☆☆☆☆☆
監督:吉田恵輔
出演:松山ケンイチ、木村文乃、柄本時生、東出昌大

大牧ボクシングジムに所属する瓜田信人(松山ケンイチ)は、人一倍努力するも負け続きのボクサーだった。彼の後輩で日本チャンピオン目前の小川一樹(東出昌大)は、瓜田がひそかに好意を寄せる天野千佳(木村文乃)と交際し、全てを手にしたかに見えたが、脳の病が発覚し引退を迫られる。ある日、女性にモテたいという楢崎剛(柄本時生)がジムに現れる。


ノマドランド

2021年04月03日 | アメリカ・イギリス

 

同年代なので、我が事のように受け止めながら没入しました。
自分はできるのかと。
そもそも絶対無理だということは承知の上で想像はしてみる。
身体は若い頃のように動かないし、いつ病気になってうごけなくなるかわからない、漂流する高齢労働者たち、というフレーズが重い。

アメリカでノマドがサブカルチャーとして存在し、車上生活を選択する人も増えているらしいけれど、今作は高齢労働者なんですよね、60代以上。
年金が少なすぎて家賃や住宅ローンが払えずに車上生活を選ぶ人が多いらしい。

企業倒産で暮らしていた街ごと消失し(郵便番号がなくなる)、夫を亡くし車上生活を選択した。ファーンも家があり、そこで暮らせるのならば旅にはでなかったはず。
ノマド初心者だったファーンが、クリスマスの時期はアマゾン配送センターで、夏は広大な国立公園での清掃、レストランでの調理、季節労働者として暮らしながらノマドの人たちと出会って変化していく。

正直なところ、車上生活を選択するしかない、ホームレスに近いイメージを持って観始めたんだけど、観ているうちに違うことを知らされた。
そもそも根本から違った。
どう生きるかという話であって、貧困や格差を描いた話ではなかった。

一緒に暮らそうと願う家族(妹)や友人はいるんですよね、最初は夫を亡くして天涯孤独な人だと思って辛かったんだけど、頼れる人がいないわけではない。でも彼女はノマドの暮らしを選択した。
思い出に囚われ、モノに囚われた人生から自由になる道を選んだ。

登場するノマドの人たちは実際の車上生活者だそうです。
自分語りをする場面があったので、もしやと思ったけれど上手に演じていて驚きです。

雄大な風景のなかを道を移動しながら生きていく。
すべて自己責任でひとりで生きていく。
しがらみに縛られず自由に誇りをもって生きることに感銘を受けつつ、
同時にリスクを抱えたノマドの暮らしを選択せざるえない人の現状も描いているところが稀有な作品だなと思ったのでした。

 

 

ノマドランド  2021年   ☆☆☆☆☆
監督:クロエ・ジャオ
出演:フランシス・マクドーマンド、デヴィッド・ストラザーン、リンダ・メイ、ボブ・ウェルズ
原作:ノマド 漂流する高齢労働者たち

アメリカ・ネバダ州に暮らす60代の女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)は、リーマンショックによる企業の倒産で住み慣れた家を失ってしまう。彼女はキャンピングカーに荷物を積み込み、車上生活をしながら過酷な季節労働の現場を渡り歩くことを余儀なくされる。現代の「ノマド(遊牧民)」として一日一日を必死に乗り越え、その過程で出会うノマドたちと苦楽を共にし、ファーンは広大な西部をさすらう。


騙し絵の牙

2021年03月26日 | 日本

 

面白かった!!

原作未読、「騙し合いバトル 全員ウソをついている」のキャッチフレーズ情報のみで観ました。
予告編は忘れたほうがいいかも。

大泉洋さんを当て書きされた作品だそうですが、脚本が当て書きと思っていたら、なんと!そもそも原作が当て書きされたものと後で知って驚いて、さらに映画化にあたって大幅に改変されていて驚きまくりです。
原作に引っ張られてわかりにくくなる作品がたまにある中で、吉田大八監督流石です。

結果、超面白かった!!

ともかくテンポが良い、主人公速水のすることがことごとく冴えわたって上手くいくので楽しい。
そんな、出来すぎでしょ!っていう感想は、なしでお願いしたい(笑)
だってそれを言ったら面白くない。
若干チープな展開もあるけれど、二転三転する状況に、ほぇ~って言いながらついていくのが楽しいんですから。

出版業界の内情が垣間見えて興味深かった。
高野恵の実家の書店が懐かしくて、子供の頃近所にあったなぁあんな本屋さん。

最上級のエンタメ、出演者陣も贅沢、最初から最後までストレスなくずっと楽しめて、
ラストも気持ちよ~~く回収されました。

 

 

騙し絵の牙  2021年  ☆☆☆☆
監督:吉田大八
原作:塩田武士
出演:大泉洋、松岡茉優、宮沢氷魚、池田エライザ、木村佳乃、佐野史郎、佐藤浩市、國村隼

大手出版社の薫風社で創業一族の社長が急死し、次期社長の座を巡って権力争いが勃発する。専務の東松(佐藤浩市)が断行する改革で雑誌が次々と廃刊の危機に陥り、変わり者の速水(大泉洋)が編集長を務めるお荷物雑誌「トリニティ」も例外ではなかった。くせ者ぞろいの上層部、作家、同僚たちの思惑が交錯する中、速水は新人編集者の高野(松岡茉優)を巻き込んで雑誌を存続させるための策を仕掛ける。


アズミ・ハルコは行方不明

2021年03月23日 | 日本



これはね、とても面白かったんだけど、難しかった。

なんといっても時間軸がわかりにくい。行ったり来たり、もしくは同じ場面が繰り返されたり。
それが難しさの要因だけど、同時に疾走感と躍動感が増してテンポよく面白くなってる。

ハルコの職場の環境の最悪さはちょっと懐かしいというか(←おいおい)
私が20代の頃の職場の女子の環境って近いものがあった、結婚するまでの腰掛っていうか。
それにしても最悪で最低な上司なんだこれが。

強烈なのがフラッシュバックのように突如現れる女子高生集団。
無差別に男子をボコる。

これは原作者の山内マリコさんの怒りなんでしょうね。
最後は女子高生だけじゃない集団になってた(私もいるのかな?)面白い!!

高畑充希演じるアイナが、軽薄でハイテンションでヒドイ!イライラする!最高だった!!
走りまくってたね、パワーがあったわ。
ユキオ(太賀くん)学(葉山くん)と共に「キルロイ」として街にアズミハルコの捜索願の張り紙をして落書きしまくる。
アホや~、アホだけど、有り余ったエネルギー、高揚感が凄かった、無知な若さが鬱陶しい。

失踪しちゃうアズミハルコもたぶんよくわかってないんだろな。
曽我(石崎ひゅーい)に付き合いたいと懇願してた。
あんなつまんない奴でさえ、ここではないどこかへ連れて行ってくれるかもしれない男なんだ、、悲しすぎる嫌になる。

ハルコの同級生の今井が、キャバクラで働いてた時のアイナの先輩という3人の関係。
今井の娘と共に3人で海へ行こうと物語は完結する。

もうね、正直ここまでくると整理がつきません(本音)
つまらん男たちがいない世界、女だけでいるんだな、と思うけど、これは人によっていろんな解釈がありそうです。

私の素直な感想としては、アズミハルコは行方不明になってないし、失踪もしてない気がしてて、
でも彼女が暮らしてたところは、閉塞してて最悪だった。

そんなところからはさっさと行方不明になってしまえ!
自分らしく生きられるところで生きればいいんだ!
って、そういうことかなって、私なりの結論なのでした。

好き嫌いが分かれるかもしれない。私はお気に入りの作品になりました。




アズミ・ハルコは行方不明  2016年  ☆☆☆☆
監督:松居大悟
原作:山内マリコ
出演:蒼井優、高畑充希、仲野太賀、葉山奨之、石崎ひゅーい、菊池亜希子

地方都市在住で27歳独身の会社員安曇春子(蒼井優)は、実家で両親と高齢の祖母と猫のみーちゃんと共に暮らしている。祖母の介護でイライラしがちな母親のまき散らす険悪な雰囲気が漂う家は、彼女にとって安らげる場所ではなかった。一方、成人式で中学時代の友人ユキオ(太賀)と再会した20歳の愛菜(高畑充希)は、流れでつい体の関係を持つ。