「だったら余計に問題です！ 自分の意志が働いているというなら、何故カレイドスコープナイトでありながら女王陛下に離反することを選んだんです！？ 自分の主君に離反し主君の国を奪った相手に仕えるというのは騎士として最悪の行動ですよ！？」 詰問するミッシェルに対し、バアルは落ち着いた口調で対応した。 「聞きたいのか。何故わたしが悪魔の側につくという選択をしたのかを」 「ええ！聞かせてください」 ＭＥＲＲＹ ＣＨＲＩＳＴＭＡＳ 良いお年を！ キジとタビ
「あのだな・・・アポリュオーンに憑霊されると悪の思念が極端に強くなる。よって獣などが憑霊されると凶暴化し他者に襲い掛かったりするようになるのだが、ある程度の理性を持ったものが憑霊されると悪の思念が強くなったあとも思考力や判断力は失われない。わたしは自分の意志で悪魔の側につくことを決めたのだ。そればかりか・・・わたしはアポリュオーンに憑霊され悪魔になって良かったとすら思っているのだよ」 この発言にミッシェルは激しく動揺した。バアルの離反はアポリュオーンに洗脳されたのが原因であり、自分の意志で離反したとは予想していなかったからである。
この言葉に対し、バアルは怒るでもなく言った。 「そういう態度をとるのが美しいと思っているのかい？」 「格好をつけているわけじゃありません！ ・・・今悪魔になっても自分には良心が残っているといいましたね？ だったら聞きますが、女王陛下に離反しサタンに寝返ったことに対してあなたは良心がとがめないんですか！？ なぜあなたはサタンの側につくことを決めたんです？ アポリュオーンに憑霊されたことで洗脳され、サタンの操り人形になってしまったんですか！？」
ミッシェルは草むらに倒れたままで、この自らにとって重苦しい現状を語る言葉を聞いた。 「悪魔になって人間界で見つけてきた鏡の欠片を差し出せば、お前も現政権で召し抱えてもらえるだろう・・・かっての仲間であるお前を殺すのはしのびない。これは、悪魔化したわたしに残るわずかな良心だ」 バアルの言葉を聞き終えると、ミッシェルは立ち上がり、そして決然たる口調で答えた。 「カレイドスコープナイトを名乗るものがぼくだけになったとはいえ、ぼくは最後までカレイドスコープナイトです。女王陛下に離反しサタンに服従するくらいなら首を刎ねられたほうがましです！」
