大爆発が起こった。 ルシフェールは爆発のとき蒸気よりかなり上を飛んでいたが、爆風に吹き飛ばされ大きく上に舞い上げられた。 蒸気からずっと離れた位置を走っていたミッシェルも爆発の衝撃波で横転した。 爆発性の蒸気が大爆発したのち、しばしの間をおいてサタンは地上に降りた。 地上には焦げたにおいが立ちこめ、枯れ草に引火した火がまだそこかしこでちろちろと燃えているのが見える。 サタンから少し遅れて、ルシフェールも地上に降りた。 爆風でかなりのダメージを受けてはいるが、戦闘不能となるほどではないようである。
ルシフェールは蒸気が自分の体に触れる距離に達する前に宙を舞い、蒸気から逃れた。 ミッシェルも地上を走り、蒸気からなるべく遠ざかろうとする。 もしこの蒸気が毒ガスのようなものであったなら、彼らの取った防御行動は十分なものであったろう。 しかしガラス瓶の中の液体が変化したこの蒸気は毒ガスの類ではなかった。 サタンは再度鎧の中に手を入れると、今度はマッチ棒のようなものを取り出し、それに着火し立ちこめる蒸気の中に落とした。 すると。
しかしそれとほぼ同時に、サタンも行動を起こしていた。 サタンが鎧の腹部に手をかけると、鎧の手を掛けた部分が扉のように開いた。 そしてそこから鎧の中に手を入れると、何かを取り出したのである。 その何かとは・・・中に液体の入った、細工を施したガラス瓶で、一見香水のように見えた。 サタンはルシフェールが矢を射るより先に栓を緩め、ルシフェールの頭上にガラス瓶を落とした。