ミッシェルの視線の先には中庭へと降りる螺旋階段があった。 しかし、その螺旋階段を数匹のアポリュオーンが這い上がりながら彼らに向かってくる。 のみならず背後の通路からも同じ程度の数のアポリュオーンがカサカサと這いながら襲いかかってきた。 「ガーネット・ガンズ・アンド・ジュエルズ!」 「アイス・オブ・ホワイトドラゴン・・・スノーワイバーン!」 火薬の炸裂する音と共にマルスのライフル銃からガーネットのように輝く弾丸が射出され螺旋階段を這い上がってきたアポリュオーンたちを撃ち抜いた。 同時にルシフェールの上に向けた左掌からドライアイスのような大量の煙が噴出し、その煙の中から白い氷で出来た前足のないドラゴンが現れる。
7色に光る蔓薔薇が消え、マルスが扉を開く。 4名の騎士が女王の寝室から出ると、再び閉まった扉を7色に光る蔓薔薇が覆った。 廊下に4名の騎士たちの足音が小さく響いた。 すると間もなく、つかの間の平穏を打ち砕くかのように廊下の先にアポリュオーンの群れが現れた。 カサカサと6本の足で走りながら殺到するアポリュオーンたち。 「アメジスト・ライン・オブ・ジ・エッジ!」 バアルが念を集中すると、シャムシールが紫色に輝き、次の瞬間紫色の閃光が走り、その一筋の紫色の閃光が縦一列に並び走ってくるアポリュオーンたちの体を貫通した。 爆発するアポリュオーンたち。 「階段はすぐ近くにあります!」
9 4名の騎士たちは結界を張った扉の前に立った。 マルスはガーネットのように輝くライフル銃、ルシフェールは7色の竜の技を行うため、念を集中し、ミッシェルはサファイアのように輝く剣、バアルはアメジストのように輝くシャムシール(半月状の刃の剣)をすでに具現化し武装している。 「では結界をお解き下さい、女王陛下」 「わかりました・・・あの」 時の女王は結界を解こうとしたが、その前に皆の顔を見た。 「なにか?」 「皆さんどうか無事で帰ってきてください」 「もったいないお言葉です。 何、われわれならば再度女王陛下のもとに並ぶことができるでしょう」 祈るように言う時の女王に代表してマルスが答える。 「その言葉を信じさせていただきます」 女王も意を決し、扉の結界を解いた。
「私からもお願いします。 鏡の欠片を持ち帰り皆を救ってください」 「「わかりました、必ずやこの危機を私たちで救って見せましょう」 「カレイドスコープナイトとして勤めは果たしましょう」 「がんばります!」 マルスと女王の言葉にルシフェールとミッシェル、バアルが応じた。 こうして彼らのつらい戦いが始まったのである。