老人は一息つくと、体からまるでスイッチを切るように電光を消し、ローブを拾い纏った。 「大丈夫かミッシェル」 老人は先ほどまで戦っていたミッシェルに肩を貸し起き上がらせた。 「お前と稽古するのもしばらくぶりじゃ。わしを上回るようなものを期待していたんだがのう・・・」 「無理です、あなたに勝てるわけがないですよ、ユピテル様」 やっとのことで起き上がりながらミッシェルが言った。
そしてつぎの瞬間オーラは消え、代わりに空に浮かぶ老人の周囲に先ほどの比ではないほどの巨大な電光が生じていた。 「アンバー・ディヴァイン・テンペスト!!」 老人が叫ぶと、 老人の周囲から本物の稲妻のような巨大な電光がつぎつぎと落ちてきた。 必死で躱すミッシェル。稲妻はつぎつぎとミッシェルの周囲に落ち、はなはだしい光と轟音を生じた。どうにかすべてよけきったミッシェルが安堵していると、いつの間にか老人が降りてきて後ろに立っていた。慌てて振り向く。しかし。 「リアル・ローリング・サンダー!!」 老人はさっと背を向けると右足を振り上げ、左足でミッシェルに向かって跳ぶと、自分の体を横倒しにしながら空中で回転し、右足でミッシェルの首筋に後ろ回し蹴りした。老人の体はまだ電気に覆われていたこともあり、ミッシェルは蹴りと感電のダメージ両方で倒れこんでしまった。彼のそばに落ちた青い剣が青い光に変わったかと思うと、消えた。
ところが! 斬るより早く老人のトラースキック(後ろ蹴り)が後方にいるミッシェルの胸を捉え、ミッシェルは吹き飛ばされた。 「こうなったら一か八か・・・」 ミッシェルはどうにか起き上がると、念を集中した。すると、ミッシェルの全身をサファイアのような青いオーラがつつみこんだ。自身が青く輝く光球と化す。 「サファイア・イーヴィル・バスターーー!!!」 ミッシェルは老人めがけ駆け、剣を袈裟斬りに一閃させようとした!
「アンバー・エレクトリカル・メイル・・・!」 老人が念をこめると、琥珀のような色をしたオーラが生じ、体をつつみこんだ。すると次の瞬間オーラは消え、代わりに激しい火花を発する電光が体の周囲に生じていたのであった。 老人は一気に間合いをつめ右のミドルキックを放った。ミッシェルはうしろに飛び退って躱し、足の甲が弧を描いて空を切った。老人はさらに拳打と蹴りを矢継ぎ早に放つ。しかも老人の体は高圧電流に覆われているため、ふれただけで感電は免れない。 「これじゃ近づくこともできない!?」 防戦一方となるミッシェルだが、老人がミドルキックを空振りした隙を突き、背後に回り込み、斬りつけようとした。