ユピテルの言葉を聞きミッシェルはルシフェールとの今までの関係を思い出した。ルシフェールは施設で唯一霊力が使えなかった自分に霊力を教えてくれた。のみならず、自分がカレイドスコープナイトになっってからは戦闘中危険に陥った際何度も助けてもらい、自分をかばったせいで負傷したことさえあった。 「確かに・・・!」 「マルスといい、みなそういう生き方をしてきたのじゃよ。ルシフェールも立派に強者として生きてゆくじゃろう。われらはせいぜい彼を応援してやろうではないか」 ルシフェールを一瞥すると、ユピテルはグラスを手にした。
「どうでもいいがその言い方は、わたしは強者ではないということですな?」 「ルシフェールに比べればな」 ナイフとフォークを持ったまま言うバアルに答えると、ユピテルは続けた。 「強者として生きるということは、ただ皆から持ち上げられて威張り散らしていればいいというものではけっしてない・・・他者の何倍も努力しなければならないし、他者の何倍も頭を下げるということもしなければならない。何よりも、自分が弱い者たちを支えてあげなければならぬのじゃ。世の中には他者のサポートなしにはやってゆけない者たちもいる。強者は自分が損をしてでも立場の弱い者たちを支えてあげねばならない・・・強者として生きるということは、強さの代償に私的な幸せを犠牲にするということなのじゃよ」