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大学と研究費---仕分け批判のニュースから思ったこと・追記あり

2009年11月27日 | 社会のニュースを考える
「必殺仕分け人」とマスコミが呼んでいる仕分け作業は、今までわからなかった「予算配分の見える化」があって、国民には概ね好評のようだけど、蓮舫議員の矢継ぎ早質問攻めの同じ場面が、何度も何度も何度も流されたりすると、ある種の仕分けに対する印象操作のようなものが、国民に働いてしまうんじゃないかと思う。
また、これが最終決定ではないことも再三言われているのに、あたかも「仕分け人=必殺」で決まり、みたいな印象も受けてしまう。
ニュースを面白くしたいマスコミの気持ちはわかるけど、行き過ぎたパフォーマンス的な報道は、やっぱりいかがなものか。

さても、宇宙飛行士の毛利衛さんが館長を務める「日本科学未来館」の予算配分において、政府と「日本科学未来館」の間に入っている財団法人などの問題が本当の課題ポイントだったのに、なぜか国民的英雄の毛利さんを仕分け人が問い詰めているような場面ばかりが、テレビから流れてきたらそれはちょっとなあ・・と仕分けに対して、誤解を持ってしまう方たちもいるんじゃないかとも思う。

それらを受けた形で、危機感を抱いた日本の大学が予算削減で研究費が減らされることに対して、抗議の声をあげた。

9大学が仕分け批判、予算削減で「科学立国崩壊」(読売新聞) - goo ニュース

 行政刷新会議の「事業仕分け」で、科学技術分野でも予算の廃止や大幅縮減が相次いだことを受け、東京大学の浜田純一学長ら旧帝大の7学長と、早稲田大と慶応大の学長が24日、東京都内で記者会見した。
 国内主要大学の学長が一堂に会して会見するのは極めて異例で、学術界の危機感の強さを印象づけた。
 9学長は会見で、事業仕分けを批判する共同声明を発表した。この中で、仕分け結果に基づく予算削減について「科学技術立国の基礎の崩壊、学術文化の喪失に至る」と指摘した。科学技術で世界一を目指すことに疑問符をつけられた点に関しても、「世界の知の頂点を目指すことを 抛擲 ( ほうてき ) する(放り出す)ならば、日本の発展はありえない」と強調し、政府に再考を強く促した。


私がこれから書くことは、一般人として、素朴に疑問に思うことで、専門家から見れば間違いだらけと指摘されるのを承知の上で、やっぱり書かずにいられないので。

日本の一流大学の研究者はある意味、特権階級に属する人たちで、これまでずっと国に守られながら自分のやりたい研究を続けられた。
それらを否定するつもりはないのです。

ただ、何がいいたいかというと、日本の「権威」ある大学はこれまでも、国から予算をもらってあらゆる研究を行ってきたのだろうけれど、予算があるがゆえに、予算に見合ったコストをかけた研究しかできない、国からそれなりの予算をもらわないと研究は無理だと決めつけているんではないかという疑問。

世界中が経済危機の中でどうして乗り越えようかというこの時期に、やはり日航のOBといっしょで、「自分たちは特別」という意識から少しは、譲歩しなければならないんじゃないかと。まったくなくなるってわけではないのだから。

学問や研究は本当にお金がないとできないのか。
たとえば、大学に属していない名もない個人の研究は、どこからもお金をもらえず、個人の努力と情熱しか頼るものがない。しかし、思いがけない発見や発明は、えてして、「権威」に邪魔されないこういうところから出てきたりするのではないか。
(しかも、せっかく結果を出しても、いわゆる大学や大企業などの「権威」の傘がなければ、日の目を見られず、うっかりすれば既得権益を持った人たちに、バッシングされ、つぶされてしまうこともあるのである。)

発明王エジソンは、小学校中退だった。
骨盤調整法を提唱した五味雅吉氏は、世界で始めて仙腸関節が動いて骨盤がずれるということを発見した。それまでは仙腸関節は不動関節と言って動かないものと医学の世界では決まっていたが、その常識を彼は覆した。彼は、医者ではなかったし、大学で教えられたことが正しいと信じていたら、このような発想はできなかったろう。
奇跡のリンゴを作った木村秋則さんは、リンゴ農家に婿入りするまでは本格的には農業に関わっていなかった。リンゴを無農薬で作るということは、専門家にとっては不可能ということに決まっていた。しかし、木村さんによって、それは間違っていたと実証された。

主流じゃない人たちは、専門家といわれる人たちから馬鹿にされ笑われて、誰が守ってくれるでもなく、研究費が出るわけでもなく、それでも、やむことない情熱で結果を出してきたのである。

くわえて、最近手にした何冊かの本でも、驚くべきことに専門家以外の人が、実践を伴った新しい発見をしたことを知った。それらの発見は、21世紀の社会の大きな一翼を担うはずの素晴らしい仕事だ。

 
  奇跡の杉―「金のなる木」を作った男 船瀬俊介(著)
  NASAより宇宙に近い町工場  植松 努 (著)


大学関係者に望むことは、大学の学問だけが絶対ではないともう少しだけ、謙虚になっていただきたいということと、ピンチはチャンスというように、事業仕分けを機にもう少し視野を広げて、コストをかけずに結果を出すことに挑戦していただきたいということ。どんなに素晴らしい研究も、一度の実験のたびに多額のお金がかかるなら、継続することが難しくなってくるのは当然ではないのか。
そして専門以外、主流からはずれた人の研究もハナから否定せず、嘲笑したり邪魔したりしないで欲しいということ。心ある大学の先生は、相互協力も行っているけれど、数少ない。

私ごときがいうのも、大変僭越至極ですけれどね。日本の有名大学の学長が一堂に会したというニュースを見て、まあ、そんなことを思いました。

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11/27 
★追記です~やればできるよ、コストカット 

コメント欄で、まとり様より今朝の西日本新聞のニュース情報を教えていただきました。
仕分けの対象になったスーパーコンピューター(スパコン)ですが、このタイミングで、長崎大学が、数百億円規模を必要とする開発費用を3800万円に抑えたスーパーコンピューターを開発、米電気電子学会の「ゴードン・ベル賞」(価格性能部門)を受賞した、とのことです。(以下青字、記事全文)

スパコン開発で「ゴードン・ベル賞」 長崎大助教ら受賞 「国内最速」安価で実現

 長崎大工学部の浜田剛助教(35)のグループは26日、国内最速のスーパーコンピューターを開発し、米電気電子学会の「ゴードン・ベル賞」(価格性能部門)を受賞した、と発表した。同賞はスーパーコンピューター分野のノーベル賞といわれ、市販の画像処理装置(GPU)を使って安価に高速計算を実現したのが受賞理由。同部門の受賞は8年ぶりという。
 政府の新年度予算概算要求の事業仕分けでは、次世代スーパーコンピューター開発予算(267億円)が大幅削減とされたばかり。浜田助教は「高性能の計算機は重要だ」としながらも、巨費を投じた従来の開発方針について「素直にいいとは言えない。方向性が逆」と述べ、低価格化が可能との見方を示した。
 浜田助教らのスーパーコンピューターはGPUを760個並列につなげたもの。1秒間に158兆回の計算ができ、国内最速の「地球シミュレータ2」の同122兆回を上回ったという。
 GPUを大量につなげられるプログラムの開発が成功のカギとなり、数百億円規模が必要とされる開発費用を3800万円に抑えたという。天体物理学などの複雑な計算での活用が見込まれる。

=2009/11/27付 西日本新聞朝刊=

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見識が ()
2009-11-25 14:56:23
 今の研究には金がかかるものです。金なしでやることはきついでしょう。

 利権だとか関係ないし…。
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利権ということではなくて (金木犀)
2009-11-25 18:19:26
朝さん、はじめまして。

>今の研究には金がかかるものです。金なしでやることはきついでしょう。

今までの常識ならその通りだと思いますが・・
この記事、「あえて」書いてみました。

有名な話で、アメリカのNASAが、気圧の関係で宇宙ではボールペンが使えないので、宇宙空間で使えるボールペンを巨費をかけて開発しました。
同じころ、ソ連では、ボールペンの代わりに鉛筆を使いました。
多額の予算があればあっただけのお金を使ってしまいます。
予算がなければ、別の知恵が働きます。

それと同じように、事業仕分けをきっかけにして、ここでいったん、本当に必要か必要でないか精査して見る、知恵を働かせて意外な節約のアイデアが出てくる可能性だってあります。賢い人たちなのですから。
そういう作業の後に本当に必要なものであるというなら、本気でアピールすべきでしょう。
返信する
政治の透明性について (ユリアナ)
2009-11-25 20:42:40
金木犀様、こんにちは。

さて、事業仕分けについては色々な意見があるので、ここでは予算が最終的に決定するまでの「過程」を述べたいと思います。(私は大部分は民主党のやっている事には賛成なのですが。科学技術関係の予算はかえって増額してもらいたい、という主義です。個人的には。という事は野依先生の支持者です。)

さて「過程」についてですが、このように決定までの過程が公開された事に大きな意義があるのではないでしょうか?
これとは関係もあるし関係していない、とも言える事なんですが、週刊誌「AERA」に載っていたのですが、田岡俊次さんという記者がこういう事を書いておられました。
田岡さんが、ある省の政務官(民主党の国会議員という事)を取材に行ったら、お茶一杯しか出なかった、という事。それも、オープンで他の人もいる所だったらしいのです。これが自民党だったら、銀座・赤坂のバカ高い料亭だった。と。という事は、自民党政権時代は、政治家と記者の会合は料亭で行われていた、という事。つまり密室でという事。
だから、田岡さん、’お茶一杯’で政権交代を実感したそうです。

今度の事業仕分け作業も、ネットで生中継され、担当する枝野議員・連ホウ議員より、役所の官僚達の苦虫を潰したような顔がしょっちゅう映し出されているのが大変印象的なのです。
議論の公開、これが今回の最大の収穫ではないでしょうか?
返信する
ユリアナさんへ (金木犀)
2009-11-25 22:14:26
ユリアナさん、こんばんは。

田岡さんの大変興味深いお話、ありがとうございました。
お茶一杯と、料亭では、まったく感覚が違いますよね。
この感覚の違いが、今の仕分け作業のオープン化にも生きているのですね。

>役所の官僚達の苦虫を潰したような顔がしょっちゅう映し出されているのが大変印象的なのです。

そうか、ネットなら全部が見られます。
私なんぞは、たいてい時計代わりにつけた朝のワイドショーを見るだけですから、テレビ局の編集の仕方で印象が違って来ることも考慮に入れて見なければなりません。
そのままを見られるっていうことが、いいんでしょうね。

そこで、お茶一杯と料亭のこの感覚の差。
これが、アカデミズムの世界にもいえないかとふと思ったのです。
大学の研究費も一般人にはブラックボックスですからね。
もちろん、絶対に必要なものは落としてはならないと思いますけれど。
返信する
意識レベル、初めて知りました。 (まとり)
2009-11-26 01:13:13
はじめまして。

どちらかというと似た視点で、仕分け報道を見ています。私も研究者の端くれだった者です。

研究という分野は、早い者勝ちです。確かに日本は研究予算が多いとは言えないのですが、そもそも世界的に見てそういうお金の使い方が間違っていると思います。

人類の進歩も大事ですが、飢える人、病める人、家がない人、そういう人達を救う方が先決だと思います。そしてみんなが安心して暮らせる、最低水準の食事、教育がある世の中が最優先だと。

スーパーコンピュータで1番って、いろんなシミュレーションに重要なのは分かりますけど。そのスーパーコンピュータで世界平和を導き出せるなら、どうぞお金をかけて下さいって思います。

危機感や金銭感覚、価値観が違うので仕方ない話だと思いますけどね。科学は大事だけど、それが全てじゃないでしょうに。

とりとめない文章ですみませんでした。
返信する
まとりさま (金木犀)
2009-11-26 12:43:42
はじめまして。
素敵なコメント、ありがとうございました。
一文一文、共感しながら読ませていただきました。

>確かに日本は研究予算が多いとは言えないのですが、そもそも世界的に見てそういうお金の使い方が間違っていると思います。

アメリカは、科学者を優遇しますが、そんな国が世界一の軍事大国、兵器大国です。
医薬品にしても、特許の取れる薬品はお金になるので開発しますが、特許の取れない治療技術は、お金にならないので、ほっておかれます。
サブプライムローンを考案した、高等数学を駆使した金融工学のエリートたちは、いまだに高額のボーナスをもらっているそうです。

私が影響を受けた飯田史彦さんは、今年3月まで福島大学の経営学の教授だったのですが、経営とは、それによってすべてのものを幸せにすることが目的だと言われました。
同じことは、政治や科学にも言えるのではないかと思います。すべてのものを幸せにするという大前提の下で、その科学は必要なものであるといえるんじゃないでしょうか。

>危機感や金銭感覚、価値観が違うので仕方ない話だと思いますけどね。科学は大事だけど、それが全てじゃないでしょうに。

同感です。科学者は、一つのことに特化して優秀な方たちだと思いますが、それだけに目を向けるあまり、世間知らずといいますか、現状の危機に気づかないのかもしれませんね。

日本の科学技術に期待もしていますが、それが単なる世界との競争に打ち勝つということならいつか限界が来るんじゃないか、と感じます。
視点を変えて、すべてのものを幸せにすることを目的とするなら、また別の思いがけない発想が浮かんでくるんじゃないかなと思うのですが・・
返信する
お金よりも希望 (カヲル)
2009-11-26 19:38:30
小生も、漠然と同じことを考えていました。

日本が科学技術立国として名を馳せたのは、
“希望”以外に何も無いところから這い上がってきたからです。

今更「お金が無いと何もできない」と言うのは、
現在、お金が無い人に対して失礼であり、
「崩壊」「喪失」「抛擲」などという言葉で危機を煽ることは、
自己の地位に拘泥している証拠でしょう。
「片腹痛い」と嘲言申し上げます。

僭越ながら持論を撲ちますと・・・、
「人間とは、慣れて、忘れて、怠ける生き物である。」
返信する
お返事、ありがとうございます。 (まとり)
2009-11-27 00:49:04
金木犀様

>日本の科学技術に期待もしていますが、それが単なる世界との競争に打ち勝つということならいつか限界が来るんじゃないか、と感じます。

もう争う時代は終わろうとしていますね。確かに争うこと、ライバル視することで発展することもあります。しかしそういう社会構造はいずれ崩壊するのです。

例えば、各国の各大学で多くの研究費を使って研究がなされています。もしその中で優秀な人材が集まって、一カ所で研究したらどうなるか。より少ない費用でより高い成果が得られます。しかし今の争う意識レベルでは、到底なし得ない理想論です。

飯田史彦先生の著書は、以前何冊も拝読しました。確か同じ広島県人と記憶しております。また奇しくも同じく、今年3月で大学を退職しました。やりたい事をやるには、大学というのはあまりにも不自由です。

これからアマゾンでパワーか、フォースかを購入します
返信する
科学至尊主義にならないか (ましま)
2009-11-27 16:39:42
金木犀さんの感覚に共鳴します。
先生方は素晴らしい方ばかりで書きにくいのですが、スーパー・コンピュータも宇宙開発も量子力学も「軍事目的」から切り離せない「国家投資の聖域」にされていたことは否定できません。

科学立国は否定しません。人類の幸福追求も結構です。ノーベル・アインシュタイン・湯川秀樹博士など立派な先輩もいます。

仮に「国が金を出すのは当然だ」「ケチるとは何事だ」「国益に反する」「必要な無駄遣いだ」という「黙れ!」と言わんばかりの「科学至尊主義」があるとすれば心配です。
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天の計らいか (まとり)
2009-11-27 20:37:41
素晴らしい内容が、的確なタイミングで出ましたね。創意工夫が大事だと思います。

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