『夜は短し歩けよ乙女』 はですね、私にとって 万城目学 『鴨川ホルモー』以来のイカキョウ(いかにも京大生=変人)の青春賛歌
私の好みに、直球ド真ん中の小説だったのです
これは絶対、森見登美彦・作品を続けて読まねば と、次に手に取ったのが
『太陽の塔』 森見氏デビュー作です
笑って笑って、読み終わったあと ホッコリして と 期待してたのに
まさか、こんなラストが待っているなんて・・・・・・
最後の六ページ、私の涙腺は決壊しました
もう まぶたが重くなるほど泣いちゃった
切ない、胸がいっぱい、どうすればいいの 読後のこのモヤモヤ感
書き出しは、こう
>何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
>なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。
ラスト2行は
>何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
>そして、まあ、おそらく私も間違っている。
これは 彼女から別れを告げられたのに 過剰な自意識が、その事実を認められず
七転八倒したあげく、一年かかって ようやく失恋を受け入れた「私」の物語
『夜は… 』 が、クスッと笑い プッと吹き出しという 品の良い笑いだったのに対し
『太陽… 』 は、ニヤニヤと にやけ、ヒイヒイと腹を抱える、下ネタあります、 作者いわく「男汁溢れる手記」なのだ
「水尾さん研究」と称して、元カノの日常を詳細になぞる 「私」
これはもう ほとんどストーカー
いえいえ、ヘタレ男子の哀しいまでの純情です
「私」の状況を抜粋すると
>私を含めてどいつもこいつも、奪われる心配もない純潔を後生大事に守り通している
>しかし、私が女ッ気のなかった生活を悔やんでいるなどと誤解されては困る
>自分の周囲に張り巡らされた完全無欠のホモソーシャルな世界で満足していた
>類は友を呼ぶというが、私の周囲に集まった男たちも女性を必要としない、あるいは必要とされない
男たちであって、我々は男だけの妄想と思索によって、さらなる高みを目指して日々精進を重ねた
>あまりにも高みに上りつめすぎたために今さら下りるわけにもいかない、そもそも恐くて下りることが
できないと、誰もが思いながら口をつぐみ、男だけのフォークダンスを踊り狂った
そんな「私」が、三回生の時に恋をする
大学に入学したての一回生、水尾さんである
夏に始まった恋人関係は、次の年のクリスマス直前に 唐突に打ち切られる
「私」は、彼女はなぜ私という人間を拒否したのかと いう疑問の解明のために
水尾さん研究を続けるのであり、
>私にとって彼女は断じて恋の対象などではなく、私の人生の中で固有の地位を占めた一つの
謎と言うことができた
と、開き直る
>どんなことを為すにしても、誇りを持たずに行われる行為ほど愚劣なものはない。
>ひるがえって言えば、誇りさえ確保することができれば どんな無意味な行為も崇高なものとなり得る
この言い訳がましい自己肯定
>これまた若者にありがちな「自分は選ばれた人間である」という鼻持ちならぬプライドを、私もまた
持っているわけだが、これまたありがちなことに、選ばれしものとして の恍惚も不安も日常の中には
カケラも見つからない。
>では お前が「選ばれている」と信じ込んでいる根拠は どこにあるのだと問われれば、
私のほうが教えて欲しいぐらいである。
あ~ どうしようもないモラトリアム野郎よ
「夢をなくしちまったよ、俺」 飾磨大輝
「ダメだ。三次元だぜ。立体的すぎる。生きてる。しかも動いている」 高藪智尚
「みんなが不幸になれば、僕は相対的に幸せになる」 井戸浩平
「我々の日常の九十パーセントは、頭の中で起こっている」という 四天王の ドタバタ喜劇に気をとられていると、
あ~ん ずるいよ、これは・・・・・・ ここで ファンタジーをぶち込んでくるか
神秘的に 叡山電車が深夜の街を走る、 夢の中の美しい光景が広がり、森の向こうに
太陽の塔が、ぬうと天をつく
>太陽の塔には人間の手を思わせる余地がなかった。
>それは異次元宇宙の彼方から突如飛来し、ずうんと大地に降り立って動かなくなり、
もう我々人類には手のほどこしようもなくなってしまったという雰囲気が漂っていた。
>もう一度、もう二度、もう三度、太陽の塔のもとへ立ち帰りたまえ。
素直に大好きだったと 認めて、泣いて、叫んで、落ち込んで
それができない「私」の もがいてあがいた一年間
クリスマス・イブの夕暮れ、<ええじゃないか騒動>を 巻き起こした張本人は静かに退場し
「私」は、「ええわけがない」と 強く言い返す
>見よ洛陽の花霞 桜の下の男の子らが
>いま逍遥に月曰く 静かに照れり吉田山
この後の六ページを書きたいがために、そのために ここまで
いけてない さえない 地味な「私」の生態を延々と述べてきたのでは・・・と、思うほど
私は、ここで泣きました
お馬鹿で、 いい歳して お子ちゃまで、 憎めないけど生意気で、 傷つくことを過剰に恐れ
シャイなくせに 妙に図々しくて、 何やってんだか呆れるよ ホント
それもこれも全部ひっくるめて、いとおしい
普通は、この小説読んで 泣かないのかな
息子を持つ 母親目線が入っちゃってるからかな
主人公をピュアだと思う 私が変???
若い女性が読んだら、感想は「ハァ~ッ ダメ男ねぇ() 」ってなるのかな・・・・・・
ともあれ、大好きな一冊です
印象に残ったフレーズを
・まなみ号
・邪眼
・夢玉
・君は他人の夢を十年も大事に守ってきたんだね
・太陽電池で動く仕組みになっているモダアンな招き猫
・Gキューブ
・まだ精神の合理化が足らんな。もっと精進したまえ。いずれ不合理な情動を排して、
自己を律することができるようになる。私のように、だ
・すごいです。これは宇宙遺産に指定されるべきです
・許さん。許さんぞぉ・・・
・探さないと見つからないようなものは大したものではない
・幸せのありかなんぞ教えていらん、私の幸せは私だけのものだ
・夜明けじゃなくても痛々しい。生きてるだけで痛々しい
・飾磨よ、頼むから紳士であれ
・猫ラーメン
・私は太陽の塔に祈りを捧げるがごとく低頭した。敗北すべき所を心得た所作であると我ながら思う
・感情をぐずぐず弄んでいるうちに腐っちまったんだな
・これは俺のゴンドラ ―― 砂漠の俺作戦
・私、部屋によけいなものが増えるのは嫌です
・で、なんで あんたがそこに居たの?
・大学生が赤ん坊の次によく眠る人種であることは言うまでもない
・脳味噌から指先は どうしてこんなに遠いのかな
・生きよ、(けれども少しは)恥じよ
・あんまりそんなことばっかりしてるのも どうかと思うよ
・私のどこが好きなんですと言って、私を怒らせる
・幸福が有限の資源だとすれば、君の不幸は余剰を一つ産みだした。その分は勿論、俺が頂く
・しかし、酔うまい。決して自分には酔うまいぞ。そう自分に言い聞かせながら、雪降る夜明けの街を
歩き、しばらくうんうん頑張ってみたが、せめて今日ぐらいは自分に酔わせてくれと思って私は泣いた
最後に、何度 読んでも「美しいなぁ・・・」って、目のあたりがジワッと熱くなる一文を
>そして 豆粒のように小さな人影が、精一杯 背をそらせて太陽の塔を見上げていた
私の好みに、直球ド真ん中の小説だったのです
これは絶対、森見登美彦・作品を続けて読まねば と、次に手に取ったのが
『太陽の塔』 森見氏デビュー作です
笑って笑って、読み終わったあと ホッコリして と 期待してたのに
まさか、こんなラストが待っているなんて・・・・・・
最後の六ページ、私の涙腺は決壊しました
もう まぶたが重くなるほど泣いちゃった
切ない、胸がいっぱい、どうすればいいの 読後のこのモヤモヤ感
書き出しは、こう
>何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
>なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。
ラスト2行は
>何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
>そして、まあ、おそらく私も間違っている。
これは 彼女から別れを告げられたのに 過剰な自意識が、その事実を認められず
七転八倒したあげく、一年かかって ようやく失恋を受け入れた「私」の物語
『夜は… 』 が、クスッと笑い プッと吹き出しという 品の良い笑いだったのに対し
『太陽… 』 は、ニヤニヤと にやけ、ヒイヒイと腹を抱える、下ネタあります、 作者いわく「男汁溢れる手記」なのだ
「水尾さん研究」と称して、元カノの日常を詳細になぞる 「私」
これはもう ほとんどストーカー
いえいえ、ヘタレ男子の哀しいまでの純情です
「私」の状況を抜粋すると
>私を含めてどいつもこいつも、奪われる心配もない純潔を後生大事に守り通している
>しかし、私が女ッ気のなかった生活を悔やんでいるなどと誤解されては困る
>自分の周囲に張り巡らされた完全無欠のホモソーシャルな世界で満足していた
>類は友を呼ぶというが、私の周囲に集まった男たちも女性を必要としない、あるいは必要とされない
男たちであって、我々は男だけの妄想と思索によって、さらなる高みを目指して日々精進を重ねた
>あまりにも高みに上りつめすぎたために今さら下りるわけにもいかない、そもそも恐くて下りることが
できないと、誰もが思いながら口をつぐみ、男だけのフォークダンスを踊り狂った
そんな「私」が、三回生の時に恋をする
大学に入学したての一回生、水尾さんである
夏に始まった恋人関係は、次の年のクリスマス直前に 唐突に打ち切られる
「私」は、彼女はなぜ私という人間を拒否したのかと いう疑問の解明のために
水尾さん研究を続けるのであり、
>私にとって彼女は断じて恋の対象などではなく、私の人生の中で固有の地位を占めた一つの
謎と言うことができた
と、開き直る
>どんなことを為すにしても、誇りを持たずに行われる行為ほど愚劣なものはない。
>ひるがえって言えば、誇りさえ確保することができれば どんな無意味な行為も崇高なものとなり得る
この言い訳がましい自己肯定
>これまた若者にありがちな「自分は選ばれた人間である」という鼻持ちならぬプライドを、私もまた
持っているわけだが、これまたありがちなことに、選ばれしものとして の恍惚も不安も日常の中には
カケラも見つからない。
>では お前が「選ばれている」と信じ込んでいる根拠は どこにあるのだと問われれば、
私のほうが教えて欲しいぐらいである。
あ~ どうしようもないモラトリアム野郎よ
「夢をなくしちまったよ、俺」 飾磨大輝
「ダメだ。三次元だぜ。立体的すぎる。生きてる。しかも動いている」 高藪智尚
「みんなが不幸になれば、僕は相対的に幸せになる」 井戸浩平
「我々の日常の九十パーセントは、頭の中で起こっている」という 四天王の ドタバタ喜劇に気をとられていると、
あ~ん ずるいよ、これは・・・・・・ ここで ファンタジーをぶち込んでくるか
神秘的に 叡山電車が深夜の街を走る、 夢の中の美しい光景が広がり、森の向こうに
太陽の塔が、ぬうと天をつく
>太陽の塔には人間の手を思わせる余地がなかった。
>それは異次元宇宙の彼方から突如飛来し、ずうんと大地に降り立って動かなくなり、
もう我々人類には手のほどこしようもなくなってしまったという雰囲気が漂っていた。
>もう一度、もう二度、もう三度、太陽の塔のもとへ立ち帰りたまえ。
素直に大好きだったと 認めて、泣いて、叫んで、落ち込んで
それができない「私」の もがいてあがいた一年間
クリスマス・イブの夕暮れ、<ええじゃないか騒動>を 巻き起こした張本人は静かに退場し
「私」は、「ええわけがない」と 強く言い返す
>見よ洛陽の花霞 桜の下の男の子らが
>いま逍遥に月曰く 静かに照れり吉田山
この後の六ページを書きたいがために、そのために ここまで
いけてない さえない 地味な「私」の生態を延々と述べてきたのでは・・・と、思うほど
私は、ここで泣きました
お馬鹿で、 いい歳して お子ちゃまで、 憎めないけど生意気で、 傷つくことを過剰に恐れ
シャイなくせに 妙に図々しくて、 何やってんだか呆れるよ ホント
それもこれも全部ひっくるめて、いとおしい
普通は、この小説読んで 泣かないのかな
息子を持つ 母親目線が入っちゃってるからかな
主人公をピュアだと思う 私が変???
若い女性が読んだら、感想は「ハァ~ッ ダメ男ねぇ() 」ってなるのかな・・・・・・
ともあれ、大好きな一冊です
印象に残ったフレーズを
・まなみ号
・邪眼
・夢玉
・君は他人の夢を十年も大事に守ってきたんだね
・太陽電池で動く仕組みになっているモダアンな招き猫
・Gキューブ
・まだ精神の合理化が足らんな。もっと精進したまえ。いずれ不合理な情動を排して、
自己を律することができるようになる。私のように、だ
・すごいです。これは宇宙遺産に指定されるべきです
・許さん。許さんぞぉ・・・
・探さないと見つからないようなものは大したものではない
・幸せのありかなんぞ教えていらん、私の幸せは私だけのものだ
・夜明けじゃなくても痛々しい。生きてるだけで痛々しい
・飾磨よ、頼むから紳士であれ
・猫ラーメン
・私は太陽の塔に祈りを捧げるがごとく低頭した。敗北すべき所を心得た所作であると我ながら思う
・感情をぐずぐず弄んでいるうちに腐っちまったんだな
・これは俺のゴンドラ ―― 砂漠の俺作戦
・私、部屋によけいなものが増えるのは嫌です
・で、なんで あんたがそこに居たの?
・大学生が赤ん坊の次によく眠る人種であることは言うまでもない
・脳味噌から指先は どうしてこんなに遠いのかな
・生きよ、(けれども少しは)恥じよ
・あんまりそんなことばっかりしてるのも どうかと思うよ
・私のどこが好きなんですと言って、私を怒らせる
・幸福が有限の資源だとすれば、君の不幸は余剰を一つ産みだした。その分は勿論、俺が頂く
・しかし、酔うまい。決して自分には酔うまいぞ。そう自分に言い聞かせながら、雪降る夜明けの街を
歩き、しばらくうんうん頑張ってみたが、せめて今日ぐらいは自分に酔わせてくれと思って私は泣いた
最後に、何度 読んでも「美しいなぁ・・・」って、目のあたりがジワッと熱くなる一文を
>そして 豆粒のように小さな人影が、精一杯 背をそらせて太陽の塔を見上げていた