2011年7月23日(土) 水廻り用品の標準化
新築された現在のマンションに住んで以来、20年程になり、あちこちに不具合が出てきているが、その一つが、水廻りである。少し前、風呂・台所用の湯沸かし器が故障して、修理してもらったことがある。今回は、浴室の中の洗い場の、混合水栓が不具合で、止水―カラン―シャワーの、切り替え部の締りが悪く、シャワーから、常時、ぽたぽたと、水漏れするようになって、数か月以上になる。
最後に風呂を使って仕舞う時は、湯船の水位はかなり低いのだが、シャワーの出口を浴槽に入れた儘にして置くと、翌日に、沸かす頃には、浴槽が、満タンの状態になっているのだ。漏水量を、ちゃんと計ったことは無いが、2~3日で、浴槽1杯分ぐらいの量になるかもしれない。 今年になって、都の水道局からも、“水道のメーターが、常時、廻っていて、漏水している可能性がある、と検針員からの報告です” という、葉書が届けられてもいる。
このような状況は、水道代の無駄だけでなく、省資源の観点からも、決して、放置していて、いいことではない。重い腰をあげて、何とか、対処する事とした。
TVのコマーシャルでは
水のトラブル 8000円!
などと、呼びかけているが、なにはともあれ、当マンションの管理を請け負っている、管理会社に電話して聞いてみた。 水廻りのメンテを請け負う会社を紹介され、連絡したら、程なくして、先日、担当の方が、来てくれたのである。
その人に、水漏れの状況を見て貰ったが、水栓全体を取り替えるしかなく、数万円ぐらいかかる、と言われて、驚いた。 自分としては、パッキングのゴムを取り替える程度で、技術料等を入れても、1万円位で済む、と思っていたのだ。
でも、その人に良く聞いてみたら、この種の水栓の規格は、標準化されていて、同一メーカーの物でなくとも、互換性があり、ホームセンター等でも、売っていて、専門家でなくとも、自分でも工事が出来る、と言うのだ。元エンジニアとしては、聞き流すわけにもいかず、チャレンジしてみる事とした。
自分でやってみて、上手くいかなかった時は、改めてお願いする事として、来てくれた担当者の名前と連絡先を聞いたうえで、心ばかりの、お土産を渡して、お帰り頂いた。
自分でもできるかどうか、をチェックするために、手始めに、現用品のメーカー名から、そのHPにアクセスし、そのメーカーの製品について、調べて見た。
その結果、現用品と同じものは、10年程前に、既に、販売停止になっていた。でも、有り難いことに、過去に販売された製品の、品番、詳細な仕様と写真が、載っている。その写真が、現用品と正に同じものだったので、すっかり嬉しくなった。
そして、ここからが大事なのだが、その製品と代替できる、現在売られている製品について、品番や、詳細な仕様や写真が、載っているのである! 代替品の価格は、4万円を超えていたが、何と素晴らしいアフターサービスだろうか、と感心した次第で、長期にわたって使用される水廻り用製品に対する、当該社の姿勢を示すものであろう。
パソコンソフトの世界では、バージョンアップのサイクルが、極めて短いために、先行品と後発品との互換性が、大きな問題になり、頭を痛めることが多いのだがーー。
指定された代替品をホームセンターで手に入れるか、メーカーのサービスセンターに問い合わせれば、少なくとも、同一メーカーの製品を使う事は可能になり、一安心である。
現用品には、湯の温度を調整するダイヤルが付いているが、サーモスタット式などと呼んでいることから、最近までは、ダイヤルの所に電気の配線が来ていて、湯沸かし器をコントロールしている、と、漠然と思っていた。このため、自分でやるのは大丈夫だろうか、と言う懸念があったのだが、少し調べて見ると、水と湯の、2本の水道の配管が来ているだけで、電気等は無関係、と判明した。この簡明なモデルで、JIS規格として標準化され、JWWA(Japan Water Works Association 日本水道協会)が管理しているために、各社水栓間の互換性が、保たれているようだ。
従って、各社が、混合水栓を設計する場合、
・水と湯の混合をどのように行うか
・シャワーとカランの切り替えをどのように行うか
・水と湯をどのように止めるか
等について、如何に使いやすく安全にするか、で、知恵を絞り合い、色んな商品を出している、という訳だ。
先日の休日、近くに住んでいる息子に、この風呂場の水栓の問題を話した。本人は、自動車の整備士であることから、機械廻りについては勿論だが、水廻りについても、心得があるので、休日返上で、来て貰うことにした。生憎、息子の自宅には、配管に接続しているボルトを廻すのに必要な、レンチは、置いていなかった。
先ず、工具等を専門に扱う、近くのハードウエア店で、レンチを買う事とした。ボルトの幅のサイズは、27mm程度だが、幅を変えられる、モンキーレンチを物色した。
プロ用も含めて、材質や仕上げの程度が異なる、各種のモンキーレンチがあり、値段もかなりの幅があるが、家庭では、普段は殆ど使わないことから、800円程の、廉価な普及品を買った。
ついでにと、そのハードウエア店で、単水栓、混合水栓等を探してみたら、その店でも、各種の商品を扱っていた。現用品と同じメーカーの製品は無かったが、他社の、幾つかの商品が出ていて、互換性がある事はわかっていたので、ホームセンターまで出かける手間を省いて、その店で買うこととした。
機能としては、現用品と同じに、シャワーつきは必須。 水と湯との混合比は、一度設定したらそのままで、止水が独立に出来るのがいい。混合も止水も、全て、一本のレバーの操作で出来て、シャワーとカランの切り替えは、つまみ式のスイッチになっているものを選んだ。 値段は1万3千円程であった。
帰宅後、早速、息子が取り替えにかかってくれたので、自分は、気楽な、助手役に廻った。先ず、水道の元栓を閉めて、新たに手に入れたレンチで、二本の配管のボルトを廻したら、正に道具、簡単に、現用品が取り外せた。
購入したモンキーレンチ 取り外した現用品
続いて、新たな水栓を、2本の配管に繋ぐのも、殆ど問題は無かった。混合水栓の両側に、自由に動かせる、短い脚の様なものが付いており、これで、2本の配管と、水栓本体との間のずれを、調整するようになっているようだ。 配管に繋ぐ接続部のネジ山に、水漏れ防止用のテープを巻きつける作業が、多少の、ノウハウだろうか。このようにして、大きな問題もなく、新品の取りつけが完了した。
そして、水道の元栓を開き、風呂の湯沸かし器を稼働させて、レバー操作したら、適温の湯が、シャワーやカランから、出てきたではないか。勿論、水漏れは、ピタリと無くなった。
取りつけた、新混合水栓
前述の水道のメンテ屋に頼んだ場合は、彼らは、何処で品物を仕入れるのだろうか。メーカーと提携している場合もあろうが、個別案件は、ひょっとしたら、同じ様に、ハードウエア店や、ホームセンターで、仕入れるのかも知れない。そして、いくらで工事して貰えたかは不明だが、たぶん、手間代等も含めると、3万円位には、なるように思われる。今回は、DIY式に、自前でやったことで、新たに手に入れたレンチを含めても、かなり安上がりに、修理ができた事になる。
四六時中、じたじたと、水が漏れるのは、いい気持ちではなかったのだが、漸く、うっとうしさから解放された気分である。風呂の追い焚きする段になって、湯船のカバーを開けて見ると、水位が、昨夜と同じに、低いままなのが、嬉しい!
尚、水廻りの別の問題なのだが、風呂場手前の洗面台の止水栓が、壊れる位に強力に締め付けないと、水が止まらないという問題があり、大分前から悩まされている。
これについても、上述のメンテの人が来た時に見て貰ったら、こちらの場合は、市販の互換品は無く、一般の人が修理するのは無理、と言われた。 何と、“直すには、いい金がかかるので、現状のまま、だましだまし、使っていくのがいいのでは” とアドバイスされた。
ところが、この種のメカに強い息子は、同じ日、図面も無い中で、汗だくになりながらも、この洗面台の水栓問題も解決すべく奮闘してくれた。あれこれ試行錯誤を繰り返しつつ、終に、水栓の中に付いている、硬質ゴムの小さなパッキングに辿りついたのである! そして、その磨り減ったパッキングを、くるりと裏返しして、こんどは、逆の順序で、元のように組み立てて行った。元の状態に戻って、栓を普通に締めても、ピタリと水が停まるようになったのだから、驚きである。
これで、水廻りの二つの問題が、一気に解決したのだが、親身にやってくれた息子には、近くの行きつけの店で、夕食をご馳走し、感謝した。
余談だが、ここで、工具の呼称について、触れたい。ボルトやナットを廻す工具を、英語ではレンチ(wrench:ねじる)といい、スパナ(spanner)とも言うようだ。日本語では、閉口型をレンチ、開口型をスパナ、と区別する場合もあるようだが、厳密ではない。
今回購入した工具は、開口型だが、通称は、モンキーレンチ(アジャスタブルレンチ)と、呼んでいるようだが、モンキースパナ と、呼ばれる場合もあり、単に、モンキー と、呼ぶ事もある。 この、モンキー(monkey 猿)とは、面白い呼称だが、その謂われについては、諸説があるようだ。
この工具、過去に、殺人事件の凶器として使われたことが何度かあるが、スパナと報道されたように、記憶している。
新築された現在のマンションに住んで以来、20年程になり、あちこちに不具合が出てきているが、その一つが、水廻りである。少し前、風呂・台所用の湯沸かし器が故障して、修理してもらったことがある。今回は、浴室の中の洗い場の、混合水栓が不具合で、止水―カラン―シャワーの、切り替え部の締りが悪く、シャワーから、常時、ぽたぽたと、水漏れするようになって、数か月以上になる。
最後に風呂を使って仕舞う時は、湯船の水位はかなり低いのだが、シャワーの出口を浴槽に入れた儘にして置くと、翌日に、沸かす頃には、浴槽が、満タンの状態になっているのだ。漏水量を、ちゃんと計ったことは無いが、2~3日で、浴槽1杯分ぐらいの量になるかもしれない。 今年になって、都の水道局からも、“水道のメーターが、常時、廻っていて、漏水している可能性がある、と検針員からの報告です” という、葉書が届けられてもいる。
このような状況は、水道代の無駄だけでなく、省資源の観点からも、決して、放置していて、いいことではない。重い腰をあげて、何とか、対処する事とした。
TVのコマーシャルでは
水のトラブル 8000円!
などと、呼びかけているが、なにはともあれ、当マンションの管理を請け負っている、管理会社に電話して聞いてみた。 水廻りのメンテを請け負う会社を紹介され、連絡したら、程なくして、先日、担当の方が、来てくれたのである。
その人に、水漏れの状況を見て貰ったが、水栓全体を取り替えるしかなく、数万円ぐらいかかる、と言われて、驚いた。 自分としては、パッキングのゴムを取り替える程度で、技術料等を入れても、1万円位で済む、と思っていたのだ。
でも、その人に良く聞いてみたら、この種の水栓の規格は、標準化されていて、同一メーカーの物でなくとも、互換性があり、ホームセンター等でも、売っていて、専門家でなくとも、自分でも工事が出来る、と言うのだ。元エンジニアとしては、聞き流すわけにもいかず、チャレンジしてみる事とした。
自分でやってみて、上手くいかなかった時は、改めてお願いする事として、来てくれた担当者の名前と連絡先を聞いたうえで、心ばかりの、お土産を渡して、お帰り頂いた。
自分でもできるかどうか、をチェックするために、手始めに、現用品のメーカー名から、そのHPにアクセスし、そのメーカーの製品について、調べて見た。
その結果、現用品と同じものは、10年程前に、既に、販売停止になっていた。でも、有り難いことに、過去に販売された製品の、品番、詳細な仕様と写真が、載っている。その写真が、現用品と正に同じものだったので、すっかり嬉しくなった。
そして、ここからが大事なのだが、その製品と代替できる、現在売られている製品について、品番や、詳細な仕様や写真が、載っているのである! 代替品の価格は、4万円を超えていたが、何と素晴らしいアフターサービスだろうか、と感心した次第で、長期にわたって使用される水廻り用製品に対する、当該社の姿勢を示すものであろう。
パソコンソフトの世界では、バージョンアップのサイクルが、極めて短いために、先行品と後発品との互換性が、大きな問題になり、頭を痛めることが多いのだがーー。
指定された代替品をホームセンターで手に入れるか、メーカーのサービスセンターに問い合わせれば、少なくとも、同一メーカーの製品を使う事は可能になり、一安心である。
現用品には、湯の温度を調整するダイヤルが付いているが、サーモスタット式などと呼んでいることから、最近までは、ダイヤルの所に電気の配線が来ていて、湯沸かし器をコントロールしている、と、漠然と思っていた。このため、自分でやるのは大丈夫だろうか、と言う懸念があったのだが、少し調べて見ると、水と湯の、2本の水道の配管が来ているだけで、電気等は無関係、と判明した。この簡明なモデルで、JIS規格として標準化され、JWWA(Japan Water Works Association 日本水道協会)が管理しているために、各社水栓間の互換性が、保たれているようだ。
従って、各社が、混合水栓を設計する場合、
・水と湯の混合をどのように行うか
・シャワーとカランの切り替えをどのように行うか
・水と湯をどのように止めるか
等について、如何に使いやすく安全にするか、で、知恵を絞り合い、色んな商品を出している、という訳だ。
先日の休日、近くに住んでいる息子に、この風呂場の水栓の問題を話した。本人は、自動車の整備士であることから、機械廻りについては勿論だが、水廻りについても、心得があるので、休日返上で、来て貰うことにした。生憎、息子の自宅には、配管に接続しているボルトを廻すのに必要な、レンチは、置いていなかった。
先ず、工具等を専門に扱う、近くのハードウエア店で、レンチを買う事とした。ボルトの幅のサイズは、27mm程度だが、幅を変えられる、モンキーレンチを物色した。
プロ用も含めて、材質や仕上げの程度が異なる、各種のモンキーレンチがあり、値段もかなりの幅があるが、家庭では、普段は殆ど使わないことから、800円程の、廉価な普及品を買った。
ついでにと、そのハードウエア店で、単水栓、混合水栓等を探してみたら、その店でも、各種の商品を扱っていた。現用品と同じメーカーの製品は無かったが、他社の、幾つかの商品が出ていて、互換性がある事はわかっていたので、ホームセンターまで出かける手間を省いて、その店で買うこととした。
機能としては、現用品と同じに、シャワーつきは必須。 水と湯との混合比は、一度設定したらそのままで、止水が独立に出来るのがいい。混合も止水も、全て、一本のレバーの操作で出来て、シャワーとカランの切り替えは、つまみ式のスイッチになっているものを選んだ。 値段は1万3千円程であった。
帰宅後、早速、息子が取り替えにかかってくれたので、自分は、気楽な、助手役に廻った。先ず、水道の元栓を閉めて、新たに手に入れたレンチで、二本の配管のボルトを廻したら、正に道具、簡単に、現用品が取り外せた。

購入したモンキーレンチ 取り外した現用品
続いて、新たな水栓を、2本の配管に繋ぐのも、殆ど問題は無かった。混合水栓の両側に、自由に動かせる、短い脚の様なものが付いており、これで、2本の配管と、水栓本体との間のずれを、調整するようになっているようだ。 配管に繋ぐ接続部のネジ山に、水漏れ防止用のテープを巻きつける作業が、多少の、ノウハウだろうか。このようにして、大きな問題もなく、新品の取りつけが完了した。
そして、水道の元栓を開き、風呂の湯沸かし器を稼働させて、レバー操作したら、適温の湯が、シャワーやカランから、出てきたではないか。勿論、水漏れは、ピタリと無くなった。

前述の水道のメンテ屋に頼んだ場合は、彼らは、何処で品物を仕入れるのだろうか。メーカーと提携している場合もあろうが、個別案件は、ひょっとしたら、同じ様に、ハードウエア店や、ホームセンターで、仕入れるのかも知れない。そして、いくらで工事して貰えたかは不明だが、たぶん、手間代等も含めると、3万円位には、なるように思われる。今回は、DIY式に、自前でやったことで、新たに手に入れたレンチを含めても、かなり安上がりに、修理ができた事になる。
四六時中、じたじたと、水が漏れるのは、いい気持ちではなかったのだが、漸く、うっとうしさから解放された気分である。風呂の追い焚きする段になって、湯船のカバーを開けて見ると、水位が、昨夜と同じに、低いままなのが、嬉しい!
尚、水廻りの別の問題なのだが、風呂場手前の洗面台の止水栓が、壊れる位に強力に締め付けないと、水が止まらないという問題があり、大分前から悩まされている。
これについても、上述のメンテの人が来た時に見て貰ったら、こちらの場合は、市販の互換品は無く、一般の人が修理するのは無理、と言われた。 何と、“直すには、いい金がかかるので、現状のまま、だましだまし、使っていくのがいいのでは” とアドバイスされた。
ところが、この種のメカに強い息子は、同じ日、図面も無い中で、汗だくになりながらも、この洗面台の水栓問題も解決すべく奮闘してくれた。あれこれ試行錯誤を繰り返しつつ、終に、水栓の中に付いている、硬質ゴムの小さなパッキングに辿りついたのである! そして、その磨り減ったパッキングを、くるりと裏返しして、こんどは、逆の順序で、元のように組み立てて行った。元の状態に戻って、栓を普通に締めても、ピタリと水が停まるようになったのだから、驚きである。
これで、水廻りの二つの問題が、一気に解決したのだが、親身にやってくれた息子には、近くの行きつけの店で、夕食をご馳走し、感謝した。
余談だが、ここで、工具の呼称について、触れたい。ボルトやナットを廻す工具を、英語ではレンチ(wrench:ねじる)といい、スパナ(spanner)とも言うようだ。日本語では、閉口型をレンチ、開口型をスパナ、と区別する場合もあるようだが、厳密ではない。
今回購入した工具は、開口型だが、通称は、モンキーレンチ(アジャスタブルレンチ)と、呼んでいるようだが、モンキースパナ と、呼ばれる場合もあり、単に、モンキー と、呼ぶ事もある。 この、モンキー(monkey 猿)とは、面白い呼称だが、その謂われについては、諸説があるようだ。
この工具、過去に、殺人事件の凶器として使われたことが何度かあるが、スパナと報道されたように、記憶している。