つれづれの記

日々の生活での印象

ギリシャの国民投票   4

2015年07月25日 20時21分57秒 | 日記

2015年7月25日(土)  ギリシャの国民投票  4 

 

 ギリシャを巡る情勢については、以下の当ブログ記事、

     ギリシャの国民投票  1 (2015/7/12)

     ギリシャの国民投票  2 (2015/7/18)

     ギリシャの国民投票  3 (2015/7/22)

で、話題としてきた。

 直近の前稿では、国の財政赤字等に関して、EUや世界の状況について取り上げている。

 

 本稿では、ギリシャを他山の石としながら、日本の財政赤字等に関して触れ、シリーズを締めくくることとしたい。

 

 

◇総債務残高の経過と現状

 日本の政府総債務残高について、1980年以降の対GDP比の推移は、下図の様である。(日本の政府債務残高の推移 - 世界経済のネタ帳

  

 図で見るように、1980年以降、急激な変化は見られず、一時的に僅かに減少した時期もあるが、ほぼ、漸増傾向が続いてきている。数値が、120%を越えたのは、1998年からで、時々の政府が声高に債務削減を唱えるものの、思うように改善されておらず、世界に冠たる借金大国となってしまっている。結局、問題と向き会わず、ズルズルと、安易に借金に頼って来た、無責任な政治の結果、と言うほかは無いであろう。 

 

 直近の債務の状況を、今年度の予算で見てみると、以下のようだ。

   平成27年度当初予算(2015年)  

    総歳入       96.3兆

        内公債   36.8兆(内 30.8兆が赤字国債)

    総歳出       96.3兆

        内国債費 23.4兆 

  総債務残高     1232兆

 

 即ち、総債務残高の実際額は、2015年は2014年より、30兆程増えて、1232兆円となっていて、2014年の総債務残高は、GDP比で、前出の246.14%となる。(財務省サイト 等から引用)

 資産の裏付けがある、建設国債の額に比して、財政上の赤字の穴埋めに発行される赤字国債が圧倒的に多い。その中には、歳出の国債費として、国債の元本・利息の返済に使われる分もある訳で、サラ金での借金地獄と同じ構造であろうか。  

 

◇プライマリーバランス

 プライマリーバランス(基礎的財政収支)という指標が、時々、出てくる。これは、財政健全化の一つの指標で、

   公債の発行で調達した借金分を除いた収入(税収)

と、

   過去の債務に関わる元利支払い以外の支出

との差(収支差)のことのようで、借金関連を除いた収支ということだ。

 Primary Balance(略PB)という用語に対応して、実際の財政収支を表す用語は、やや不明だが、Fiscal Balance だろうか。

PBが成り立っているということは、本来なら、無借金で国の運営ができる、ということだろうか。 

 

上述の27年度予算で、PBを求めて見ると、

   A:公債を除く歳入  =96.3-36.8=59.5兆

   B:国債費を除く歳出=96.3-23.4=72.9兆

だから、単純に計算すると、

   PB=A-B=-13.4兆

と、マイナスとなり、決して、健全な状況では無い。 

 

 PBというのは、絵に描いた餅ではあるが、現実の国の身の丈に合った収入と、それに相応しい支出との、バランスと捉えると、上記のアンバランスの主要因は何か、解明する必要があろう。考えられるのは、人口減・少子高齢化の流れに伴う構造的な収支の悪化に加え、旧来のままの大きな政府、災害対策増、諸外国との付き合いの経費(防衛、援助)、等だろうか。

 

 日本の現政府は、2020年迄に、PBを達成すると公言しているが、果たして可能だろうか。日本経済は、最近は好転しつつあるとも言われ、税収増が期待でき、又、2017年4月から、消費税が、8%→10%にアップし税収が増える予定で、他方で、経費削減も行われれば、可能かもしれないが、難しいという専門家もおり、掛け声だけに終わるのだろうか。(プライマリーバランスとは? 「黒字化」はたして実現可能なの?) 

 PBの達成と、総債務残高の削減とを、目標としてどの様に取り組むべきか、はよく分らないが、後者については、GDP比120%程度に先ず押さえ込むことが考えられる。 これを、100%以下にすることなどは、当面、望むべくもない目標だ。

  ギリシャと日本とでは、両国の経済状況は大きく異なるが、ギリシャでも、2009年には、PBは大幅なマイナスとなったが、ここ2年程は、PBが達成され、プラスになっていると言う、信じ難いニュースもある!(昨年のギリシャのプライマリーバランス、GDP比0.4%の黒字 | Reuters

 

 

◇経常収支

 債務残高が巨額なのにも拘わらず、日本がギリシャの様な財政危機と言われないのには、幾つかの理由があるようだ。門外漢である筆者の、にわか仕込みの情報では、以下のようだ。

①第1の理由は、

  「経常収支が黒字のため、金まわりがいい」

ことがあるようだ。

 

 ここで、「経常収支」だが、外国との間の富の移動を示す、国際収支の一部で、

        a 貿易収支

        b サービス収支

        c 所得収支(第一次所得収支とも)

        d 経常移転収支(第二次所得収支とも)

から構成されるという。(経常収支(けいじょうしゅうし)とは - コトバンク

 aは、通常の物の輸出入のことで、bは、人の移動等にかかわるサービスのことで、この2項目は理解しやすい。cは、日本の企業が外国で得た所得と、外国の企業が日本で得た所得の差といい(投資の差)、又、dは、政府の無償援助等と言い、これらは、可なり難解である。

 

 世界の各国の経常収支のランキング(2014)をみると、以下のようだ。(世界の経常収支ランキング - 世界経済のネタ帳 より)

     大幅黒字グループ           独1位、中国2位

     中間グループ :中間プラス     露9位 伊14位 日16位

               :中間マイナス  

     大幅赤字グループ             南ア176位、インド180位

                          仏181位、加182位、

                          ブラジル185位、英186位、米187位

 

 主要国であるG7を見ると、独は流石だが、伊、日はそこそこで、残りの仏、加、英、米の4国は、最後尾の大幅赤字グループなのは、何故だろうか。

 BRICS諸国では、中国は立派で、ロシアも、9位と健闘。でも、南ア、インドは可なりの赤字で、期待のブラジルは、大幅な赤字で、英の1つ手前の185位である。

国際的な経済は、常に、大きく動いているようだ。

 

 日本の経常収支(GDP比)の、近年の推移を示したのが下図である。(日本の経常収支の推移 - 世界経済のネタ帳) 

   

 貿易立国を標榜して来た我が国の経常収支は、長年黒字だったのだが、特に、3.11以降、火力発電用燃料の輸入増等や、為替の変動等で、貿易収支は急速に悪化して大幅なマイナスとなり、全体の黒字が激減しているという。でも、堅調な所得収支に支えられて、2014年までは、黒字を保っているようだ。

 経常収支が、まだ黒字の現在は、日本国債の信用は高いと言われ、国債の格付け(ムーディ社 Aa3で、利回りも1%以下)も何とか維持しているようだ。(政治経済:オピニオン:教育×WASEDA ONLINE

日本の経済環境が悪化し、経常収支が赤字になれば、国債の評価も大きく変わるかもしれない。 

 

◇国債の引き受け手

 ②理由の2つ目は、

    「国債の引き受け手の殆どが国内である」

ことと言われる。

 先述のように、1200兆円を越える、総債務残高だが、その内、880兆円程が国債で、この引き受け手の殆どが国内という、日本の特殊事情がある。 

 

 下図に示すように、国債の外国の引き受け手は、たった4.9%と、極めて少なく、残りは国内である。(日本の国債の保有者内訳をグラフ化してみる(2015年)(最新) - ガベージニュース ) 

   

  民間銀行や、保険・年金基金など、機関投資家が多い。勿論、この中には、元国営の、郵貯、簡保も含まれている。

民間銀行や機関投資家とすれば、監督主体でもある、国の発行する国債は、引き受けないわけには行かないだろう。

 外国投資家の国債購入を制限している訳ではないようだが、国債を、殆ど国内で引き受けて貰う、日本型のシステムは、マーケットが、国際的に活性化しないきらいはある。 

一方、外国から借金するよりも、内輪の借金の方が目立たないし、デフォルトなどと大ごとにならず、迷惑度が小さいだろうか。 

 

 個人投資家は、証券会社や銀行等から、国債を買う事になる。少し以前になるが、証券会社の中国ファンド(中期国債ファンド)なる商品を買って楽しんだことがあるが、今は、この商品は、ほぼ、姿を消していると言う。 

 

  日銀の金融政策として、この所、銀行が保有している国債を、日銀が買い取る形で、市中に資金供給しているようだ。上図では、日銀は、その他金融機関に入っているようだが、この4月で、国債の26%強を、日銀が保有していると言う、素人目には、奇妙な構図になっている。 日銀は、金(日本円)の発行元なのだ。(日銀の国債保有269兆円 14年度末、最大を更新 :日本経済新聞) 

 

 国債には、短期、中期、長期の期間別の種類があるが、いずれにしても、国は、償還期限が来れば、利息を付けて、この借金を、税金で返済しなければならない。 結局、時間を遅らせて、国民(次世代の子供達)が負担する事となる。親の世代に作った借金を、子の世代が負担する構図だ。 金の使い道で、子供達の選択の自由度が大幅に少なくなる。

 

◇貯蓄率の激減

 ③理由の3つ目は、②とも関連するが、

    「国内の貯蓄が大きい」

ことと言われる。

 実体は良くは知らないが、日本では、企業の内部留保が大きく、家計部門での貯蓄も大きいと言われる。これが物を言うようで、②での、国債を引き受ける元手ともなっている訳だ。 

 家計部門での、世帯平均貯蓄額は、最近は、1200万円弱とも言われる。これは平均値での論議で、大金持ちがいると、平均値は大きくなるため、庶民感覚とはかなりかけ離れた数値となっている。 一方、中央値でみると、400万円程で、こちらの数字が、やや、実体と実感に近いだろうか。(みんないくら貯めている?平均貯蓄額は?、総務省 家計調査報告 H26 より)

 

 家計部門での、貯蓄率について、主要先進国の状況をみると、下図に示すように、ドイツ(フランスも)は最近も高率を維持しているようだ。一方、日本は、コツコツ貯めて、貯蓄率が高かったのは、今は昔の話で、2000年頃から、家計が緊迫して余力が無くなり、大きく落ち込んでいるようだ。 (家計貯蓄率の国際比較 1994~2013年 )

   

 

◇ 終わりに

 債務残高がさら巨額になると、最後の奥の奥の手として、借金証書である国債ではなく、金そのものである紙幣を増発して、意図的に、インフレにし、貨幣価値を減らす方法があるという。こうなったら、国家はおしまいである!

 

 ギリシャ問題を他山の石として、振り返って我が国の状況を見る時、素人目には、厳しい先行きばかりが見えて来て、明るい未来が浮かんで来ないのは困ったものだ。ドイツばかりが、超優等生として目立っているがーーー。

 これからの子供達をどの様に育て、また彼らに、何を残すのだろうか、世界の中で、日本はどの方向に進めばいいのだろうか、などと思い悩む。

これらを巡って、ゆっくりとだが、重大な選択が迫られつつあるように思えることだ。

 

 

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ギリシャの国民投票  3

2015年07月22日 14時56分45秒 | 日記

2015年7月22日(水)  ギリシャの国民投票  3

 

 

ギリシャを巡る情勢については、当ブログでも、

    ギリシャの国民投票  1 (2015/7/12)

    ギリシャの国民投票  2 (2015/7/18)

で取りあげてきた。

前稿では、EUや通貨ユーロの全体の状況と、ギリシャ人の気質について触れた。

 

 ギリシャ情勢は、まだ、落ち着いたとは言えない状況だが、今回のギリシャ問題が、どの様に収束されるか、今後のEU・通貨ユーロや、世界経済にとって注目されるところだ。

 

 本稿では、国の財政赤字等に関して、EUや世界の状況について取り上げている。

 

 

○世界の財政赤字

 前稿で触れたが、ギリシャ問題は、2009年秋の選挙による政権交替で、それまで隠蔽されていた巨額の財政赤字等が発覚した事から始まった、と言われる。

 ギリシャの財政収支の赤字は、この年の当初は、GDP比で、-3.3%程と言われていたのが、-12.7%に悪化したという。

一方、政府債務残高も、それ以前は、GDP比で、100%以下だったのが、2009年末では、113.1%まで跳ね上がったようだ。

 その後、ギリシャ問題には紆余曲折があって、現在に至っており、後でも出て来るが、2014年時点では、

    財政赤字  (/GDP)   -2.70%     

    総債務残高 (/GDP)  177.19%

となっている。(ギリシャの財政収支の推移 - 世界経済のネタ帳 他)

 

 下表は、2014年の、世界各国の債務残高総額を、絶対額ではなく、その国のGDPに対する比率で表し、この高い順に、20位までランキングしたものだ。(世界の政府総債務残高(対GDP比)ランキング - 世界経済のネタ帳 ) 

世界の政府総債務残高(対GDP比)ランキング         

順位

名称

単位: %

前年比

地域

推移

1

  日本

246.42

アジア

 

2

  ギリシャ

177.19

ヨーロッパ

 

3

  ジャマイカ

140.64

中南米

 

4

  レバノン

134.41

中東

 

5

  イタリア

132.11

+1

ヨーロッパ

 

6

  ポルトガル

130.18

-1

ヨーロッパ

 

7

  エリトリア

125.33

アフリカ

 

8

  カーボヴェルデ

112.20

+7

アフリカ

 

9

  アイルランド

109.46

-1

ヨーロッパ

 

10

  ブータン

107.51

+11

アジア

 

11

  グレナダ

107.20

-2

中南米

 

12

  キプロス

107.11

+1

ヨーロッパ

 

13

  ベルギー

105.60

-2

ヨーロッパ

 

14

  アメリカ

104.77

-2

北米

 

15

  バルバドス

100.35

+1

中南米

 

16

  ガンビア

100.20

+11

アフリカ

 

17

  シンガポール

98.75

-3

アジア

 

18

  アンティグア・バーブーダ

98.69

-1

中南米

 

19

  スペイン

97.68

ヨーロッパ

 

20

  フランス

95.14

-2

ヨーロッパ

 

  これによれば、我が国は、ダントツ世界1位で、今回財政危機にあるギリシャは、2位である。上表には出ていない国も含めた、欧米の主要国等の状況は、以下のようである。

    日本    1位 246.42%

    ギリシャ  2位 177.19

    イタリア  5位 132.11

    ポルトガル 6位 130.18

   --------------

    アメリカ 14位 104.77

    スペイン 19位  97.68

    フランス 20位  95.14

    イギリス 22位  89.54

    カナダ  25位  86.52

    ドイツ  38位  73.11  

 経済規模を大きくするためには、債務残高は、或る程度は必要と思われるが、妥当な大きさがどの位か、はよく知らない。 素人考えでは、出来れば、自国の年間の稼ぎ額である、GDP相当以下が望ましいだろうか。 多少の変動を見込んで、仮に、GDP比120%以上を、危ない国とし、上のように点線で区切ると、G7メンバーでは、日本とイタリアが危ない国となる。

  

○世界のGDP

 また、2014年の各国のGDPを、大きい順に、16位まで示したものが下表だ。長らく、日本はアメリカに次いで世界第2位だったが、成長著しい中国に追い越されて暫く経っている。 

 下表には、G7メンバー各国と、南アフリカ以外のBRICS各国が含まれている。 表に無い南アフリカは33位で、350.08、ギリシャは45位で、238.02である。 (世界の名目GDP(USドル)ランキング - 世界経済のネタ帳 単位は、10億USドル) 

 

 ここで改めて、注目される国について、総債務残高とGDPを整理すると、下表のようになる。  

   通貨 USD:USドル($)、EUR:ユーロ(€)、JPY:Japan Yen 円(¥)

   B:Billion 10(兆)

   為替レート  EUR/JPY:135程度  USD/JPY:120程度 

 

総債務残高(2014)

GDP(2014)

 

総債務残高/GDP

 (2014)

BUSD

(兆ドル)

BEUR

(兆ユーロ)

BJPY

(兆円)

BUSD

(兆ドル)

BEUR

(兆ユーロ)

BJPY

(兆円)

 

日本

 

 

1202.2

  4.616

 

  487.8

  246.42

ギリシャ

 

317.31

 

  0.238

   0.179

 

  177.19

アメリカ

18.25

 

 

17.418

 

 

  104.77

ドイツ

 

   2.12

 

  3.859

  2.903

 

    73.11

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次稿で、ギリシャを他山の石として、我が国の財政赤字や債務状況について、取り上げる予定である。

 

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ギリシャの国民投票   2

2015年07月18日 10時48分36秒 | 日記

2015年7月18日(土)  ギリシャの国民投票  2

 

 

 ギリシャを巡る情勢については、当ブログでも、

     ギリシャの国民投票  1 (2015/7/12)

で取りあげた所だ。

 

 その後も、世界が注目する中、ユーロ圏の徹夜の会議で、何とか、ギリシャを支援する事が決まったようだ。

ギリシャは、構造改革案を確実に実行することを、国会で約束させられたが、いよいよ、国民は、更なる我慢が求められる、追い詰められた状況である。 緊縮策だけでは持たないのでは、と債務削減(借金棒引き)の話が、IMF等から出ているとも伝えられるーーーー。

  また、先日の14日は、ギリシャ政府の円建てサムライ債(20年もの)の償還期限だったようで、元本117億円と利息が、幹事銀行に返還されたと言う。極めて苦しい中で、実行された理由は、この国債を購入した投資家が、政府等の公的機関で無く民間ということで、デフォルトには出来なかったようだ。

 

  今回のギリシャ問題を、どの様に収束させられるかは、ギリシャ1国だけでなく、今後のEU全体の結束や通貨ユーロにとって、極めて重大な試金石となるであろうか。

 

  本稿は、前稿の続編となるもので、EUや通貨ユーロの状況と、ギリシャ人の気質について見て見たい。

 

 

○EUとユーロ

 EUが、6ヶ国からスタートしたのは1952年で、以来、可なりの年月になるが、加盟国の、これまでの経過は下図のようだ。(外務省: わかる!国際情勢 EU(欧州連合)~多様性における統合

  

そして、図では加盟候補国として出ている、クロアチアが、最も新しく、2013年に加盟して、EUは、現在、28ヶ国となっている。

  

 一方、共通の通貨であるユーロだが、初めて現金として、2002年 年頭から、域内の11ヶ国で流通し、現在、導入している国(ユーロ圏)は、下図のようだ。(ユーロ圏 - Wikipedia

    

 図にあるように、EU加盟28ヶ国の中で、現在、ユーロを導入している国は、19ヶ国という。ほかの9カ国は、ユーロでなく、自国の通貨を流通させている。

 これらの、ユーロ未導入国で、次の2ヶ国

   イギリス、デンマーク

は、古いEU加盟国だが、ユーロ導入義務がなく、導入する気もないようだ。

また、次の7ヶ国

   スウェーデン、ポーランド、ブルガリア、ハンガリア、ルーマニア、チェコ、クロアチア

は、ユーロ導入義務があるが、適用基準を満たすまで待っている加盟国という。

 

 バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)は、EU加盟が比較的新しく、ユーロの適用基準との関係で、2011、2014、2015と、最近になって、ユーロに移行している。

 

 ほかに、EU非加盟国で、ユーロを導入している国が、数ヶ国あるようだ。

 

 

○ギリシャ人気質

 ギリシャは、輝かしい西洋文明の原点であり、近代オリンピックが始められた由緒ある国でもある。 早い時期からのEU加盟国で、国の規模は、そう大きくは無い。(国土:約13万km2 、人口:約1100万人) 

 米国の有名な調査会社が、EU加盟の8カ国を対象に、2012年と2013年に、意識調査を実施したようだ。国民相互が、お互いをどう見ているか、という、面白い調査である。その中で、EUで、最も勤勉、あるいは最も怠惰な国はどこか、最も信頼できる、あるいは最も信頼できない国はどこか、という質問がなされたようで、その結果が下表である。(5 facts about Greece and the EU | Pew Research Center より)

 ここで、表中の英語の意味だが、本稿では、以下としている。

   Most Hardworking   最も勤勉な

   Most Trustworthy   最も信頼できる

   Least Hardworking  最も怠惰な

   Least Trustworthy  最も信頼できない 

    

 設問に対し、ギリシャ以外は、最も勤勉な国はドイツ、と答えたようだ。

 一方、反対に、最も怠惰な国はギリシャ、との答えが最も多く、5ヶ国だったという。

 又、最も信頼できる国も、ギリシャ以外は、ドイツと答えたようだ。

そして、最も信頼できない国は、ばらつきがあり、ギリシャとするのが多かった他、イタリア、フランス、ドイツもあったようだ。

  ギリシャ自身は、他国から、怠け者等のレッテルを貼られているようだが、表にあるごとく、当のギリシャは、最も勤勉な国は、ギリシャ、最も信頼できる国も、ギリシャと回答していると言う。

 

 勿論、この調査は、国民性の一面を示しているに過ぎないものだ。

上表にも現れているが、一般に、フランス、イタリア、スペイン、ギリシャなど、南欧のラテン系民族は、働くより遊びが優先で、やや信頼度は低く、一方、ドイツやベネルックス、北欧等の民族は、勤勉で信頼できる、とされる。 筆者の、ささやかな旅行体験でも、その印象はあるが、これは、歴史・風土の違いによるもの、であろう。 周知のように、ラテン系諸国には、芸術面、文化面などで、際立った活躍をしている巨人も多い。 

 今回のギリシャ問題でも、真面目に働くドツ国民を代弁するかのように、メルケル首相は、怠け者の(?)ギリシャ国民とチプラス首相のために、自分達の税金を使うのは納得できない、という感覚のようで、EU内での、南北対立(?)になるだろうか。

 

 次稿では、ギリシャを他山の石として、国の財政赤字等に関して、EUや世界の状況と我が国の現状について取り上げる予定である。

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ギリシャの国民投票 1

2015年07月11日 09時55分52秒 | 日記

2015年7月12日(日)  ギリシャの国民投票 1

 

 

国民投票、住民投票に関しては、この所内外で 

   ・2014年9月  英スコットランドでの住民投票――「イギリスからの独立」

     (記事:スコットランドの行方 その1~3 2014/9/24~10/27)

   ・2015年5月  大阪市での住民投票――「大阪都構想」    

    (記事:選挙と住民投票 2   2015/5/28) 

   ・2015年5月  アイルランドでの国民投票――「同姓婚」   

    (記事:選挙と住民投票 3   2015/6/02) 

と続いたが、当ブログでも、それぞれ、上記のように、関連する記事を投稿して来た。

本稿では、先日行われた、ギリシャの国民投票を主な話題としたい。

 

 

◇国民投票前夜

ギリシャの、ここ数年来の、経済的な危機と政治状況について把握するのは、門外漢には、困難なテーマだが、分る範囲で追ってみた。

 

2009年に、歴代の政権が、財政収支を粉飾し、巨額の財政赤字を隠していた事が明らかになり、財政危機状態に陥った、と言われる。

その後、EUなどの支援を受け、苦境に耐えながら取り組んで来たことだ。この1月の総選挙で、爆発寸前の国内の不満を引き受けるかのように、現チプラス政権が誕生し、以降、EUに対して、強硬な姿勢を取って来て、どら息子よろしく、親の手を焼かせている。 

 

そして、この6月末に迫った、財政上の手詰まりに際して、現政権は、土壇場で、7/5に国民投票を行って民意を問うと表明し、先日、慌ただしく敢行した。国民投票は、どうやら、混乱なく終了したようだ。

 

ニュースで伝えられる所では、IMFから受けている支援(16億ユーロ 約2000億円)の返済が、この6/30が期限だったようだ。これにあたって、ギリシャは、EUに対して、更なる資金的支援を要請したが、EU側は、ギリシャを支援する条件として、ギリシャに対して、一層の、財政緊縮策の受け入れ求めたようだ(5/25)。でも、ギリシャは、新たな緊縮策を受け入れなかったため、EUの支援が得られず、債務は返済できなかったという。

そして、チプラス首相は、時を同じくして、EUの要求している財政緊縮策を、受け入れるか否かを、返済期限を過ぎた7/5に、国民投票を実施して決める、と発表し、予想外の展開となったのである。

IMFの融資で、このような事態になったのは初めてのようだが、でも、通常のデフォルトとはせず、返済が遅れている、遅延国の扱いとしたようだ。

 

EUの要求している、新たな財政緊縮策の内容は、余り明確ではないが、以下のようだ。(ギリシャ国民投票 続く NHKニュース より)

歳出の削減:

   公務員の早期退職制度の見直し

   年金の支給開始年齢の段階的引き上げ

   年金受給者の医療負担を増やす

歳入の増加: 

   付加価値税の税率引き上げ

      税の優遇措置の見直し(対 島嶼部)

      脱税等の罰則強化の法律整備 

 

下図は、今回の国民投票の投票用紙だが、ギリシャ語の意味は、

        ギリシャ語    英語   日本語 

      上欄  OXI(ウヒ)→   NO     反対

      下欄  NAI(ネ) →   YES    賛成

となるようだ。

この種の投票用紙では、通常は、賛成欄が先にくるが、今回では反対欄が先になっているのは、反対投票を呼び掛けている、現政権の意図だろう。 

      国民投票用紙(ネットより)

 

◇国民の戸惑い

新たな緊縮策に対する賛否を問うという、今回の国民投票だが、YES賛成、NO反対が、何を意味するのか、当事者のギリシャ国民から見て、更に、外部から見て、可なり「難解な理屈」と言えるだろう。今回の国民投票の結果に言及する前に、この、難解な理屈について考えたい。 

EUとギリシャとの関係だが、一般的な契約や金融取引等での、通常の、独立した対等な関係では無く、筆者流に譬えれば、“どら息子(ギリシャ)と、それを抱える親(EU)との関係”に見えて仕方が無い。

親のEUは、表向きは、提示している緊縮策を呑まなければ、支援を打ち切り、ギリシャがデフォルトになるのも辞さない、と脅してみせた。でも、息子のギリシャは、“ギリシャがデフォルトになるのは避け、EUから離脱して欲しくない”、というのが、EU(親)の本心、と見透かしているように振る舞っている。親は、息子を勘当して見放すことが出来ない、と踏んでいるのだ。

 

投票する国民には、どのように見えたのだろうか。

*「反対」に投票することは、支援の条件となる、EU案の受け入れを拒否することで、従って、これ以上の支援が得られないという選択だ。常識的な理解では、ギリシャが、EUから離脱することにも繋がり、デフォルトになる道でもある。

反対することは、EUから見放されようが、堂々と、我が道を行く、と言うのが、本来の姿勢だろう。 

でも、反対すると、EU側がより受け入れやすい案を出してくる余地が残っている、と思っているようで、ここが、理解に苦しむところだが、どら息子の論理だろう。首相は、声高に、反対を呼び掛けたのである。

 

*一方、「賛成」に投票することは、新たな緊縮策を受け入れて、EUに支援して貰うことで、今まで以上に苦しい状況になるのは、覚悟せねばならない。国民にとっては、これまでも、失業率は非常に高く、散々苦労して来た(と思っている)のに、更なる苦境が予想され、生易しい事では無く、もう結構だ、と言いたいだろうか。

 

要は、反対か、賛成かの、言葉ではなく、厳しい条件をつけるEUだが、ここしか頼る所はないので、民意を背景にして、EU(親)に対する交渉力を強め、より有利な支援条件を引き出したい、ということだろう。

親との交渉力を強めるため、国民投票での反対を呼び掛けたようで、とんでもない、どら息子と言える。

 

◇国民投票の結果

国民投票の結果は、報道されているように、以下のようになった。

     有権者    18歳以上 約986万人 (総人口1100万人)

     投票率    62.5% (成立条件は、40%以上) 

     開票結果   緊縮策に反対 61.31%

               緊縮策に賛成 38.69%

この結果、不正は無かったとすると、投票率も高く国民投票は有効となり、可なりの差で、反対票が、賛成票を上回ったようだ。

「民意」は、EUの財政緊縮策を「拒否」したのである。

 

以下のサイトの情報等から推測すると、ギリシャ国民は、投票での賛否の意味が、かなり不明確な中で、混乱しながら投票したと思われるのだ。

即ち、終了後の一般市民の反応は、政府を信用して「緊縮策が続くという最悪の事態は避けられた」、と単純に喜んでいるようだ。でも、心ある市民は、「ヨーロッパに残るのは嫌だけど、お金を貸してくれ、という理屈が通るのか」と言い、どら息子の論理は通らないのでは、と危惧しているようだ。(ギリシャ国民投票受け EU対応に追われる NHKニュース )

 

国民投票での、どら息子の難解な論理は、論理学の否定の否定、のようでもある。

詰まるところ、ギリシャ国民は、EUに残留し、通貨もユーロのままで、支援を受けながら、何とか生活を立て直したい、ということだろう。

 

 

◇当面の懸案と動き

ギリシャの抱えている総債務残高は、3130億ユーロ(日本円で、42兆円)とも言われ、これらの、内訳と、各々の返済期限という全体像は、筆者は、明確には把握していないが、差し迫った、次の債務は、ECB(EUの中央銀行)からの270億ユーロ(約3.5兆円)で、7/20が返済期限という。これをどうするかが、さし向きの懸案のようだ。

 

国民投票後、EUでは、チプラス首相も呼んで、緊急の首脳会議が開かれるなど、連日のように、この関連の交渉や会議が続いているようだ。

ごく最近の報道では、チプラス政権が、国民投票の結果に反して、基本的にEUの緊縮案を受け入れる事に方針転換したようだ。このため、「構造改革案」なるものをまとめ、議会の承認を得て、EUに提出したという。首相は、EUに残るために、と強調したようだ。

今回の構造改革案の、具体的な内容は、公表されていないようだが、下図はネット情報から得たものだ。(ギリシャ議会が改革案を承認。EU側の緊縮策をほぼ受け入れ。 | 2chまとめポータル)  本稿の前半で触れた、EUが要求した緊縮策に、おおよそ、対応しているようだ。

  

 同じく、NHKニュースの情報では、一部は異なるが、以下とある。(ギリシャ提出の改革案 EU案に近い内容 NHKニュース

歳出削減:

         年金の支給開始年齢の引き上げ(2022までに67歳に)

      年金受給者の医療費の負担増(4%→6%)

      早期退職制度の見直し

歳入増加:

      ホテル宿泊費を除く付加価値税(消費税)の増税

           年金受給者の医療費の負担増(4%→6%)

           離島への付加価値税優遇措置の廃止(2016末まで段階的に) 

この構造改革案を示すことで、ギリシャとしては、3年間で、535億ユーロ(約7.1兆円)の金融支援を得たいとしているという。

 

結局、どら息子も、親を頼って、生きていくしかないようだ。

EU側としても、これまでの経緯もあり、俄には、ギリシャ(ギリシャ政府と国民)を信用できないようで、結論は持ち越されているようだ。  

又、EUの緊縮策を、基本的に受け入れる、この構造改革案について、国民投票で、NO(OXI)とした市民達は、”俺たちを裏切るのか”、と猛反発しているという。

国際経済では、ギリシャの先行き不安や、中国経済の動きもあって、世界各地で株価が急落しているようだ。

 

 

次稿では、国の財政赤字に関して、ギリシャを他山の石としながら、EUや世界の状況と我が国の現状を見て見たい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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風呂場のブラックベリー

2015年07月10日 14時03分48秒 | 日記

2015年7月10日(金) 風呂場のブラックベリー 

 

 梅雨空が続く中、風呂場は、久しぶりに、季節のブラックベリーで賑わっている。

 長年、ルーフバルコニーで育てている、ブラックベリーは、名前のように、木イチゴの仲間である。

そろそろ終わりに近いのだが、先日ワイフKが、纏まった房のまま、葉と共に枝ごと切り取って、ミズヒキソウと一緒に、マグカップで、風呂場に飾ってくれた。 

      

  

 ブラックベリーの実(み)は、実(じつ!)は、小さい実(み)の集合体で、当初は赤いが、熟れると黒くなり、食べ頃となる。

口にすると、甘酸っぱい味で、時々、やや固い種が、時々入っているが、生食の他に、ジャムにして楽しむ。

       ブラックベリーの実 

 

 飾りのアクセントとして、細長~い花茎に、点々と小さな花をつける、ミズヒキソウが一緒だ。ミズヒキソウの葉は、下図のように、中央で、薄緑と薄黄に分れていたり、薄赤の斑入りだったりと、ユニークで面白い。

      

     ミズヒキソウの葉                 ミズヒキソウの花 

 

 梅雨明けの頃には、屋上庭園では、フヨウや、モミジアオイが出番となって、白や真っ赤な花を付ける。

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