2017年2月6日(月) アメリカの自然 4 平原
アメリカの自然シリーズの最後は、平原である。
手持ちの地図帳(帝国書院 地歴高等地図 H27.10)で、アメリカの地図を見ると、山脈や、川や、湖の他に、平原を表すものとして、ロッキー山脈の東側と、東海岸のパラチア山脈との間に、
グレートプレーンズ プレーリー 中央平原
と、下図にもあるように、南北方向に、縦に並んで表示されており、ミシシッピ川あたりが、中央平原である。(図は、ネット画像)
これ等が、地理用語として、どういう違いがあるのか、以前から、やや曖昧だった。今般、ネットなどで、改めて調べていくと、かえって混乱したのだが、筆者なりに、一定の整理が出来たようなので、以下に示すこととした。
◇中央平原(中央大平原) Interior Plains
中央平原は、原語の英語では、
Interior Plains
と言うようで、「中央」がついていないが、意味としては、内部平原、内陸平原ということだ。日本では、これだけが、英語でなく漢字表現になっている理由も不明である。
ともあれ、この中央平原は、学術的な平原の分類では、「構造平野」(Structural Plain)になるようだ。
構造平野には、以下の種類があり、アメリカの中央平原は、浸食平野になるという。
○浸食平野 浸食(雨、風、氷河)や風化によって作られた平野 大規模平野
:シベリア平原、華北地方、アメリカ中央平原、ヨーロッパ平原、
アマゾン低地の中央部 等。
準平原 より浸食がすすんだ山地
○堆積平野 川の運んだ土砂によって作られた平野 小規模 沖積平野とも
:日本の平野、ロンバルディア平野 アマゾン低地の河口部分 等。
(以上 構造平野 - Wikipedia 等より)
下図は、アメリカの中央平原を示したもので、カナダを含む、北米大陸内部全体に広がる広大な地域だ。ここから、Interior Plainsと呼ばれるのかも知れない。(図は、村すずめの稀に絵日記 中央平原って何だ~、Interior Plains - Wikipediaより)
中央平原
◇グレートプレーンズ Great Plains
グレートプレーンズは、上述の北米大陸に広域にひろがる中央平原の上に、下図左の、ロッキー山系から流れ出る川の土砂が堆積してできた、堆積平野といわれ、下図右のように、ロッキー山脈の東側に広がっている。
ロッキー山脈 グレートプレーンズ
ロッキー山脈が走っているアメリカの州は、北から、以下である。
モンタナ、アイダホ、ワイオミング、ユタ、コロラド、ニューメキシコ
一方、グレートプレーンズに含まれる州は、北から、以下のようだ。
モンタナ、 ノースダコタ、サウスダコタ、ワイオミング、ネブラスカ、
コロラド、カンザス、ニューメキシコ、オクラホマ、テキサス
(下線は、双方に含まれる州) (以上 グレートプレーンズ - Wikipedia)
植生としては、グレートプレーンズの西側は、丈の短い草が生え、東側は、草原地帯である、次項のプレーリーと重なっている。
◇プレーリー Prairie
プレーリーは、草原や、低灌木の植生の平原を意味しており、カナダからメキシコまで及ぶ草原である。
下図は、アメリカでのプレーリーの様子だが、凡例にあるように、草丈の短、中、長により、3つのタイプに分けられるようだ。(以上 プレーリー - Wikipedia より)
それぞれのタイプの地域を、図から大雑把に推定すると、以下のようになる。
短草:モンタナ ワイオミング コロラド ニューメキシコ
混合:ノースダコタ サウスダコタ ネブラスカ カンザス オクラホマ テキサス
長草:ミネソタ ウイスコンシン アイオワ イリノイ インディアナ ミズーリ
プレーリーという呼称は、主に、カナダで使われるようで、アメリカでは、前項のグレートプレーンズと併用されているようで、グレートプレーンズの東部や、前項の、中央平原の西部を指す事もあるようだ。
プレーリーは、アルゼンチンのパンパや、中央アジアのステップ等と、ほぼ同意であるが、気候によって、草原の草の種類や丈は異なり、乾燥地域の草丈は低いようだ。
以下のサイト、
○ラシュモア山とスー族の聖地 北部大平原と北部山岳部の観光 (アメリカ生活・e-ニュース第95号)
には、ロッキー山脈と、グレートプレーンズ、プレーリー(草原)を示した、下図が出ている。
このサイトには、グレートプレーンズは、植生的には、短草の草原(ショートグラスプレーリー)であるとある。グレートプレーンズは、地形・気候的には、1500フィート(457m)以上の高地で、年間降雨量が20インチ(510mm)以下となっているという。
そして、プレーリーは、狭義で、トールグラス(長草)プレーリとして使われることもあるという。
さらに、このサイトでは、西経100度線辺りを境として、植生によって地域が分かれているとあり、図には、西経100度経線も示されている。
そしてサイトでは、経線付近の
西側が 大平原:グレートプレーンズ(Great Plains 短草)
東側が 大草原:プレーリー(Tallgrass Prairie 長草)
としている。
プレーリーの3つのタイプが示されている先の図と、上図とを比較すると、
先図 短草・混合ゾーン ⇒、上図右 グレートプレーンズ
先図 長草ゾーン ⇒ 上図右 プレーリー(草原)
と、おおよそ、同じような形になっている、と言えるようだ。
このことから、筆者も、このサイトの、単純明快な呼称を、使わせて貰うこととした。
以前、アメリカのTVドラマで、NHKでも日本語吹き替え版で放送された、
大草原の小さな家:Little House on the Prairie
というのがあり、筆者も、なんども見ている。 そういえば、アメリカの、草ぶかい田舎が舞台だった! この原作者(ローラ・インガルス)は、ウイスコンシン、カンザス、アイオワ、ミネソタ、サウスダコタ、ミズーリと転々とした実経験をもとに作品を書いたようだ。これ等の州は、上図では、長草のプレーリー地帯になっていて、お陰で、ドラマの風景が確かめられたようだ。
アメリカのプレーリーと言えば、周知のことだが、下図のように、愛らしいプレーリードッグ達の、棲み家にもなっている。(図は、ネットより)
平原や草原と言うと、日本では、すぐ、周りに、山々を想像するのだが、アメリカでは、大袈裟に言えば、地平の彼方まで、
平原はどこまでも赤茶けた大平原
草原はどこまでも緑の大草原
が続いているようだ。ただ、現在は、農業、畜産業等での土地利用が進んで、大方が、畑や牧場になっている、ということのようだ。