一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『犬身』

2008-04-20 | 乱読日記
松浦理英子は『親指Pの修行時代』以来ですが、そもそも寡作で、長編はその間に一冊あるだけです。

犬になりたいと願ういわば「種同一障害」の女性を主人公にしたものです。

詳細はネタバレになってしまいますが、設定の妙と「性器結合至上主義」的性愛へのアンチテーゼ、そして導入部に時間をかけて非常に長い作品になっているところは『親指P』と同様です。

ストーリーテラーとしての底力は健在で面白く読めますが、面白い読み物と思っていると鋭い批評が混じっていたり、まじめなテーマと思っているとたまに脱力させられたりと、相変わらず松浦理恵子の独自の世界が展開されます。


直球より変化球の好きな方には勧めです。


ところで本書はTimebook Townという電子書籍配信サービスのサイト(初めて知りました)に連載されていたものの単行本化ということですが、これを全部ダウンロードして読むのは大変だったろうと思います。



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