一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則」

2006-01-06 | 乱読日記

年末年始シリーズ(厳密に言うとクリスマス前後からですが・・・)その4

同じ著者による「ビジョナリー・カンパニー」がベストセラーになったので、そのタイトルを流用していますが、内容的には二番煎じでなく、非常にいい本だと思います。

作者は前作「ビジョナリー・カンパニー」に対する「とりあげられた会社はそもそも偉大な創業者の手になるもので、普通の会社には役に立たない」という指摘を受け、普通の企業から偉大な企業へ飛躍を遂げた会社の研究をしたのが本書です。

そこで明らかになったのは、企業が飛躍を遂げるには、カリスマ的な経営者も従業員を鼓舞するような燦然たる経営ビジョンも大リストラも起死回生のM&Aも画期的な新技術も必要なく、飛躍した企業に共通している点は、謙虚で意志の強い経営者が適切な人材とともに確固たる信念を持って地に足のついた努力を積み重ねる、ということだった
と、かいつまんで書いてしまうとあたりまえのような話なのですが、それを具体的な事案やエピソード、特に、同業で「偉大になれなかった企業」との比較により、説得力をもって描かれています。

また、今までビジネススクールや経営コンサルタントによって提唱されてきた経営理論は捨て去って、まっとうに地道に経営すればいいんだ、という(新書版粗製濫造経営書のような)精神論・抽象論と違い、本書は成功の要因の厳密な分析と定義がなされていて、実践の指針としても参考になります。

日本では経営書にこういう理論的にしっかりしてしかもわかりやすい著作が少ないのは、経営学やビジネススクールの学者がちょっと有名になるとマスコミが手っ取り早いビジネス本や評論をいっぱい書かせて消費してしまうからでしょうか。


最後に本書から、内容には直接関係はないですが気に入ったひとこと  

「ビジネスでも人生でも、完全な失敗以外でもっとも危険なのは、成功を収めているが、なぜ成功したのかが分かっていない状態だ」







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