一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

テレビ界の下請けいじめはなくなるか

2009-02-23 | あきなひ

日曜の朝日新聞の一面トップ記事です。
「格差社会」「下請けいじめ」問題に対してマスコミ自ら襟を正す、というところでしょうか。

テレビ界、下請けいじめ是正へ 番組買いたたき禁止など
(2009年2月22日3時2分 朝日新聞)  

テレビ業界が、番組作りを発注する制作会社への「下請けいじめ」をなくそうと、総務省と自主ルールをまとめた。契約書もかわさずに発注し、金額を一方的に下げることが珍しくない現状を改める狙いだ。制作会社の著作権も尊重する。NHKと地上波テレビ放送を手がける120社余りの全民放を対象に、3月中に実施する。  

自主ルールは「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン(指針)」。総務省と放送局、番組制作会社の代表が1年間協議してまとめた。制作会社の大半は中小企業で経営が苦しく、長時間の不規則勤務にもかかわらず「年収100万、200万円台の社員がぞろぞろいる」(大手プロダクション社長)という。ワーキングプア(働く貧困層)が社会問題になったこともあり、業界として改善を目指すことにした。  

指針は「放送局は制作会社に対して取引上、優位な地位にあることが多い」と明記。(1)制作会社への発注書・契約書の交付と契約金額の記載を義務づけ(2)番組「買いたたき」を禁止(3)制作会社が持つ著作権の譲渡強要を禁止、の3点を盛り込んだ。

しかし、もともとテレビ業界は下請けや非正規労働者の雇用を前提としている職場で、それを法制度も是認しています。
労働者派遣法で派遣期間の制限がないいわゆる「政令26業種」もテレビ業界関係の職種が突出して多く認められています。

26業種について定めている 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令第4条をみると  

 1号 ソフトウェア開発の業務
 2号 機械設計の業務            
 3号 放送機器等操作の業務   
 4号 放送番組等演出の業務   
 5号 事務用機器操作の業務
 6号 通訳、翻訳、速記の業務
 7号 秘書の業務
 8号 ファイリングの業務
 9号 調査の業務
10号 財務処理の業務
11号 貿易取引文書作成の業務
12号 デモンストレーションの業務
13号 添乗の業務
14号 建築物清掃の業務
15号 建築設備運転、点検、整備の業務
16号 案内・受付、駐車場管理等の業務
17号 研究開発の業務
18号 事業の実施体制の企画、立案の業務
19号 書籍等の製作・編集の業務
20号 広告デザインの業務
21号 インテリアコーディネーターの業務
22号 アナウンサーの業務
23号 OAインストラクションの業務
24号 テレマーケティングの営業の業務
25号 セールスエンジニアの営業、金融商品の営業関係の業務
26号 放送番組等における大道具・小道具の業務

となっています。
法律制定の時点のロビー活動の成果なのでしょうか。はたまた、阿吽の呼吸でお手盛りをしてもらったのでしょうか。

なので、上のガイドラインが実施されたとしても、丸投げをやめてテレビ局が番組を自主制作する代わりに下請け会社からスタッフを丸抱えで派遣させるという形が可能です。
またこの場合著作権は当然にテレビ局側になるのでこの問題もクリアできます。

「偽装請負」がだめなら「偽装派遣」でいこう、ということでしょうか。


そういう意味では、一面トップで襟を正した、と自慢するにはまだ早いような気もします。

 


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