一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

守るか攻めるか(Googleと著作権)

2005-10-21 | よしなしごと
米作家団体、著作権侵害でグーグルを提訴。また、出版社からも訴訟提起されたようです。

グーグルは、"Google Print Library" Projectとして、ミシガン、ハーバード、スタンフォード、オックスフォードの各大学、ならびにニューヨーク公立図書館の蔵書数百万冊をスキャンし、そのテキストをウェブ検索できるようにする計画を推進中ですが、それが著作権侵害にあたるという訴えです。

これに対しグーグルは、著作権は尊重しおり、"Google Print Library"は2,3行が見られるだけで、本を丸ごとダウンロードできたり印刷できるわけではない。また、"Google Print Library"は、書籍に対する認識と売り上げを増やすことで、著者と出版社に直接恩恵をもたらすもので、提訴は近視眼的であり遺憾であるとしています。


他人の著作物の一部を検索可能な状態におく、公表するということが英米の知的財産権制度上(アメリカでは" Digital Millennium Copyright Act"という法律があるらしいですが)どういう扱いになるのかについては全く知らないのですが、グーグルの言い分にも一理あるような気もします。

たとえば書評などで、内容の一部を引用する場合と同様、著作物の頒布とか放送とは異なる感じがします(そういえば従来の書物自体でも扉に他の小説などの決め台詞や警句・箴言の引用はありますね)
また、blogなどを書いていても、「あの正確なフレーズが思い出せない」とか「どの著作にあったんだっけ」などと悩むことがありますので、フレーズで書籍を検索できるサービスは有用だと思います(特に保管スペースの関係で処分してしまった本の場合は助かりますね)

なので、僕としてはこのサービスは結果的には購買意欲を刺激するのではないかと思います。


法制度やルールが未整備な中でグーグルが先陣を切る意味も含めて今回のプロジェクトを評価する意見もあります。
さらにこの記事では、プロジェクトへの参加者が世界中の公共図書館などに広がった場合、将来的には図書館の電子化についても議論されることになろうと示唆しています。

これは全世界的に見れば予算に乏しいであろう発展途上国の公共図書館にとってプラスになることだと思います。

ただし、もう一方で「英語文明が世界的に文化的覇権を握る」ということも危惧したほうがいいんじゃないかな、とも思います。
逆にアメリカにとってみれば、情報を守るより広く利用可能にすることで、他国の文化を締め出す戦略に役立つという事です。

これは、効率的かつ徹底した情報の伝達をしたものが優位に立つ、という昨日と同じ問題でもあり、また、カセットテープやCDにように広く使用許諾を認めることで業界標準になる、というビジネス戦略でもありますね。

ということで(毎度の繰り返しですが僕自体は陰謀論に組するものではありませんが)「発展途上国に無償/低コストで英語のインフラを提供する」という発想はアメリカの国益にとってはプラスになると思いますので、そんなところから妙な国家的プロジェクトになったりしないことを願いましょう。


PS グーグルと著作権問題としては、素人的にはキャッシュ機能が著作権侵害?という問題の方が、既に著作権者が公表を止めているサイトを閲覧可能にするという点で問題が大きいような気がします。


※現行での図書館と(日本法上の)著作権問題についてはこちらをご参照ください。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ドキュメント 戦争広告代... | トップ | 一気一憂の始まり »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

よしなしごと」カテゴリの最新記事