一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

いい講演を聞きました

2005-06-15 | あきなひ
今日は軽井沢の星野リゾートの社長の話をセミナーで聞きました。

星野リゾートは中軽井沢の老舗旅館星野温泉を母体に、リゾートホテルやエコ・ツーリズムなど斬新な経営で有名。

個人的にも、軽井沢に行くと外来入浴(最近は専用の「トンボの湯」という浴場ができた)などでよく使わせてもらっています。
実はメルマガの読者だったりもします


いろいろ参考になる話が多かったのですが、いちばんなるほど、と思ったのが、日本のリゾートホテル(温泉旅館も含めて)がなぜうまくいかないか、という話。

日本のリゾートホテルは、日本人が同じ時期に休むために、GWと夏休みは過剰需要で、それ以外は供給過多。
そうすると、過剰需要のときは経営努力をしているホテルもそうでないホテルも満室だし、それ以外は経営努力をしてもそれほど稼働率はあがらない(結局通年だと30~50%の稼働率にしかならない)。

一方で「リゾートの活性化のためには人材育成が大事」などと言われるが、結局は「いい人材を集めるには、いい待遇」というのが鉄則。しかし稼働率が60%を越えないと、他業種に対抗できる給料を払えない。

そうすると、ホテルの競争力・魅力を向上させようとしないで、過剰需要のときに稼ぐだけ稼ぐという「刈り取り型」の商売になってしまい、長期的には顧客を失ない続ける(海外旅行との競争に負ける)という悪循環になっているとのこと。


「リゾート運営の達人」を起業ビジョンにかかげ、顧客満足をいかに利益につなげるか(たとえばどの顧客満足の要素がリピーター確保につながるか)をきちんと分析し、また従業員にも顧客満足度の向上を図るインセンティブを与えるなど、すごく真っ当かつ論理的な経営をしている。


たとえば日本の旅行代理店は、国内旅館に対しては部屋を押さえても、売れなければ「返品」できるというとても有利な契約をしているが、それは日本の旅館が送客を依存しているからで、現に日本の旅行代理店も海外のホテルとは部屋の買取をやっているわけだから、きちんとした経営をして国際レベルの競争力をつければ交渉力もまし、有利な条件を勝ち取れるはず、というあたりは説得力があった。


ちなみに、星野リゾートの本館(旧星野温泉)が今年7月にリニューアルオープンすめざし建て替え中だが、10年前に近くに作ったプレストンコートというホテルは通年で75%!(これは今までのリゾートホテルの常識から言うと破格)の稼働率だそうだ。


また、ここ数年は破綻したリゾートの再生事業に乗り出しており、リゾナーレ小淵沢(元マイカル経営、建物はマリオ・ベリーニ設計。人口造波装置つき屋内プールなどもあるバブル期を代表するリゾートホテル)、アルツ磐梯スキー場(地元3セクが900億円かけて開発した有数の規模を誇るスキー場)、アルファ・トマムの運営を受託している。また最近、温泉旅館の再生事業のためにゴールドマン・サックスと提携するなど、その運営力が脚光を浴びつつあります。
ちなみに外資との提携についての質問に対し「外資って言ったって温泉旅館ごと外国に持ってっちゃうわけじゃなく、日本の旅館業が活性化するのだから、外資の金だから云々にはこだわりません」というあたり、非常に気持ちがいいものの考えをする人だな、という印象でした。


そのほかにも、個々の顧客満足の要素と顧客行動との関係の分析とか、リゾート再生のための各リゾートにおけるコンセプト作りの話とかも面白かったのですが、長くなってしまうのでまたの機会にします。


しかし、(専門用語とか妙な造語・概念図を使わずに)平易な言葉と(複雑な数式を振り回さずに)簡潔なデータを用いて、かつ論理的にわかりやすく経営について説明できる人って、経営者や経営コンサルも含めて少ないよなぁ、と改めて思いました。



リゾナーレとアルツは破綻前に行ったことがあるので、また今度ぜひ行ってみようと思います。
また、星野温泉はオープン当初は大人気(自由な時間を過ごせる新コンセプトの温泉旅館にするらしい)でしょうから、しばらくたってからにしたほうがよさそうですね。

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