カトリック情報

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近代のキリスト教の流れ

2009-03-02 | 左派(リベラル)
近代以降のキリスト教の歴史

エキュメニズムと世界教会協議会
プロテスタントは、1910年にエジンバラで世界キリスト教会議を開催し、カトリックと東方正教会の代表に加えて、非キリスト教の諸宗教の代表も招き、教会の対話と一致を協議した。その結果、世界教会協議会(WCC)が誕生し、エキュメニカル運動(教会一致運動)が推進された。プロテスタント諸教会は洗礼・聖餐・職制(叙階)において一致するために「リマ文書」を作成し、それを用いて諸教会の合同礼拝を行っている。また各国でプロテスタント諸教派による「合同教会」(United Church)が誕生している。日本では戦中に政府の強制によってではあるが教会合同が行われ、日本基督教団が作られた。

第2ヴァティカン公会議
第二次世界大戦後、カトリック教会は一転して大規模な教会改革を開始し、第2ヴァティカン公会議において、プロテスタントおよび東方諸教会とのエキュメニズム、科学と聖書学の尊重、各国語による典礼、諸宗教との対話、社会正義の実現という、新たな路線を打ち出した。この改革が規模と内容において、16世紀の宗教改革を凌駕することから、「第二の宗教改革」と呼ばれることがある。第2ヴァティカン公会議以降、プロテスタント諸派とカトリックとの対話が促進され、相互聖餐の関係樹立を目指して、教派別に神学的作業が進められている。また、聖公会とカトリックの間にも、相互聖餐の関係が樹立されつつあるが、聖公会が女性および同性愛者を司祭や主教(司教)に叙階していることが、両教会の完全な合同に対する越えがたい障害となっている。

アメリカの現代キリスト教
アメリカでは、18世紀のニューイングランドにおける大覚醒以来、回心運動である「信仰復興」が各地で繰り返し起こり、これにより、宗教体験を最重要視し、聖書を字義通り受け取り、神学を含む学問全般を軽視する傾向が、キリスト教諸教派に共通して見られた。また1800年代から再臨運動が起こり、メソジスト教会から分裂が起こり、ホーリネス運動やフリーメソジスト教会が誕生する経緯となった。中西部から南部では、野外のテントの集会で「聖霊のバプテスマ」や「神癒」の体験を得ようとするキャンプミーティングが数千ヶ所で開催され、熱狂的な礼拝やゴスペルソングの歌唱など、黒人教会の霊性(スピリチュアリティー)に対して決定的な影響を与えた。1904年には、異言を伴う聖霊のバプテスマを強調する信仰復興がロサンゼルスで始まり、北アメリカに急速に広まり、さらに、イギリスや北欧諸国にも及んで、新たにペンテコステ派が誕生した。

自由主義神学vs福音派
アメリカでは20世紀初頭に、自由主義神学の是非を巡って米国長老教会を中心に重大な教義論争が戦わされ(メイチェン論争)、自由主義神学(リベラル)を採用するメインライン(主流各教派)と聖書の無誤無謬を主張するファンダメンタリスト(福音派)とに教会が二分された。

ファンダメンタリストとは、1. キリストの処女降誕、2. キリストの神性、3. キリストの奇跡、4. キリストの贖罪死、5. キリストの復活と再臨、という伝統的なキリスト教の五つの根本教義(ファンダメンタルズ)を堅持することを意味する。

一方、メインラインと呼ばれるリベラル-エキュメニカル諸派は北アメリカにおける多数派として政治的主導権を有していたが、第二次世界大戦が終結すると、青年層の中で西欧キリスト教文明の終焉が強く意識されるようになり、文明の転換を禅などの東洋思想に求めるカウンターカルチャー(対抗文化運動)が起きて来た。非キリスト教的な瞑想やコミューン、環境保護、ロック、麻薬、反戦平和、伝統的権威の否定、性の解放が、青年層を越えた社会現象となるにつれ、時代の変化に即応できず、「世俗化」して大衆の心を掴む力がなくなったメインラインの諸教会の影響力は低下して行った。これに対して、福音派(ファンダメンタリスト)においては、ビリー・グラハムに代表される大衆伝道者やテレビ伝道者が、「クルセード(原義は十字軍)」と呼ばれる大規模な回心運動を野球場を使って全米各地で展開し、多数の回心者を獲得した。その結果、福音派がメインラインに迫る多数派となり、政治的にも影響を与えるまでに至った。また、福音派(ファンダメンタリスト)や聖霊派(ペンテコステ派)の中からは、カウンターカルチャーに対して大胆な文化適合 (w:cultural contextualization) を行い、ロックなどの現代的な音楽を教会音楽に採り入れるなど、非伝統的なスタイルで礼拝を行う新しい教会が出現した。このような大胆な文化適合の結果、一個の教会が短時間で数千人から1万人の会員を擁するという「教会成長」が起こったが、信者はこれを聖霊の働きによるものと捉え、更に宣教に熱心になって教会成長を加速した。また、このことによりマーケティング理論や社会学を援用して教会成長の要因を分析する教会成長学も生まれた。なお、現代的な音楽を採り入れた新しい教会音楽は、コンテンポラリーゴスペルやワーシップソングと呼ばれ、新しい教会の成長とともに需要が拡大し、レーベル会社が設立され、音楽業界の中で確固とした市場を確立するに至っている。

現代のキリスト教
1960年代以降、世界教会協議会が反戦平和や南北問題など政治色を強め、自由主義神学を採用するメインライン中心の運動となるにつれて、ファンダメンタリスト(福音派)は世界教会協議会から距離を置き、世界福音同盟(WEF)やローザンヌ世界宣教会議を形成して来ている。

その一方で、北アメリカでは1960年代から、異言を強調するカリスマ刷新運動が米国聖公会を端緒として、自由主義神学を採用するメインラインの諸教派の一部に広がり、さらに、カトリック教会にまで影響を及ぼした。メインラインの中でカリスマ刷新運動の影響を受けた教会は、自由主義神学を保持しつつも、聖書に対する伝統的な見方に回帰し、より福音派に近い信仰となる傾向が見られる。

現代のアメリカでのキリスト教の図式としては、カトリックの中にリベラル派と保守派があり、プロテスタントの中にもリベラル派と保守派があるが、リベラル派と保守派の間の相違が本質的であるゆえに、もはや、カトリックそれ自体とプロテスタントそれ自体の差異はさほど問題にならないほど小さくなってきている。つまり、現代のキリスト教は、リベラル派と保守派の二大潮流に大別され、カリスマ派が両者の間にあって接着剤としての役割を担いつつあるということである。いっぽうこのような対立と相重なる典礼変更を嫌って、伝統的典礼形式を広く保持している正教会に改宗する動きも一定数みとめられる。

http://encyclopedie-ja.snyke.com/articles/%E3%82%AD%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E6%95%99.html#.E3.82.A8.E3.82.AD.E3.83.A5.E3.83.A1.E3.83.8B.E3.82.BA.E3.83.A0.E3.81.A8.E4.B8.96.E7.95.8C.E6.95.99.E4.BC.9A.E5.8D.94.E8.AD.B0.E4.BC.9A

アメリカ合衆国の現代キリスト教

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E3%81%AE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E3%82%AD%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E6%95%99#cite_ref-3