大袈裟なタイトルだ。これは私の相棒であり、同年代の頼もしい仲間であり、未熟な私に人生を教えてくれる尊敬する男、ポンちゃん(本田義弘)の提案だ。私も、自分のできる範囲で、私の情熱と、小さな志をそこに向けていきたい。
私のできる事。それは木々をエネルギーに代えて、山の恵みをいただきながら質素に生きていく事だ。 ポンちゃんと、ほぼ毎日そんな事を話したりメールしたりしている。構想はだいたいできた。あとは行動するのみだ。
具体的には、煙道(くど)を作る。それは昔懐かしい姿をしているが、私たちの知りうる限りの(と言ってもたいしたことないが)エネルギー利用を装備するつもりだ。
間伐材を燃料とし、熱交換機(給湯に床暖房)、薪ストーブ、クッキングストーブ、パン窯、ピザ窯、炭火グリル、煮炊き用釜、温度差利用の発電システム、熱分配システム・・・・
耐火レンガと耐火セメントで造る。設置は土間。土間が無ければ、法律に基づいた防火仕様で備え付ける。
何と言っても、その煙道は家の中心に据える事が大事。 「火のある暮らし」だ。つまり、毎日母なる大地と父なる宇宙の恵みを感じながら生きる事の豊かさだ。
そして、この仕組みはいろんな効果が期待できる。 まず、化石燃料使用が減る。質素に生きていくために必要なエネルギーのほとんどを賄える。薪で焚いた風呂は素晴らしい。お湯が柔らかく、冷めにくい。薪を熱源とした床暖房は優しくて力強い暖かさだ。これは私が毎日実感していることだから間違いない。この二つだけでも病気にならない暮らしができそうだ。
しかも、火を眺めて暖かく暮らす豊かさが手に入る。子育てはその火を中心にする。お母さんは煙道の周りで家事をする。お父さんは山からそのエネルギー源を運んできて、薪割りして備える。子供たちはその両親の姿を見て育つ。火焚きができるようになって一人前だと躾けられる。暖かい火の回りに家族や仲間が集う。都会のマンションでは到底味わえない豊かさだ。いくらお金があっても経験できない生き方だ。
もちろん燃料は山からいただく。実際、私は自分で使う燃料(今は薪ボイラーと薪ストーブ用)を自分で伐って自分で運んでいる。安全に留意した技術を身に付ければ難しいことではない。費用は限りなくゼロに近い。自分の時間と自分の身体でエネルギーを得るのだ。金はいらない。やる気と健康な身体があればいいのだ。自分で伐って運ぶのは大変だという人にはこんな提案もある。
実は私が生きている地域には「木の駅プロジェクト」がある(私はその事務局だ)。そこから薪を手に入れることができる(ようなしくみを私がつくる)。
問題は数々あるだろう。しかし、それを楽しみながらクリアするつもりだ。 儲からないけれど、炭やきと山仕事と煙道製作が私の生業、本業だから。 私にはこれしかできない。けれど、これは私にしかできないだろう。
50になろうとする無愛想なおっさんが、残りの人生を捧げて本気で取り組む価値のある仕事だ。自分のためでもあるが、私が死んでから効果が表れてくるような仕事だ。
多分、地球に生きる動物としての人類が一番大切にしなければならないこと。それは「欲を捨て去ること」ではないだろうか。私もそこを目指して苦しんでいる。「金持ちになること、有名になること、誰かに勝つこと・・・・・・」、それらを捨て去ったとき、本当に豊かな人生を送ることができるのだ。
私の夢は、山奥に自分で打った窯を持ち、その近くでセルフビルドの小屋に棲み、毎日の風呂・暖房・調理・を煙道で行い、毎日火を眺めて暮らし(これは今でもやっている)、愚直に働き続け、子孫から借りただけのこの地球を守り、名も無き山守・水守として死んでいく事だ。贅沢はいらない。 できれば、私の作り出すエネルギーと、誰かの作り出した食べ物を交換したい。無駄な金銭が介在しないコミュニティだ。
それを私自身がごく普通の暮らしにしてしまう事。それが誰かの魂に届く。その連鎖がこの国を立ち直らせるんじゃないかな。それが本当の復興なんだ。誰かのためにとか、地球のためにとかでなく、当たり前の事を淡々と、質素に続けることがこの国を救うのだ。
まずは、自分磨き。こんな私でも、地に足着けて愚直に進んでいこうと、静かな決意を胸に宿していることを再び確認できた。相棒ポンちゃんや仲間たちの応援があれば大丈夫だと確信できる。
私はこれを静かに、着実に進めたいと願っている。金の呪縛が届かない山奥で、信頼できる仲間たちと粛々とやっていく。そして私たちが本物になったとき、更に本物が呼応して集まると信じている。
補助金絡みで大はしゃぎしているみっともない大人がいる。イベントの成功・不成功を参加人数の多さで計り、何でもかんでも組織を作りたがり、実の無い話を繰り返し、関心があるのは、補助金の使い道。
結局、有名になりたいだけの輩たちだ。自分の顔が欲にまみれてどす黒くなっていることに気付いていない。無垢な若者を巻き込み、彼らの純粋な想いを弄び、コラボと称して自分の手柄を増やす。
私は今、不本意だ。そんな状況に腹が立つが、私の目指す場所は、そこから遠く離れた孤島のような場所だ。気づけば私独りかもしれない。それもいい。いっそ、孤高を貫いてみよう。
そんな場所に、いつかは辿り着けると信じて・・・・