炭やきは地球を救う

脱サラして10年。炭やき・木こり・木挽きを生業としています。

何のためのイベントか?

2007-11-29 | 環境問題 地球を救う真面目な話

いよいよ明後日に迫ったイベント「奥矢作森林フェスティバル」

ある人から、「あなたの集大成ですから、頑張って下さい」と言われた。ありがたいお言葉なのだが、何故か私にはピンと来なかった。

確かに、メインとなる講演やパネラーの方へのお声がけは私がさせて頂いた。テーマも高野先生と相談しただけで、勝手に決めさせてもらっている。ある意味、私のやりたいようにやらせて頂いているし、窯の回りは私の思うようにレイアウトさせてもらっている。周りの人に感謝している。

何のためのイベントか??少なくとも、私個人や私たちNPOの利益のためではない。主催はダム事務所だ。主役はわざわざ足を運んで下さる参加者の皆様だ。象徴となるのは、流木炭化窯。まだ窯の名前も決まっていない。

イベントのテーマは「流域思想と火のある暮らしの復活」だ。ちょっと欲張りすぎたかもしれない。私の仕事はそのどちらにも直結している。

だが、このイベントが私の集大成というのは、ちょっと違う。私にとって、このイベントは私のスタートだからだ。今の状態を見てもらい、修正箇所があればそれを教わりたい。勝った負けたではない。子孫のために、地球のために立ち上がった私たちの仕事はここから始まる。

しかし、我ながら、すごい人たちが集まって下さると思う。日本中からすごい人たちがここへやってくる。

本当なら、私は興奮してはしゃいでいてもおかしくない。しかし、妙に落ち着いている。

自分なりに、自分の役目がわかってきた。私の本当の役目は、これから先に訪れる。

この窯の使い道と、出した炭の行方が問題なのだ。私自身がそれだけ真剣なのだろう。

落ち着いて、このイベントを見守れる気がしている。

申し込み人数が500人を超えたそうだ。

たくさんの人に大森先生の話を聞いて欲しい。小澤先生の考えに耳を傾けて欲しい。

そして、我が師杉浦銀治先生のメッセージを受け取って欲しいと思う。

まだある。矢作湖を前に唄ってくれる海藤さんの唄に魂を揺さぶられて欲しい。

田代さんのコカリナの演奏で心を癒して欲しい。

パネラーのお話を自分の問題として考えてみて欲しい。

そして、炭やきで暖まった窯を味わって欲しい。ほっこり、そして言いようもなく落ち着く場所だ。

すでに、たくさんの人から参加表明を頂いている。心から嬉しい。懐かしい人、初めてお会いする人・・・・・

みんな、目指すところが同じ人たちだ。同じ志の人たちだ。

それが一番嬉しい。


今日は良いことをした

2007-11-28 | 環境問題 地球を救う真面目な話

毎日イベントの準備で本当に忙しい。

そんな中、湖の対岸にある旭町の中学生が電話で炭やき体験の依頼をしてきた。

電話があったのはだいぶ前だが、私は大歓迎で受け入れると返事をした。

それが今日であった。二人の中学生(一年生)が朝やってきた。大きな流木炭化窯や、湖畔窯に興味しんしんの様子だ。ドラム缶窯で実際に竹炭を焼いてみた。滞在時間の関係で、窯を止めるまではいられなかったが、炭材を詰め、焚き口を作り、火を焚いて、炭材に着火するまでは体験してもらえたようだ。

途中、先生が様子を見にきた。生徒たちの自主性を尊重して、なるべく口を出さないようにしているとおっしゃっていた。

ここ串原もそうだが、山村の中学は生徒数も少なく、ある意味贅沢な教育がされているようだ。都会で毎日塾通いの中学生よりものんびりしているし、穏やかな表情をしている。

それでも、初めて体験する炭やきを楽しんだようだ。

イベント準備で忙しすぎてちょっとイライラしていたのだが、中学生と接してみて、ふと我に返った。

そうだ。仕事は一生懸命に、楽しみながらこなした方が上手くいく。

中学生との交流がそんな事を思い出させてくれた。


またまた嬉しい知らせ

2007-11-27 | 環境問題 地球を救う真面目な話

イベントの準備は着々と進んでいる。窯場の片付けはほぼ終了した。

あれだけ広い場所だ。若い衆と二人、本当に黙々と作業してようやく片付いた。

昨日と今日、地元相走の衆が草刈に来てくれた。

軽トラが3台。さっそうと現れた。手際よく、パワフルな草刈だ。ほれぼれする。あの人たちは何をやっても、ああやって片付けてしまうのだろう。仕事とはこうするんだと教えられているようだ。

正直、カッコイイと思った。いわゆる山のおっちゃんたちだ。私は嬉しくなった。

そんなとき、携帯が鳴った。愛媛の鶴見先生だ。

イベントに来て下さるという話。嬉しい知らせだ。

愛媛大学の鶴見武道先生。流木炭化窯の発案者である。わが大師匠杉浦銀治先生と共に、地下式の巨大炭窯を考えた本人である。

この流木炭化窯は、鶴見先生が考案、銀治先生が具体的に推し進め、我が師匠斎藤和彦が設計した。私は現地の築窯を任され、何とかやり遂げた。

もちろん、ダム管理事務所の協力が無ければ机上の空論に過ぎなかった巨大炭窯だ。

我がnpo「奥矢作森林塾」の大島さん、荒田さん、太田さん・・・・沢山の人が関わり、沢山の人の応援や支援でようやく完成したのだ。

この窯を使うのは私だが、造ってくれたみなさんに感謝したい。

それを祝い、これからの矢作川上流域の活動を約束するのが、週末の

「奥矢作森林フェスティバル」である。当日、気が向いたら是非来ていただきたい。

矢作湖に向かって唄う海藤さんの「and ever」を聴くだけでも価値のあるイベントだと思う。


共生

2007-11-26 | 環境問題 地球を救う真面目な話

宇宙船地球号を見た。

「この森を守る為に、何をすべきか?」

屋久杉が超長生きするのは、微生物との共生があるからだそうだ。

屋久島だけではない。この地球上の、生きとし生ける者全てが共生しているはずだ。

屋久島の土壌が汚染されている。原因は中国。石炭を燃やし、汚染物質を排出している。

季節風が中国で発生した汚染物質を日本まで運んでいる。日本の山間部で上昇気流で舞い上がった水蒸気と、その汚染物質をたっぷり含んだ風が出会う。結果、雨となり、山間部に降り注ぐのだ。

ここまでハッキリと環境を壊している原因がわかっているのに、何故世界は動かないのだろう?温暖化だの、CO2の削減だの、それよりも先に、汚染物質を出している中国に規制をかけるべきだと思う。少なくとも、枯渇するとわかっている化石燃料資源を使わせないことだ。

日本の木が枯れるから中国で化石燃料を燃やすのを止めさせるのではない。

この地球の未来を考えたら、当然なされるべき規制なのだ。

まだ間に合うが、今から始めないと取り返しがつかない。今始めても、地球が私たちを許してくれるのは何十年も先だろう。

だから、今なのだ。

酸性雨が降り注いだ山林土壌を元に戻すには、炭を置くことだ。それは人間の思いあがりかもしれない。自惚れかもしれない。しかし、この地球を痛めつけているのは人間なのだ。

こんな事を聞いたことがある「人間だけが、快楽のためだけに他の命を奪う」

なんと愚かな種なのだろう。せめて、母なる地球を救うために、この丈夫な身体を捧げよう。

私自身が、地球と共生することだ。人間も地球そのものと共生できるはずだ。

毎日山を見て過ごす私のライフワークが、炭で山林土壌を良くしていくことだ。

賛否両論だろう。これが一番だとは思っていない。そもそも、順位をつける事は馬鹿馬鹿しい。自分ができる事を一つづつでも続けていきたいだけだ。炭を山に置いて、悪影響が出るという報告は聞いた事がない。良くなるという話はあちこちで聞く。

私自身、山に炭を置く事は、地球を救う手助けになると信じている。

それが「炭やきは地球を救う」という、我が大師匠杉浦銀治先生の言葉だ。

もちろん、人間が地球を救えるとは思っていない。人間には、そんな能力は無い。

地球を救うのは、地球自身の再生能力だけだ。

人間が行ってきた、「百年の愚行」を反省し、やってはならぬ事をキチンと止めて、やらねばならぬ事を少しづつ始めようではないか。生活全般を変えるのは大変だ。自分たちでできる事から始めよう。何か一つ、母なる地球の為に我慢しよう。そんなささやかな行動を、ちょっとづつ増やしていこう。それが「微力の結集」となり、何十年かすれば、地球が自分で元に戻ってくれる。

それこそが「共生」だと思う。


今回の窯は・・・

2007-11-25 | 環境問題 地球を救う真面目な話

今(夜中の1時だ)窯を止めてきた。

途中、窯に我慢させていたのだが、止める時もわりと穏やかな窯だった。

今回は正確に温度を測ってみた。天井や床を土で打った窯よりも低め。着火して安定しているときの温度は77度。足助の梶さんのところで焚いたときはそれが82度だった。

ネラシをかけ、根風を入れて、煙突も全開にしてからしばらくして測ると252度。それ以上は上がらなかった。

窯の天井からは陽炎が立ち、周りに熱気を放っている。根風パイプから覗くと、窯床の炭材が真っ赤になっている。

パイプと空気穴をふさぎ、ガス抜きに入る。窯が放つオーラがふっと治まる。

煙突から白い煙が出始める。天井の陽炎が少し減り、窯が落ち着く。

煙突を外し(これが熱くて大変だ)、煙突穴に鉄板の蓋をして、土をかけて塞ぐ。

そして、いつものように焚き口に水を打つ。この時「良い炭が出ますように」と山の神に祈りを捧げる。

前を完全に塞ぎ、泥水をかけて終了。この泥がとてもいい具合になってきた。

毎回毎回、丁寧に取り除き、砕いて細かくして、また使う。灰を混ぜ、赤土を少しづつ足す。

鰻屋のタレのように大切に使ってきた。ようやく、恥ずかしくない泥になってきたのが嬉しい。

実は、今月に入ってまだ休んでいない。毎日イベント準備で忙しい。私の仕事は山ほどあって、飯を食う時間も短くして頑張っている。しかしそれが楽しい。

イベントはもちろん楽しみだが、私の本当の仕事は山を守り、水を守る為の炭やきである。それを忘れずに、愚直にやっていこうと思う。

今日の昼間は炭切り。本当に顔が真っ黒になる。鏡を見ると驚くほどだ。でもそれが誇らしい。

つくづく、私は炭やきが好きなんだと思う。これが私の仕事だと、堂々と言える自分が嬉しい。

こうやって、真面目に炭やきを続けていれば、きっと地球は良くなる。口先だけの環境家たちの危機感を煽るだけの大騒ぎには背を向け、私は多くを語らずとも、「まだ間に合う」と示しながら、具体的に動いていきたいと思う。私は本気だ。私の相手は地球である。相手にとって、不足は無い。目指すところは、金儲けや自分たちの名声ではない。私たちの仕事は、結果を自分の目で見ることは無いのだ。貯金もできない。名を残す事も無い。

しかし、志でやり遂げる覚悟はとっくに据わっている。この想いは決して揺るがない。それはハッキリと言える。

来週のイベントはそんな私たちのスタートラインだ。

この先どうすれば良いのか?誰も教えてくれない。自らの道を切り開いていくしかない。

実は、それが一番面白い仕事だと思っている。そんな場所と道具を与えてもらった私は幸せものだ。こんな私にそれを与えてくれた周りの人たちに感謝したい。

月明かりの下、夜中に窯と魂で会話しながら、つくづくそう思った。