感染症内科への道標

研究学園都市つくばより感染症診療・微生物検査・感染制御の最新情報を発信しております。

市中及び医療ケア関連肺炎での薬剤耐性菌のリスクファクター

2014-03-13 | 臓器別感染症:呼吸器系
Risk factors for drug-resistant pathogens in community-acquired and healthcare associated pneumonia
Yuchiro Shindo et al
Am J Respir Crit Care Med

肺炎は最も多い死因の一つであり、CAP、HCAP, HAPが分類される。 
→これらは臨床像が異なり、HCAPはCAPと区別されMRSAやP.aeruginosa等が多いとされている。又HCAPではCAPと比較しinappropriateな抗菌薬が使用されている頻度が高いとされている。
→今回多施設前向き研究でCAP, HCAPの臨床的微生物学的特徴を解析 

2010年3月15日-2010年12月22日 
1000床の大学病院と500床以上の病院9病院 
20歳以上で肺炎を発症し入院治療を必要とした症例。 

肺炎の定義は国際ガイドラインに準拠
① 新規の浸潤影+
② 新規・増加する咳又は痰
新規の胸膜痛
新規又は増悪する呼吸苦
発熱(38度以上)又は低体温35℃未満 
白血球増加(10000以上)又は白血球低値(4000未満) 
新規の低酸素血症又は低酸素血症の増悪 
→上記6つの内、2つ以上

除外
閉塞性肺炎、前回抗菌薬より3日以内に発症した肺炎、初期抗菌薬投与が行われなかった肺炎、転送時既に改善していた場合、以前に登録していた場合 

HAPの定義 
・90日以内に2日以上の入院 
・介護施設
・在宅点滴治療 
・透析 
・30日以内にHome wound care

・ADLやH2 blocker、経腸栄養剤使用の有無やMRSA保菌の有無、ADROP等を調査 
・細菌学的評価;Mycoplasma pneumonia, Chlamydophila pnuemoniae, Legionella pneumophila serogroup 1 呼吸器培養

1742名の肺炎患者がアセスメント
→1413名がeligible
→887名CAP, 526名HCAP

CAPと比較しHCAPでは低アルブミン血症、先行抗菌薬使用、制酸剤使用、経腸栄養剤使用、non-ambulatory status, MRSA陽性の既往が有意に高値であった。 

887名中475名のCAP、526名中320名のHCAPで原因菌が同定。 
CAPでは肺炎球菌(17.1%), H.influenzae(10.4%)が最も多い。HCAPではK.pneumoniae( 15.6%), S.pneumoniae(12.7%)、MRSA(10.8%)、P.aeruginosa(8.7%)が多い。CAPではDRPsは8.6%であったのに対してHCAPでは26.6%であった。
→CAP, HCAPではそれぞれ22.4%, 31.2%でAntipseudomonas agentsが使用されていたが抗MRSA薬の使用は0.2%、1.3%であった。 

DRPsのリスクファクターとしては以前の入院(OR 2.06), 免疫抑制(OR2.31), 以前の抗菌薬使用(OR 2.45), 胃酸抑制剤使用(OR 2.22), 経腸栄養(OR 2.43), non-ambulatory status (2.45)であった。
→リスクの数が高い程、耐性菌の出現頻度が高まる。 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 最近のキノロンの使用と裂孔... | トップ | Weekly summary 2/23-3/15 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

臓器別感染症:呼吸器系」カテゴリの最新記事