喜劇 眼の前旅館

短歌のブログ

読んだ本

2007-01-26 | 短歌について
坂野信彦『七五調の謎をとく―日本語リズム原論』が図書館にあると分かったので借りて読みました。これは短歌やってる人は読んどいた方がいいと思いますね。同じ著者の『深層短歌宣言』がその題名どおり短歌の“深層”に降りようとしてややオカルトがかってたことを思うと、肩透かしなくらい“表層”にとどまってる論考なのが爽快でした。表層っていうのはつまり、言葉そのものの現場に踏みとどまってるってことで、薄っぺらいって意味じゃないですよ。本としては正直後半単調でだいぶ飛ばし読み。でもそのストイックさがこの本を使える本、にしていると思います。目からウロコは確実に落ちるので、あとはその目で何を見るかはご自由に、という本ですね。

片足

2007-01-21 | 鑑賞
昨日不正(?)に入手したある作品について。そういう理由でもあるのでメモ的に。
これは問題作と呼ばれるに違いなくたしかにそうなんだけど、そう呼ばれることが読み手の落しどころになるとこの作品の、どこかに一歩踏み出そうとした片足を上げっぱなしにしてるかのような、そのX個の足の裏から目をそむけることになると思う。だからここはあえてべたに傑作という言葉で誰にともなく釘を刺しておきたい。
これは問題作ではなく傑作です。

さらに言い直すと、足の裏はこれから地面を踏む途中ではないのだと思う。空間で何かを踏んでる。あるいは、何かに足は掴まれている。
勝手に足の動きを予測して地面を読みにいくのはやめろ。視線を下げるな。
地面に最初から書いてある文字を得意げに読み上げるな。
と、これも追加で誰というわけでもないみなさんに釘を刺しておきたい。

あけまして

2007-01-05 | 短歌について
今年になりました。今年も連作をこのまましばらく書き続けるつもりで、現在のところ三十首でまとめる見当のもの二つがほぼ出来ているところです。その後も「自転車用迷路集」という枠内でいけるところまでいこうかと思います。同じ場所をくりかえし何度も通って擦り切れさせて、下から別な地が現れてくるのを眺める、ということへの関心が維持されそうな気がするので。
その連作のどれかに入ると思われる一首を。


 消えてった輪ゴムのあとを自転車で追うのだ君も女の子なら