喜劇 眼の前旅館

短歌のブログ

完璧な野宿

2015-05-31 | 連作



あんなにいた子供たちが一人になって河のほとりを歩いてるきみは



北極のすごいところをすべて挙げみちたりた気持ちの繁華街



横断歩道をむりにつなげて明け方の冬の地鎮祭の出口へと



電車の中が馬鹿な息でくもっていく夜の続きと朝の手前に



高いところから飴玉をわたすのも変わりやすい今日の天気よ



かんぺきに安全な野宿死ぬことはあらゆる靴紐がほどける



ひこうきは頭の上が好きだから飛ばせてあげる食事のさなかに



これは絵はがきですと地面に足で書く なんという雨の球場だろう



踏切をゆっくり渡ってみたくなる むこうの声の中の鳥たち



あばら家にセクハラ日本一にかがやく盾と五分咲きのゼラニウム



他人のディズニーランドが夜のはまなすを飾るのが見えたすぐ来てくれ



帽子ってあなたが買えば似合うから夜には街灯に照らされて



デパートをゆっくり星にあけわたす 星はどこにでもやってくる



とびはねる表紙のバッタうれしくてくるいそうだよあの子とあの子



鳥の群れになったつもりであるいてる夜、夜、夜とかぞえられつつ