ガウスの旅のブログ

学生時代から大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。現在は岬と灯台、歴史的町並み等を巡りながら温泉を楽しんでいます。

紀伊山中の旅②

2018年11月23日 | 旅行
早朝起きだして、少し明るくなってから洞川温泉街を散策してみることにしたが、標高も高く、かなり冷え込んでいるので、防寒対策をしっかりして、宿を出た。
 この温泉街は、とてもレトロな雰囲気が漂っていて、昭和時代前期の町並みを感じさせる稀有なところとなっている。今でも数は減ってきているものの、毎年5月から9月まで大峰山参拝の白装束の人々が団体で訪れているとのことなので、昔の風情を保っているのであろう。古いながらも、荒廃した様子がなく、「陀羅尼助」や「温泉宿」の看板が活きている気がする。そんなことを考えながら、町並みを巡り、気に入った風景をカメラに写しつつ、ゆっくり歩いていたが、結構寒さを感じた。それで、40分ほどで旅館へ戻り、朝風呂に浸かって、体を温めた。
 朝食後、「紀の国屋甚八」を出立したが、心和む温泉街だった。虻峠を越えて、国道309号へ出て左折し、行者還ルートに挑むことにしたが、近畿三大酷道の一つといわれる悪路と聞いていたので、気を引き締めて運転することとした。
 舗装はされているものの、道幅は狭くなり、乗用車一台がやっとで、カーブが多いのだがガードレールすらない区間もある悪路だ。慎重にハンドルを回しながら、進んでいったが、崖下に転落したらひとたまりもないと思うとゾッとする。それでもなんとか、トンネルを越え、ヘアピンカーブの下り坂も乗り切って、国道169号まで出ることができ、ホッとした。
 その後は、紀伊山中の深いV字谷となった北山川沿いを南下していったものの、道路はとてもよくなっていて、安心して車を走らせることが出来る。途中から、池原ダムによって形成されたダム湖の縁を走ることになったが、なかなか良い景観を見せてくれた。しかし、ダム湖に沈んだ村々もあるかと思うと景色を愛でているばかりではいられない。
 ダムサイトの公園で小休止してから、再び車を走らせ、桃崎集落から右折して北山村方面へと向かうとまた道が細くなって、カーブが増えた。それでも、なんとか乗り切って、道の駅「おくとろ」で再び休憩を取った。ここは、日本で唯一飛び地となっている村で、和歌山県に属するものの、周囲はすべて奈良県と三重県に囲まれている。道の駅には、「飛び地の村訪問証明書」なるものが置いてあったので、一枚いただいて記念とした。
 休憩後は、再び国道169号を南下したが、時々車窓から見える瀞峡の景観はなかなかのもで、途中車を停めて、カメラに収めておく。熊野川の宮根橋を渡ると国道168号線へと出て、左折して熊野本宮を目指した。
 昼前には、熊野本宮大社の駐車場に車を入れ、参拝をすまし、宝物館を見学してから、門前町にある食堂の一つ「しもじ大宮店」に入って、昼食をとった。その後、大斎原へいって、熊野本宮大社旧社地を見たが、1989年(明治22)8月の大水害までは社殿が建ち並んでいたところとのことで、現在はパワースポットの一つとして人気があるらしい。
 それからは、湯の峰温泉へと向かう熊野古道を少し歩いてみようと思ったが、入口から階段続きで、急斜面を登らざるを得ず、すぐに引き返してきてしまう。
 今度は趣を変えて、山中の秘湯に浸かることにし、国道168号を北上し、十津川村を目指したが、以前来た時より、道路が改良されているようにも思った。しかし、国道425号へ左折するところを間違え、山道に迷い込んで、どんどん高度が上がって行ってしまい、熊野古道の果無峠まで達してしまった。
 仕方がないので、Uターンして国道168号まで戻り、再び425号へ入りなおした。少し進んでから、県道735号に入ると上湯川沿いの悪路となり、再び慎重にハンドルを切りながら、谷底にある上湯温泉の露天風呂へとたどり着いた。入浴料500円也を払って、入れさせてもらったが、実に開放的な浴槽で、上湯川が間近に見える。泉質には、硫黄を含んでいるようで、硫化水素臭がしたが、ぬるぬる感も充分あって、とても心地が良い。いつまでも浸かっていたい気分だったが、適当に切り上げて、来た道を戻っていった。
 国道168号に復してからは、さらに北上し、十津川村の中心部へと入っていき、村役場の駐車場に車を入れて、道路の向かい側の高台にある村立歴史民俗資料館を訪ねた。ここの展示で、熊野本宮社殿を押し流した1989年(明治22)8月の大水害が、十津川村にも甚大な被害を与え、家や田畑の流出がおびただしく、生計を立てるために北海道へ集団移住して、新十津川村が出来たことを知る。歴史はいろいろなところでつ繋がってくるのだ。
 見学後は、近くの道の駅でお土産を買ってから、今日の宿のある湯泉地温泉へと向かった。ほんの5分ほどで、予約してあった「中村屋」へと到着したが、こじんまりとした宿であるが、女将さんの応対はていねいで、好感を持つ。
 2階の部屋に荷物を置いてから、まず浴場へと行ってみたが、内湯だけではあるものの、とうとうと源泉がかけ流されていた。入浴してみると肌触りがよく、ぬるぬる感が強くて、心地が良い。硫化水素臭もして、山奥の温泉らしいムードがしてとても気に入る。浴後、しばらく部屋で休んでいると、階下の食堂で夕食の準備ができたと呼ばれた。行ってみると牡丹鍋の用意がしてあり、豪快に猪肉が並べられていて、岩魚の塩焼きも付いている。お酒を冷で2合頼み、ぐつぐつと煮え立つ鍋を賞味しながら、上機嫌となった。
 食後は、部屋に戻り、横になってテレビを見ていたら、まどろんできたので、床に就いた。
続く


最新の画像もっと見る

コメントを投稿