合気道ひとりごと

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312≫ 世界標準候補 〈両手取り四方投げ裏〉

2017-01-09 18:12:46 | 日記
 世界標準候補、本年の幕開けは四方投げの裏です。昨年末には同じく表について述べました。表と裏でワンセットだとお考えの向きには途中で年を越すのは納まりが良くないと感じられるかもしれませんが、あえて申し上げます。表と裏は別の技です。四方投げに限らず全部そうです。同じなのは名称と始めのかたち、最後のかたち、それだけです。意味や理合いはまったく違います。その点どうぞご留意ください。

 さて、四方投げ裏です。これもあえて両手取りですが、逆半身です。両手取り四方投げの表が相半身で裏が逆半身なのは、かつて所属していた東京のО道場に本部から指導にこられていた奥村繁信先生だったか鳥海幸一先生だったかの方法ですが、そのころは意味もわからずやっていました。合理的理由に気づいたのは恥ずかしながらずっと後のことです。裏については片手取りでも構わないのですが、両手取りで雑な動きをすると受けに返されやすい(受けも両手が働く)のでより気を配るようになることや、両手を体の中心に保つことが容易だというメリットがあります。

 取りの左半身ということにします。まず左足を受けの右足に並ぶくらいに踏み出します。このとき両手を押し込むようなことはしないで、そのままの位置に残すと踏み込むことによって自分の腹(帯の結び目あたり)に触れるかたちになります。ここから、両手を腹につけたまま両足の母指球を軸に後方に向きを変えると(2軸回転)正眼の構えに近いかたちになります。次に右足を引いて両手を振りかぶり大上段に構えます。このとき自分の右手の甲が額に触れるくらいにします。高く振りかぶるのではありません。この段階で左大上段になっています。そこから右回りに後方を向き両手を切り下げ、表と同じように極めます。

 ここまで、全体を通して腰を落とすことが肝要です。腰高だと表で説明したと同じようにこちらが回るのに合わせて受けも回ってしまったり、受けがちょっと手を引いたくらいで倒されたりします。

 ですから、ここで言う転換は、一般に理解されているようにコンパスで円を描くような片足(1軸)回転ではなく、両足での2軸回転のあとに前足を引くという方法です。これは、正眼から大上段という剣の構え、理合いに通ずるということもありますが、何より体軸が回りながら移動するという1軸回転の不安定で外力に弱い動きを嫌うからです。合気道の稽古で木刀を使って素振りや型をする理由の一つはこんな時に役立つからかもしれません。
 
 合気道は円の動きで、それは寄ってくるものを弾き飛ばすくらい強いと言うひとがいますが、それは独楽のように一秒間に何十回転も何百回転もする場合です。われわれの転換くらいでは、かえってよろけるのが関の山です。それが一軸回転を避ける理由です。

 表、裏を通して四方投げの説明の最後に、ヨコの崩しについての最近の解釈を記しておきます。わざわざ〈最近の〉ということはマイナーチェンジがあったということです。

 四方投げはヨコの崩しを代表する技法ですが、これは受けの手首をつかんで横(水平方向)に引いたり押したりすることとはちょっと違います。少なくとも受けの肘が伸びきるように力を加えるのではありません。受けの腕は肘が曲がってどちらかといえば縦回転に近いかたちになります。力の加えどころは手首ではなく肘のあたりです。そのために手首は軽く持つだけにして、(左半身の場合)自分の左肘を受けの右肘のあたりに密着させます。そこで振りかぶると受けの肘が押し出され(正確には、肘が押し出されるように振りかぶる)体はヨコに崩れるのです。ヨコの崩しなのに腕は縦回転になるというところがミソです。

 腕の縦回転について、裏に関しては以前からその通りだったのですが、表においてもより縦回転に近いほうが自然で無理がないことに気づき、そのため動きが少し変化しました。

 より良い方法に気づいたことを喜ぶべきか、今まで気づかなかったことを悔やむべきか。ぜひ前者であってほしいものです。

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