現在の取引水準より、買いたい場合はより安く、売りたい場合はより高く売買したい時に設定する注文。
例えば現在115.00-05でドル円が取引されている時、より高値たとえば115.50で売りたい場合に希望価格を指定して注文する。取引価格が115.50-55以上の時、この注文は具体的に売れる状態なのでこの価格が示現したときに成立する。
取引を開始する場合や利益を確定する場合の取引に利用されるのが一般的だが、損失確定をしたい場合に利用しても良い。つまり、117.00で買ってしまったドル円が収益機会なしと判断し戻り高値を115.50と予想した時、115.20で損失確定の指値をする形となる。損失確定を英訳すればストップロスとなるが、ストップロス注文は逆指値と定義されている点、やや矛盾がある。
ストップ注文のところでも説明したように、ストップ注文が逆指値注文で、それを損切りの目的で利用した時にストップ・ロスとなり、利益確定の目的で利用した時にストップ・プロフィットとなる。同様に、リミット注文が指値注文という関係であり、それぞれに損切り、利益確定の目的がある。要するに目的を無視すれば、全ての注文は、成行注文(マーケット・オーダー)、指値注文(リミット・オーダー)、逆指値注文(ストップ・オーダー)の3種類に限定される。この3種類の注文はそれぞれ単独の片道取引であることから総称して「シングル注文」という。
これらシングル注文を一定のロジックで組み合わせた注文方法として、OCOやイフダン注文がある。さらにこの二つを組み合わせて、イフダン・OCO注文となる。
こぼれ話
通常、ストップ注文は市場に持ち込まれることは滅多に無いことはストップ注文のページで説明した。つまり、銀行間市場などプロフェッショナル市場では、成行注文と指値注文のみで取引される。
銀行間市場の成行注文では、取引額を指定しない場合があり、やめる指示を出さない限りその値段で売買し続ける。はっきりとした記憶は無いが、個人的に仲介した中で最も大きかった成行注文は1億5千万ドルほど。一方、取引額の提示がされていない指値の方も、「OFF」といってやめる意思が伝えられない限りその注文レートで拾い続けることとなる。こちらの方の個人的最高額は2億ドルくらいだっただろうか。
さすがに1億ドルを超える段階では不安がよぎる。あるとき、銀行ディーラーさんが「ユアーズ(売り)」というコールをしたまま、数十秒黙ってしまったことがあった。通常は5秒もすれば取引額を確認してくるものだが、その時にはこちらから呼べど叫べど何も反応が無かったのだ。
限界だと感じた私は、OFFの前に注文を中断して取引額を限ってしまったが、後の話では「きちんと聞こえていた」そうだ。「じゃ~返事してくださいよ~!」とは申し上げたが、同業他社の中では最低の取引額だったことが判明し、良かれとしたことが仇となったことを、今でも鮮明に覚えている。
一方では、本来のルールどおり無感情に成行注文を執行し、10億ドルの取引がワンレートで成立。非は発注者ということで銀行が全責任をとったという話もある。被害額は明らかではないが、時と場合によって同じことをしても結果は違うものだと、つくづく思う。
【外為ガイドブック さ行ら行-L,S】あと
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