日本語では「逆指値注文」が一般的な訳。指値という文言が入っているが、指値注文のように注文レートで必ず取引が成立することは保障されない。なぜなら逆指値はあくまで市場成行注文を予約するための方法で、注文レートはそのトリガー価格を指示したものに過ぎない。
つまり、例えば117.00の買いストップをドル円で注文したと仮定する。相場が115円、116円と上昇する中で、116.95-99のように取引価格の売り価格(投資家の買い価格)が117.00を示さない限り、トリガーは有効とならない。
116.97-00となった時点でトリガーがひかれ、潤沢に117.00の売りがあれば117.00で買えることになるが、116.95-99から117.00をまたいで116.98-02という価格になったとき、トリガーは引かれるがその時に買える価格は最良で117.02だが、成行注文である以上この価格でも買えなければ117.05かもしれないし117.50かもしれない。
ストップ注文といえば「ストップロス注文」が一般的で、それ以上の損失が拡大するようなら一旦、運用を中止したい水準を注文する。
一方で、既に収益をあげているポジションに対して、思わぬアゲンスト相場がやってきた場合に最悪でもこれだけの収益は確保したいような場合、やはりストップ注文を仕掛けて利益を確定してしまうようにも使用できる。この場合、ストッププロフィット注文などと言うが、結局はストップ注文であることに違いはない。
あるいはチャートでいう「ブレークアウト」狙いのように、それ以上相場が進むようなら本格的なトレンド発生ということで、トレンドに順張りで取引を開始したい水準を注文する時に使う場合もある。このような利用方法を特に「ストップエントリー注文」と呼ぶ。
このように、取引方法は同じ「ストップ注文」でも目的によって名称が変わる場合があるが、わざわざ目的までは開示する必要もなく、結局は単に逆指値を活用しているに過ぎない。ただ、解説上わかりやすくするためにこのような使い分けをすることで、アクションに意味を持たせた方が明白な場合が多い。
むかし話
プラザ合意以降の急激な円高相場で、中小の輸出企業がかなり痛手を受けたことは当時の世論にまで発展した。しかし、痛手をこうむったのは彼らだけではなく、海外投資を行っていた機関投資家なども例えば200円で買ったドルが、あっという間に150円になってしまいかなりな円高差損を被った。
その後、このような経験から一定の水準よりも為替が変動した場合、それ以上の差損を受けないようにドルを売って、投資の為替部分を一時的に決済する行動が定石となった。よく「外債ヘッジ」という言葉を聞くが、まさにこのことを言っている。
記憶にある中で最も激しいストップ注文は当時米国の雇用統計が注目されていた中で、「数字はどうでも良いから発表直後に1円下まで全部売れ!」というのがあった。ある意味でストップ注文だが、新高値を更新する中でまさか、ストッププロフィットではなかったことは明らかだが・・・チャートを破りにきたオーダーだったのかもしれない。もちろん、銀行間市場での出来事だ。
このようなケースはまれで、というか相場のプロたちは基本的にはストップ注文でもロスカットとして使う場合は他人にはオーダーしない。あくまで自ら成行注文で取引した方が確実で納得できるからだ。といっても、いつも相場に対峙できない向きには非常に便利な注文方法ではあるが利用する側からはやや不透明な注文であることは確かだ。信用できない場合はオーダーすべきではなく、このあたりをしっかり理解の上で大いに活用されたい。
ここ数年のドル円相場は殆ど動きがなく、ストップロスを置かなくても基本的には戻って来るので「ストップロスは置かない方が良い。」というあり得ない寓話が平然とささやかれている。もちろん限られた資金で初めから無くなっても良いという前提ならばそれもある。しかし、はじめて行なった取引が一度も日の目を見ることなく3年後には泣く泣く損きり、50万円がパー・・・というのも悲しすぎる。
パチンコでも閉店時間が必ずあり、時間が来ればある意味で強制的にポジションを閉じなければならない。上のケースにハマリ易い傾向を感じられる方は「もしパチンコ屋さんに閉店時間がなかったら・・・」を想像して欲しい。
皆さんは48時間打ち続けて結局一気に50万円をスッているような為替取引をされていないだろうか。