風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

聴き比べ:正統派と異端児

2016年04月15日 | ペンタトニックス
病膏肓に入る

先日、2回連続・2度目のペンタトニックスの記事を見た友人から
「やまいこうこうにいる」とのお言葉を賜りました。 きゃはは!
病気が進行して手の施しようがなくなる、という意味から転じて
趣味や道楽に入れ込み過ぎて、もはや手がつけられない状態に陥ることを言います。

ごもっとも!! 弁解の余地無し!!

正直に申し上げますと
ペンタトニックスを知って「こいつは凄いぞ!」と感じた一方で
「ひょっとしたら、またヤバいことになりそうだ!」という直感が心をかすめたことも確かなのです。
はい、しっかりとヤバいことになってしまっております。

子曰わく、四十にして惑わず。
五十にして更に惑わず! そして今、六十にして究極に惑わず!!
たとえ世間の誹りを一身に浴びようとも、何事も信じた道を突き進むのみ! きゃはは!




さて、本題に入る前に、昨夜公開されたばかりのペンタトニックスの新しいオフィシャル・ヴィデオをご紹介します。
昨年10月にリリースされた初のオリジナル・アルバム「 PENTATONIX 」の中の「 If I Ever Fall in Love 」という曲。
シンガーソングライターのジェイソン・デルーロを客演に迎えています。
新作オフィシャル・ヴィデオの公開は約4ヶ月ぶり。
昨夜は公開1分後の段階で視聴回数は約3千でしたが、40分後には7万超え!
夜が明けて12時間後には約50万!とウナギ登り。さすがぁ!!

[Official Video] If I Ever Fall in Love - Pentatonix ft Jason Derulo







では、本題に入ります。
前回の末尾で、急遽予定を変更して「Black Is The Color Of My True Love's Hair」という曲をご紹介しました。
多重録音で作るコーラスで人気のシンガーのピーター・ホーレンズ
ペンタトニックスのヴォーカルベース担当アヴィ・カプランが組んでカヴァーしたものです。
前回、ジャズ・シンガーのニーナ・シモンの曲だとご紹介しましたが、その後、もっと古い曲であることが分かりました。
フォーク・ミュージック、つまり民謡とか伝統音楽の部類に入るもののようで、ニーナ・シモンもカヴァーしたということのようです。

このミュージックヴィデオは、ピーターとアヴィ双方の You Tube チャンネルからアップされており
当然のこと曲自体は全く同じで、タイトル画像と末尾のスピーチ映像が異なるだけです。
とても気に入った曲ですので再度掲載しますが、こちらはアヴィのチャンネルのもの。

"Black Is The Color Of My True Love's Hair" Avi Kaplan & Peter Hollens




ペンタトニックスのヴォーカルベース担当アヴィ・カプランと言えば、You Tube でよく比較されるのが
「ホーム・フリー Home Free」というア・カペラグループのヴォーカルベース担当「ティム・ファウスト Tim Foust 」です。

百聞は一見に如かず、まずはこちらをお聴きください。
ピーター・ホーレンズが今度はティム・ファウストと組んだ「ミスティ・マウンテンズ Misty Mountains 」という曲です。
ファンタジー映画「ホビット The Hobbit 」の中の曲をカヴァーしたものとのことです。
少々強面のティムのドスの利いた重低音と、アヴィの柔らかい低音の違いが一目瞭然です。

Misty Mountains - ft. Tim Foust








ペンタトニックスは全米ア・カペラコンテスト「 The Sing Off 」に挑戦中から「近未来ア・カペラ」と絶賛され
その卓越したアレンジ能力と、ア・カペラの常識から踏み出した表現力で「ア・カペラ界の異端児」と評されてきました。

もちろん、ア・カペラで歌っているのはペンタトニックスに限ったことではありません。
グループは数多くいますし、ピータ・ホーレンズのように多重録音でコーラスを作る人もいます。

そして、アメリカのア・カペラコンテスト「 The Sing Off 」からデビューしたグループもペンタトニックスだけではありません。
ペンタトニックスは2011年のシーズン3で優勝しましたが
その次のシーズン4で優勝したのが、ティム・ファウストがヴォーカルベースを務める男性5人組の「ホーム・フリー Home Free」でした。
彼らもペンタトニックス同様、コーラスとヒューマンビートボックスを組み合わせています。


ホーム・フリーの「 California Country 」という曲です。
私はまだホーム・フリーを聴き始めて間もないため、メンバーの名前もティム・ファウスト以外は知らず
この曲がカヴァーなのかオリジナルなのかも分からないのです。

Home Free - California Country (Country Evolution)



少し聴いただけでペンタトニックスとは全く方向性の異なることが分かります。
ジャンルとしては、ホーム・フリーはカントリー系。
ペンタトニックスは、より幅の広いオールラウンダーとでも言えるでしょうか。

メンバーそれぞれの歌唱力・ハーモニーの精度では明らかにホーム・フリーが優っていると思います。
破綻が極めて少なく安定感があり、練り上げられたハーモニーは心地よい響きをたたえています。

ペンタトニックスと比べると、ホーム・フリーはア・カペラの正統派のように感じられます。
対してペンタトニックスは歌唱力とハーモニーは荒削りですが
類希な着想力・アレンジ能力がもたらす意外性が際立っていると感じます。



と言うことで、今回は正統派ア・カペラとも言えそうなホーム・フリーと
異端児という評価を受けるペンタトニックスを、少しだけ聴き比べていただきます。


● ホーム・フリー
メーガン・トレイナーというシンガー・ソングライターの曲「 All About That Bass 」のカヴァー。

Meghan Trainor - All About That Bass (Home Free a cappella cover)




● ペンタトニックス
11世紀から今日に至るまでの名曲の一部をメドレー仕立てにした「Evolution of Music 」

Evolution of Music - Pentatonix






次は、両者が同じ曲を取り上げたものです。

クリスマスソングの名曲「エンジェルス・ウィ・ハヴ・ハード・オン・ハイ Angels We Have Heard On High」のカヴァーです。
日本では「荒野(あらの)の果てに」という題名でも知られており
元々は16世紀にフランスで原型が出来、19世紀に英語版の歌詞が作られたようです。


● ホーム・フリー

Home Free - Angels We Have Heard On High




● ペンタトニックス

[Official Video] Angels We Have Heard On High - Pentatonix







最後はホーム・フリーでシメようと思います。
ジョニー・キャッシュ(故人)というシンガー・ソングライターの曲「 Ring of Fire 」をカヴァーしたもの。
ペンタトニックスのアヴィ・カプランが参加しており、ティム・ファウストと共演しています。

Home Free - Ring of Fire (featuring Avi Kaplan of Pentatonix) [Johnny Cash Cover]







これまで何人の人が地上に生まれて来たのか。
今後何人の人が生まれて来ようとしているのか。
不思議なことに、と言うべきか、当然のことに、と言うべきか
同じ人は存在しません。
だからこそ、次々と面白いものが生み出されてくるのですね。

人はそれぞれ。
グループも様々。
ペンタトニックスの良さと、ホーム・フリーの良さも、またそれぞれ。

どちらが好きかも、また、聴く人それぞれ。


-------------- Ichiro Futatsugi.■


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2 コメント

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Unknown (shinkai)
2016-04-21 15:02:09
こんにちは!

コメントを書くのが遅れましたぁ。 
というのもここ数日この記事でご紹介のリンク先を次々聞き、それからホーム・フリーのヴィデオを探し、あれこれあれこれ見聞し、ついでに上で書かれているシングル・オフのシーズン4のヴィデオも見つけまして見ておりましたのです。

はぁ、結論を申しますと、私メにはペンタトニックスよりも、ホーム・フリーがお気に入りになりましたぁ!!

大体どんな曲も聞きますし好きですが、出来たら避けたいのはハワイアン・ソングと演歌のみでして、へへへ、
元々カントリー・ソングが好きな事もあるのですが、ホーム・フリーはヴィデオでもコミック風味付けで、歌詞が分らないのが本当に残念なほど楽しめ、好きになりましたぁ。
とりわけバリトンの人、なんと言う名前かな、他のグループとの低音比べ、みたいなヴィデオもありましたが、あの声が痺れます!!

ここでも最後にご紹介のジョニー・キャッシュの曲も懐かしかったですし、大体どれも、ペンタトニックス共に、改めてカヴァー曲と付け加える必要が無いほど、かっての曲を新しく現代のテンポと味付けで聞かせる、という方向なんだなと思いました。

昔マンハッタン・トランスファーというグループが流行し、その新鮮さと切れ味の良い歌い方が好きだったのですが、それを今回ふっと思い出し、ヴィデオを探しましたら、現在も活躍中のようです。
でも今聞くと、やはりテンポが遅く感じますし、かってのヴィデオも今改めて見ると、残り香みたいな趣で・・。

そんなこんなもあって、やはり歌も、時代につれ変わるものなんだ、と言うのを強く感じましたし、
とりわけ時の流れによって大いに流行した物ほど、古く感じるのかもしれないな、と思った事でした。
Unknown (二木一郎)
2016-04-21 16:10:40
shinkaiさん、こんにちは!

ホーム・フリーが気に入りましたか?
私もそんな気がしていましたので、ご紹介して良かったです。

ホーム・フリーは15年前に結成されて、メンバー変更を繰り返して今日の形になったそうです。
兄弟2人が最初からのメンバーらしいのですが、誰と誰なのかは分かりません。
バリトンの人はティム・ファウストと言います。
お腹に響く、聴き応えのある重低音の素晴らしい声ですね。
ポピュラーミュージック界には、他にティムのような人はいないのではないでしょうか。
私はピーター・ホーレンズと組んだ「ミスティ・マウンテンズ」がお気に入りです。

ホーム・フリーの YouTube チャンネルはご覧になりましたか?
https://www.youtube.com/channel/UCTFuNYrqAcsmSjgqYMvxOqw


古い曲にも素晴らしいものがたくさんあり、根強いファンもいるのですが
若いミュージシャンが取り上げることで別の魅力が引き出されて
また新たなファンが出来ていくのが良いですね。

そうですね、流行の最先端を目指したものほど、流行が変わると廃れるのが早いかもしれませんね。
流行から一歩引いて我が道を貫くものほど長く愛されやすいのかもしれません。

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