サルバドル / 遙かなる日々
cast >> James Woods, James Belushi, John Savage, Elpidia Carrillo, Tony Plana, Michael Murphy, Cynthia Gibb, Jorge Luke, Juan Fernandez, Colby Chester, Valerie Wildman ...
writer >>Oliver Stone, Richard Boyle
producer / director >>Oliver Stone（123min）
《内戦のエルサドバドルでジャーナリストが見た "真実" とは ーーー 》
実在のフォト・ジャーナリスト、リチャード・ボイルが『エル・サルバドル内戦』を取材した実体験を綴った小説を、オリヴァー・ストーン（ filmography ）と共に脚色（← アカデミー賞【脚本賞】にノミネート）、彼の製作・監督により映画化。政府への告発と、合衆国に対する痛烈な疑問符を投げかけた社会派ドラマ ーーー。
かつてベトナム（ "Born On The Fourth Of July" ← Ｏ・ストーン監督作 "Apocalypse Now" ）やカンボジア（ "The Killing Fields" ）など、世界の前線で活躍していたフォト・ジャーナリストのリチャード・ボイル（ジェームズ・ウッズ filmography ← アカデミー賞【主演男優賞】にノミネート）だが、今や家賃も払えずサンフランシスコのアパートを追い出され、愛想を尽かした妻は子供を連れて出て行く始末。しかも、スピード違反と免許証不所持から刑務所に入れられてしまう。友人のドクター・ロック（ジェームズ・ベルーシ ← 故ジョン・ベルーシの弟 "Gang Related" "Trading Places" ）に保釈金を払ってもらい出たボイルは、金を稼ぐため、ドクと内戦が続くエル・サルバドルに向かった。ところが現地で彼らが目にしたのは、地獄さながらの凄惨な光景だった。国を統治する『死の分隊』による惨殺、レイプ、拉致に監禁・・・常に "死" と隣り合わせの悲惨な日々を送る人々。彼らは『セジュラ（出生証明書兼投票用紙）』を持たない反逆者や不賛同者を、容赦なく虐殺。ボイルたちも幾度となく命の危険にさらされるが、やがて抑圧的で残虐な『死の分隊』を支援しているのは "合衆国" であることを知る。首都のサン・サルバドルで、フォト・ジャーナリストのジョン・キャサディ（ジョン・サヴェージ "Do The Right Thing" "The Godfather: Part III" "Dark Angel" シリーズ）と再会したボイルは、次第にジャーナリストとして、また人間としての "良心" に目覚め、ゲリラに対する "怒り" と "悲しみ" をシャッターにぶつけるのだが・・・・・。
ボイルのかつての恋人マリアをエルピディア・カリーロ（ "Seven Pounds" "PREDATOR" ）、アメリカ大使のケリーをマイケル・マーフィー（ "Smokin' Aces" "Batman Returns" ）、酷すぎる最期を迎えるキャシーをシンディ・ギブ（ "FAME" ）、フィゲロア大佐をジョルグ・ルーク、マックス少佐をトニー・プラナ（ "An Officer And A Gentleman" "The Rookie" ）、陸軍大尉をファン・フェルナンデス（ "A Man Apart" ）。
特典の『ドキュメンタリー：死の谷へ』（← 秀逸）を観ると、改めてＯ・ストーンが作品に "リアリティ" を求める監督の一人だと認識できます。撮影はあらゆる面で困難を極め、監督・出演者たちは和気藹々することなく、常に口論が絶えず、ピリピリと追い詰められた精神状態で撮影が進められたこともわかります（← ボイル本人も出演）。左右両派のテロが吹き荒れる中、国民的な人気を保っていたロメロ神父の暗殺の "くだり" はもちろん、「死の谷」の描写は匂い立つほどリアルで悲惨で見事。そしてＪ・ウッズはじめ、役者陣の渋い演技が秀逸。
人口500万に満たない小国で、1979～1987年の８年間に「死の部隊」を含む治安部隊に殺害された国民は約62,000人、行方不明者は約5,000人、そして難民は100万人以上に及んだという事実。"暴力が暴力を生み"、虐殺行為を繰り返す「死の部隊」ーーー 人はなぜこんな酷い事を繰り返すのでしょうね・・・・・・・。
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