try to remember

W221をイジるぞ!

エアサス ダストブーツ再修理

2019年10月30日 | 日記
以前足廻りの整備の際にエアサス のダストブーツ切れを発見して、ゴムシートを加工取付しダスト混入を防いだ。薄手のゴムシートの為、破れが目立つ。エアバッグは問題無いののでパンクはしていない。
ジャバラカバー単体で購入出来るサイトが有り、待つ事1か月以上、やっと商品到着。
送料無料で商品代5.000円に若干のお釣りでした。
製品は問題無く、ウレタン樹脂で出来てました。



これをエアサス を分解せずに如何に簡単に交換するか思案中です。
今度の連休中に交換しようと思います。
作業の模様は、その後にアップします。
コメント (3)
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ドアのデットニングとetc

2019年10月29日 | 日記
暫く車弄りを大人しくしていた。
これと言ってやりたい事が見つからなかった。
大陸物のエンジンスターターは取り外し返品した。
動作は問題無く出来たのだがDASでのショートテストの結果!マークとfコード連発、
終いにはドアミラー格納時の変な動きをする。
カナダ開発された同様のユニットは高いし、個人輸入会社に委託しなければ購入出来なかったので諦めた。
考えて見れば、遠隔でのエンジンスターの必要性は余り無いと思い直した。

今回、フロント/リアのドアパネルをバラシ制振シートと遮音シートの貼り込みとAMGのドアロックピン/後期ウィンドウスイッチ等を交換をする。
遮音防音材料シートの具合が良ければトランク下のスペアタイヤスペースにも施工して見ようと思う。
なぜなら、カーペットを剥がすとぺらぺらの鉄板一枚だからだ。
純正のカーペット張りのボードと追加カーペットのお陰で、もろにロードノイズは入ってこないが、やって損は無い作業内容と思う。

制振シートは色々有り、エーモン製が比較的に安価でと思いつつ、最終的にはNITTO ニットー レジェトレックスD300-N ポイント制振材を使う事にする。


先ずはドアパネルをバラス。


  パネル固定の隠れビス2箇所を外す。
 パネル外しの際にドアモジュール配線コネクターとドアハンドルのワイヤーを外す為に中に浮かしておくのがきついので置き台を用意する。






アウターアルミ板とインナーパネルの上から制振シートを貼り込む。









その後、断熱マット 車用 熱反射 吸音 防音 遮音防音材料シートを貼る。



ドアインナーパネルにも制振シートを貼り込む。
一度外したインナーパネルに付いていたフェルト材はホットガンで点接着する。



フロントドアはサクサクとパネル外しをして施工、リアはスピーカーカバーの奥のボルトを外すのだがカバーが中々外れない!
試行錯誤してやっと壊さずにとれた。 
外し方はパネルを水直下側に引き降ろすと外せる。外したパネル裏側を見て頂けれは分かると思う。

リアドアにもツイッタースピーカーが有り、フロントで施工したフィルムコンデンサー化をすべきと思い、古いコンデンサーをカットし、フィルムコンデンサーを半田付けし作業を進行する。

ドアクリップを何個か破損、何時もお世話になっている4-Leavesさんにお願いする。
エーモン1944でも代用出来る様と後から分かった。但しゴムシートは附属されていない。

そんなこんなで初めてのデッドニングを進める。
その後、ついでにドアピンの交換をする。
その際にねじ込み位置を同じようにする為に事前計測をしておく事。


フロント用には純正品のピンを使用しリア側はチョット不安な品を取付する。

ロゴの字体が違うのと素性が定かではない。
ロゴマークの向きをどの様にすれば良いか調べる、殆ど室内から見て読める形が多いが、w222では逆に取り付けされている様。
最終的にw222と同じ様にした。
まぁ、自己満の世界! 使い勝手に影響する物では無い。







ドアスイッチ交換はインナーパネルに付いているスイッチカバーをビス3本取外し更にスイッチ固定ビス3本にて交換する。
ところが助手側だけはカバーとスイッチの取付け方が違い、前期はワンタッチ式での脱着に対し後期はビス止め、全く形状が違う。
暫く考える、後期のスイッチカバーをヤフオクで購入するか?
いやいや、作業が停止し部品到着まで我慢が出来ない。
それではとスイッチカバーとスイッチ本体をルーターでカッティングし、はめ込み出来る様に加工してしまった。
最終固定はスイッチ不良の際は容易に外せる様にプラリベアで要所止めをした。
まぁそう簡単に壊れる物ではないと思う。







 全ての作業を終え、オーディオの音を視聴すると音の深みが増した事と低音量にもかかわらず前に押し出す様な音質に変った。
スピーカーシステムをグレードアップする前に行う作業としてはベストだと感じた。
それとドアを閉めた際の重みの有る音に変った事も副産物として嬉しい。
以前所有していたw126の様な金庫が閉まる様な重厚さは無いがここまで変れば満足。
今回も備忘録として残しておく。
終わり .........

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発明内容をインストールする②

2019年10月04日 | 日記
昨日備忘録で残した内容ですが図面を添付していませんでした。

参考にされる方の為に記載しておきます。

奥深いので色々試行錯誤しても良いかと思います。

ネットでやられている方々の施工内容とはちょっと違うと思いますが、特許申請での内

容ですので間違いは無いと思います。

やり過ぎは良く有りません、程々が肝要かと。

施工後の愛車が調子が良くなり、びっくりする事でしょう。

それでは頑張って下さい!







































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発明内容をインストールする

2019年10月03日 | 日記
巷ではオカルトと言われ、動画でも賛否両論されているアルミチューニング。
今回写真は全く無い。
w221.176に施工して見ようと思い、導電性アルミ粘着シートを探す。
シート表面の導電率もバラバラで粘着シート部分に関しては全く導電の無い物もあるらしい。
今回手に入れたのは3M製品ではなく説明文を信じて半ばギャンブル覚悟でアマゾンで購入した導電シート。参考までに下記のURLを参考に
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07V5F38QJ/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o02_s00?ie=UTF8&psc=1

早速導電確認すると両面共に有る、それも0.02Ωかなり優秀だ。
先ずはw176から始める。
室内はステアリングカバー下、次はエンジンルームにかかりエアクリ、インテークマニホールド、バッテリー、フロントサスヘッド、ワイパーアームカバー、冷却水サブタンク、殆ど外観から見えない部分貼ってみる。
放電をより促す様にシートカット部分は極力山形にする。
全て施工し終わりエンジンスタートすると、ドライスタートにも拘らずエンジン音が静か、それにコールドスタート時のアイドリングアップの回転数が通常1000回転から1200回転になっている。
運転して更に!
車の推進制がアップしている、ステアリングカバー下に施工した結果、ハンドリングもすこぶる具合が良い。ハンドリングがしっとりと適度な重さになった。ボディー関係には未施工だが今後慎重にやってみようと思う。
ネット上で色々試行錯誤しているようだが下記の文献を発見した。
これに基づき施工予定だ。
w221も同様な内容で施工した結果、同じ体験が出来た。
純正オーディオの音質がよくなり、思わずサラウンド設定がオンに成っているか確認してみたぐらいだった、結果はオフだった。
これはオカルトと言うには大変失礼な事で、天下のトヨタが世に知らしめた事に納得する。

下記文献を参考にした。



発明の名称 : 車両およびその製造方法
技術分野
[0001]
 本発明は、車両に関する。
背景技術
[0002]
 特開2006-88880号公報には、表面が凹凸に形成された気流剥離低減シートを外装に貼り付けた車両が記載されている。
[0003]
 特開2003-226134号公報および特開2008-273224号公報には、空調装置から車室内に向けて空気が流動するダクト内やドアトリム内に、高電圧装置に接続された放電針を設けた車両が記載されている。そして、放電針の先端部から発生したコロナ放電によりイオン化した空気を車室内に供給するように構成されている。
[0004]
 特開2006-88880号公報に記載されたように気流剥離低減シートを外装に張り付けると、車体の外表面に凹凸が形成されることになるため、車両の外観が損なわれる。また、特開2006-88880号公報に記載された気流剥離低減シートは、シリコンゴムにより形成されているので、走行に伴ってその気流剥離低減シートに静電気が帯電しやすい。そのため、空気イオンと気流剥離低減シートに帯電した静電気とにより生じる斥力によって、車体の外表面から空気が剥離する可能性がある。
[0005]
 また、特開2003-226134号公報や特開2008-273224号公報には、車室内に空気イオンを供給する車両が記載されている。しかしながら、これらの公報に記載された発明では、車体に帯電した静電気と、車体の表面を流動する空気の空力特性との関係には着目されていない。そのため、通常、空気は正の電荷を帯びているので、車体に正の静電気が帯電した場合には、空気流と車体との間に静電気に起因する斥力(反発力)が作用し、その斥力によって、車体の外表面近傍から空気流が剥離する可能性がある。
[0006]
 上記のように車体の外表面から空気流が剥離すると、意図した空力特性が得られず、走行性能あるいは操縦安定性などが低下する可能性がある。
発明の概要
[0007]
 本発明は、上記事実を考慮して、車体が正の静電気を帯電することに起因して、正の電荷を帯びた空気流が、車体の外表面から剥離することを抑制することができる車両およびその製造方法を提供することを目的とする。
[0008]
 本発明は、路面に対して絶縁状態に保持されている車体が、走行することを含む外部要因による静電気で正に帯電する車両において、走行時に前記車体の周囲に流れる正に帯電した空気流が、前記帯電した車体の表面に沿った流れから前記表面から離れた流れに変化し始める剥離形状の箇所のうちの少なくとも何れか一つの特定部位の正の電位を、該正の電位に応じて負の空気イオンを生じさせる自己放電により中和除電して低下させる自己放電式除電器を備えていることを特徴とするものである。
[0009]
 前記特定部位は、前記車体の上面と下面との少なくともいずれか一方の面における該車体の幅方向での中央部分の部位を含む。
[0010]
 または、前記特定部位は、前記車体の幅方向での中央部分について左右対称となる部位のうちのいずれか一対の部位を含む。
[0011]
 また、前記特定部位は、前記空気流の流れる方向に沿って一定間隔を空けた複数の部位を含む。
[0012]
 さらに、前記特定部位は、樹脂材料で形成された部品の一部を含む。
[0013]
 前記自己放電式除電器は、前記特定部位および該特定部位の近傍に帯電した前記正の電荷の静電気のエネルギーに応じて前記自己放電する帯電抑制材によって構成され、前記帯電抑制材は、前記車体を構成している部品のうちの、前記空気流が前記車体の表面に沿った流れから前記表面から離れた流れに変化し始める前記特定部位に設けていてもよい。
[0014]
 前記帯電抑制材は、前記自己放電を生じさせる鋭利もしくは尖った角部を有する導電性金属の被膜によって構成してもよい。
[0015]
 また、前記帯電抑制材は、前記車両の外表面とは反対側を流れる空気流に曝された裏面に設けられてもよい。
[0016]
 さらに、前記特定部位は、バッテリーのうちの負の電位の接地部位に接続された部位を含み、前記自己放電式除電器は、前記接地部位の負の電位を低下させるように構成されていてもよい。
[0017]
 さらに、本発明は、路面に対して絶縁状態に保持されている車体が、走行することを含む外部要因による静電気で正に帯電する車両の製造方法において、走行時に前記車体の周囲を流れる正に帯電した空気流が、前記車体の表面から剥離して前記車体の表面から離れた流れに変化することを抑制することにより、前記車両の操縦安定性が向上する部位を予め求め、前記部位の正の電位を、該部位の正の電位に応じて負の空気イオンを生じさせる自己放電により中和除電して低下させる自己放電式除電器を前記車体に取り付けることを特徴とする製造方法である。
[0018]
 また、前記車体の上面と下面との少なくともいずれか一方の面における該車体の幅方向における中央部分の部位のうち、走行時に前記車体の周囲を流れる正に帯電した空気流が、前記車体の表面近傍から剥離することを抑制することにより、前記車両の操縦安定性が向上する部位を予め求めてもよい。
[0019]
 あるいは、前記車体の幅方向での中央部分について左右対称となる部位のうち、走行時に前記車体の周囲を流れる正に帯電した空気流が、前記車体の表面から剥離して前記車体の表面から離れた流れに変化することを抑制することにより、前記車両の操縦安定性が向上するいずれか一対の部位を予め求めてもよい。
[0020]
 さらに、走行時に前記車体の周囲を流れる空気流の流れる方向に沿って、一定間隔を空けて前記自己放電式除電器を前記車体に複数取り付けてもよい。
[0021]
 本発明によれば、車両の走行時に車体の周囲を流れる正に帯電した空気流が、車体の表面に沿う流れから車体の表面から離れた流れに変化し始める剥離形状の箇所の正の電位を、その電位に応じて負の空気イオンを生じさせる自己放電により中和除電して低下させる自己放電式除電器を備えている。したがって、車体の表面に帯電した静電気を減じて正の電位を低下させることができるので、正に帯電している空気流との間に生じる斥力(反発力)を低下させることができる。そのため、車体の表面近傍から正に帯電した空気流が剥離することを抑制することができる。その結果、車体の表面に作用する空圧が想定を超えて変化したり、それに伴って車体の空力特性が悪化したりすることを抑制することができるので、操縦安定性などの走行性能が低下することを抑制することができる。
[0022]
 また、車体の幅方向での中央部分の部位の正の電位を低下させることにより、車体のピッチング方向での空力特性が変化もしくは低下することを抑制することができる。そのため、車輪と路面との接地荷重が変化することを抑制することができるので、加速性能や操縦安定性が低下することを抑制することができる。
[0023]
 さらに、車体の幅方向の中央部分について左右対称となる部位のうちのいずれか一対の部位の正の電位を低下させることにより、車体のローリング方向あるいはヨー方向での空力特性が変化もしくは低下することを抑制することができる。そのため、操縦安定性などの走行性能が低下することを抑制することができる。
[0024]
 車両の走行時に車体の周囲を流れる空気流の流れ方向に沿って、一定間隔を空けた複数の部位の正の電位を低下させることにより、操縦安定性などの走行性能が低下することをより一層抑制することができる。
[0025]
 また、特定部位およびその特定部位の近傍に帯電した正の電荷の静電気のエネルギーに応じて自己放電する帯電抑制材を、正の電荷を帯びた空気流が車体の表面に沿った流れから表面から離れた流れに変化し始める特定部位に設けることにより、車体の特定部位周りの静電気を電気的に中和除電させることができる。そのため、正に帯電した車体の表面と、正の電荷を帯びている空気流との間に反発力が発生しにくくなり、車体の特定部位周りの空気流が剥離しにくくなって、空気流の乱れを低減することができる。これにより、車両の空気抵抗を低減させ、かつ空気流の乱れに起因する車両の振動を抑制して車両の操縦安定性を向上させることができる。
[0026]
 さらに、自己放電を生じさせる鋭利もしくは尖った角部を有する導電性金属の被膜によって帯電抑制材を構成することにより、放電性能を低下させることなく、車両の質量増加を抑制することができる。
[0027]
 そして、帯電抑制材を車両の外表面とは反対側を流れる空気流に曝された裏面に設けることにより、見栄えを損なうことがない。
図面の簡単な説明
[0028]
[図1] 車両の前半部を示す斜視図である。
[図2] 各種の角部を形成した導電性被膜を示す斜視図である。
[図3] バンパカバーの表面の気流を示すIII-III矢視拡大断面図である。
[図4] 車体モデルの表面に垂直な方向での流速分布を測定した結果を示すグラフである。
[図5] 車体の外表面に自己放電器を貼り付けた状態を示す図であり、図5(a)はその断面図であり、図5(b)はその平面図である。
[図6] 車体の外表面とは反対側の裏面に自己放電器を貼り付けた状態を示す図であり、図6(a)はその断面図であり、図6(b)はその平面図である。
[図7] 自己放電器を配置する位置を説明するための車両の斜視図であり、図7(a)は車両を斜め前方から見た斜視図であり、図7(b)は車両を斜め後方から見た斜視図である。
[図8] 車体周りの空気流が直接当たらないようにフロントガラスの下部の外表面およびエンジンフードの後端部における外表面とは反対側の面に自己放電器を貼り付ける位置を説明するための図であり、図8(a)は車両の斜め前方から見た斜視図であり、図8(b)は自己放電器を貼り付ける位置を示す断面図である。
[図9] フロントガラスの下部の外表面に貼り付けた自己放電器に車体周りの空気流が直接当たらないように整流カバーを設けた例を説明するための断面図である。
[図10] 天井に自己放電器を貼り付ける位置を説明するための断面図であり、図10(a)は室内ルーフライナおよび空気層を介して天井の電位を低下させるように自己放電器を室内ルーフライナに貼り付けた例を示す断面図であり、図10(b)は天井に接触した室内ルーフライナの電位を低下させることにより天井の電位を低下させるように自己放電器を室内ルーフライナに貼り付けた例を示す断面図である。
[図11] セダンタイプの車両における、車体周りの空気流が直接当たらないようにリアガラスの下部の外表面に自己放電器を貼り付ける位置を説明するための図であり、図11(a)は車両の斜め後方から見た斜視図であり、図11(b)は自己放電器を貼り付ける位置を示す断面図である。
[図12] ハッチバックタイプの車両における、車体周りの空気流が直接当たらないようにリアバックドアガラスの上部の外表面と、車体周りの空気流が剥離するリアスポイラーの幅方向における中央部の後端とに自己放電器を貼り付ける位置を説明するための図であり、図12(a)は車両の斜め後方から見た斜視図であり、図12(b)は自己放電器を貼り付ける位置を示す断面図である。
[図13] ワンボックスタイプの車両おける、車体周りの空気流が直接当たらないようにリアバックドアガラスの上部の外表面と、車体周りの空気流が剥離するリアスポイラーの幅方向における中央部の後端とに自己放電器を貼り付ける位置を示す図であり、図13(a)は車両の斜め後方から見た斜視図であり、図13(b)は自己放電器を貼り付ける位置を示す断面図である。
[図14] 自己放電器をリア燃料タンクに貼り付ける位置を示す図である。
[図15] アンダーカバーに自己放電器を貼り付ける位置を示す図であり、図15(a)は車両の下方側から見たアンダーカバーの平面図であり、図15(b)は自己放電器を貼り付ける位置を示す断面図である。
[図16] リアデュフューザに自己放電器を貼り付ける位置を示す図であり、図16(a)は車両の下方側から見たリアデュフューザの斜視図であり、図16(b)は自己放電器を貼り付ける位置を示す断面図である。
[図17] 車体周りの空気流が直接当たらないようにサイド窓ガラスの下部に自己放電器を貼り付ける位置を示す断面図である。
[図18] 車体周りの空気流が直接当たらないようにフロントライナの側端と、車体周りの空気流が剥離するフロントバンパーの後端とに自己放電器を貼り付けた例を示す断面図である。
[図19] エンジンルーム内に配置されたバッテリーのうちの車体に接地したマイナス端子およびそのバッテリーのケースに自己放電器を貼り付ける位置を示す斜視図である。
発明を実施するための形態
[0029]
 以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。図1に示す車両10は、該車両10の外形を構成する外装部品に、自己放電式の除電器となる導電性被膜12が、空気流が剥離する特定箇所の外表面とは反対側の裏面に貼り付けられている。この導電性被膜12が、この発明を実施した場合における帯電抑制材に相当する。また、「空気流が剥離する」とは、車体の表面に沿った空気の流れが、車体の表面から離れた空気の流れに変化することであり、車体を前方から見た場合に、車体の外面が車体の内側に屈曲する箇所で空気流の剥離が主に生じる。より具体的には、車体の左右両側では、車幅が狭くなるように屈曲する箇所であり、またボンネットやルーフでは高さが低くなるように屈曲する箇所であり、さらにアンダーカバーなどの車体下面に露出している部分では、車高が車両後方に向けて次第に低くなっている箇所から水平に変化するように屈曲する箇所、あるいは車両後方に向けて水平であった箇所から車高が次第に高くなるように屈曲する箇所などである。さらに、車体の外部に部分的に突出している箇所や段差のある箇所などが、空気流の剥離が生じる特定部位に相当する。
[0030]
 図1に示す例における車両10の外装部品などは、車両周りの空気流やタイヤの外周面が繰り返し路面に接触しかつ離隔するなどの内的要因や、外部から電荷を受ける外的要因などにより正の電荷を帯び易い部位であり、例えば、車両前側のバンパカバー14、ドアミラー16、ヘッドランプ18、ドアノブ(図示せず)、テールランプ(図示せず)、アンテナフィン(図示せず)、樹脂製サイドドア、樹脂製バックドア等である。これらの外装部品は、静電気によって正に帯電し易く、その結果正の電位が高くなる樹脂部品である。これらの樹脂外装部品の特定部位に、自己放電式の除電器となる鋭い角部を有する導電性被膜12を設けることが効果的である。
[0031]
 図1,図2(A)に示されるように、本実施形態では、一例として、導電性被膜12が外装部品の一例たるバンパカバー14の車両内側に設けられている。具体的には、導電性被膜12は、バンパカバー14のうちの空気流の剥離が発生しやすい形状をした左右対称位置の車幅方向両端付近の特定部位の裏面に設けられている。このバンパカバー14の材料は、例えばアクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)である。
[0032]
 この導電性被膜12は、例えば長方形に形成され、導電性被膜12の電位に応じていわゆるコロナ放電するように、外縁部や外周壁面に鋭い角部12Aを有している。具体的には、鋭利もしくは尖っていて電荷が集中して自己放電を生じ易くなるように角部12Aが形成されており、図2(A)に示す例では、長方形状の導電性被膜12における四つの辺の鋭利なエッジや四つのコーナの尖った頂点部分あるいはその側壁面である。導電性被膜12の素材としては、金、銀、銅、アルミニウム等(すなわち導電性金属)を用いることができる。アルミニウムを用いる場合には、導電性被膜12に酸化防止加工を施すことが好ましい。これは、酸化による導電性の低下を抑制するためである。導電性被膜12は、導電性金属箔と導電性接着剤との層からなる接着テープであって、例えば、導電性アルミニウムホイールテープなどを、コロナ放電が生じるように外縁部や外周壁面に鋭利もしくは尖った角部12Aが形成されるように切断したものであってもよい。
(作用)
[0033]
 本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。近年の車両10には、軽量化と加工性の観点から、外装部品には樹脂部品が多く用いられている。樹脂は金属に比べ電気抵抗が大きいため、空気流による樹脂部品の表面の帯電量が大きくなる。具体的には、未走行の車両10と走行後の車両10とでは、外装部品の表面には、約100~4000Vの電位の変化が生じる場合がある。図3は、そのように外装部品の表面が正の電荷を帯びている場合における空気流の変化を説明するための外装部品の断面図であり、図3における矢印Aは、外装部品が帯電していない場合における空気流を示し、矢印Bは、外装部品が帯電している場合における空気流を示している。図3に示されるように、車両走行中の空気の流れ20は通常正の電荷22を帯び、バンパカバー14の表面も正の電荷を帯びるため(図示せず)、樹脂部品の表面と空気との間に斥力が発生し易い。
[0034]
 本実施形態に係る車両10では、導電性被膜12がバンパカバー14の車両内側に設けられているので、バンパカバー14の表面の帯電が抑制される。その帯電の抑制は、以下のようにして行われるものと考えられる。車両10が走行すると、車体の周りを正に帯電した空気が流れ、またタイヤの外周面が、繰り返し路面に対して接触しかつ離隔する。このような内的要因あるいは他の外的要因によって車体が次第に正の静電気に帯電する。車体の前述した特定部位に取り付けられた導電性被膜12は車体と同様に正の静電気に帯電する。そして、その角部12Aには、鋭利もしくは尖っていることにより、電荷が集中する。それに伴って導電性被膜12の周囲に負の空気イオン(マイナスイオン)を引き寄せ、ついにはコロナ放電が生じる。すなわち、バッテリなどの電気機器によって電荷を与えることなく、導電性被膜12の自ら帯電した電荷によって自己放電を生じる。これと同時に導電性被膜12を設けてある箇所の電荷が中和除電されてその電位が低下し、空気流との間の斥力が低減する。このようなコロナ放電を伴う空気イオンの引き寄せや斥力の低下などによって、前述した特定部位(剥離箇所)やその周囲(特定部位を中心として直径約150~200mmの範囲)の特定部位における車体表面からの空気流の剥離が抑制される。空気流の車体表面からの剥離が抑制されることにより、前述した車体表面における特定部位やその周囲での空気の乱流や空圧の変動などが抑制される。具体的には、気流は、矢印B方向に乱れることなく、バンパカバー14の表面に沿って矢印A方向に円滑に流れる。その結果、想定したとおり、もしくは想定に近い空力特性が得られ、極低速走行時から高速走行時までにおける動力性能や操縦安定性もしくは制動性能あるいは乗り心地などの走行特性が向上する。また、車体の帯電は、主に、車両10が走行することにより生じるから、高速走行するほど帯電量が多くなって自己放電が生じやすくなる。そのため、中高速走行時の走行特性が、より向上する。
[0035]
 また、車両10では、導電性被膜12がバンパカバー14の車両内側(裏面)に設けられているので、見栄えを損なうことがない。更に、帯電抑制材として導電性被膜12を用いることにより、質量増加を抑制することができる。また、車両10の外形形状の設計変更、制御デバイスによる外形形状の一時的変更、噴出や吸込みによる流れ制御部等が必要ないため、低コストである。
[他の実施形態]
[0036]
 なお、より多くのコロナ放電が生じるように、鋭い角部12Aの形状は四角形に限られず、図2(B)に示されるように、より多くの角部12Aを有する格子状であってもよい。また、図2(C)に示されるように、半円形であってもよい。更に、図2(D)に示されるように、外周部の円弧のエッジを鋭利な角部12Aとした円形であってもよい。なお、導電性被膜12は厚さがあるから、その周囲の切断面をギザギザにしてそのギザギザの切断面によって尖った角部12Aを形成してもよい。さらに、導電性被膜12の表面にローレット加工などによって鋭利もしくは尖った凹凸を形成し、その凸部を上記の角部12Aとしてもよい。
[0037]
 帯電抑制材は、外装部品の車両内側だけでなく、車両外側に設けられてもよい。また、帯電抑制材は導電性被膜12に限られず、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子、導電性プラスチック、導電性塗料、めっき、金属部材であってもよい。金属部材としては、例えばアルミニウム製のガーニッシュ(図示せず)が挙げられる。
[0038]
 以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
[0039]
 ここで、車体に帯電した静電気を電気的に中和除電することによる効果を、図4を参照して説明する。図4は、車体モデルの表面に垂直な方向での流速分布を測定した結果を示すグラフであり、縦軸は、モデル表面からの距離を示し、横軸は、モデルに吹き付けた空気の流速U∞に対する、モデルからの距離毎に測定した流速Uの割合(U/U∞)である。また、モデルを帯電させていない状態で測定した結果を、菱形でプロットし、モデルを正の電荷で帯電させた状態で測定した結果を、正方形でプロットしている。
[0040]
 図4に示すように、モデルを正(+)の電荷で帯電させた場合における境界層厚さ(U/U∞がほぼ「1」になる際のモデル表面からの距離)が、モデルを正(+)の電荷で帯電させていない場合における境界層厚さよりも大きくなっている。これは、モデルを正(+)の電荷で帯電させた場合には、モデルを正(+)の電荷で帯電させていない場合に比べて剥離が大きくなることを意味する。上述したように空気流は、通常、正の電荷を帯びているので、モデルに帯電した正の電荷と空気流の正の電荷とによって斥力が生じ、その結果、モデルの表面からの空気流の剥離が助長されたものと考えられる。したがって、正(+)の静電気が帯電している車体を中和除電して、車体の外表面の正(+)の電位を低下させることにより、モデルを正(+)の電荷で帯電させた場合の空気の流れ(表面から離れた流れ)から、モデルを正(+)の電荷で帯電させていない場合の空気の流れ(表面に沿った流れ)に変化させることができる。すなわち、車体の外表面から空気流が剥離することを抑制することができる。
[0041]
 上述したようにモデルの表面附近を流れる正(+)の電荷を帯びた空気流は、そのモデルの正(+)の電位に応じて剥離する位置、またはその剥離の程度が変化する。そのため、本発明に係る車両は、車体に帯電する正(+)の静電気を中和除電することにより、車体の外表面に生じる正(+)に帯電した空気流が剥離することを抑制するように、または剥離を低減するように構成されている。その構成の一例を図5に示している。図5は、車体30に帯電した正(+)の静電気のエネルギーによりコロナ放電する自己放電式除電器(以下、自己放電器と記す)31を、その車体30の外表面に貼り付けた例を示しており、図5(a)は、その断面図を示し、図5(b)は、その平面図を示している。ここに示す車体30は、剛性を得るための鋼板32に、樹脂材料により形成されたカバー部材33を取り付け、そのカバー部材33の表面にガラス製のコーティング34を付している。なお、車体30は、樹脂材料やガラス材料あるいは鉄やアルミニウムなどの金属材料のいずれか一つの材料で構成されたものであってもよい。
[0042]
 このように構成された車体30は、走行に伴う静電気によって正(+)に帯電する。具体的には、上述したように走行風や吸排気管内を流動する空気流などと車体30の表面との摩擦などに伴う電気的な作用によって正(+)の静電気が生じ、帯電する。また、エンジンやモータなどの動力源あるいは変速機もしくはサスペンションなどが駆動すると、それらの装置を構成する複数の部材が摺動する。そのように部材が摺動することに伴う電気的な作用により正(+)の静電気が生じ、帯電する。さらに、ゴムで構成された車輪と路面との摩擦や、車輪のゴムが回転して路面に接触していた面が、路面から離れることなどによる電気的な作用により正(+)の静電気が生じ、帯電する。あるいは、車両10に搭載された電気機器や、車両10の外部の送電線などの電気機器の電気を要因として正(+)の静電気が帯電する場合がある。
[0043]
 通常、車輪はゴムなどの絶縁体(または、電気伝導率が小さい材料)によって構成されているので、上述したように生じた正(+)の静電気は、車体30に溜まる。帯電されるその電荷の一部が、車体30の外表面の局所に蓄積する。なお、帯電する静電気は、電気伝導率に応じて変化する。そのため、電気伝導率が比較的高い金属材料であっても、結合部位で少なからず電気抵抗があるため、条件に応じて金属パネルにも正(+)の静電気が帯電する場合がある。したがって、本発明における特定部位は、樹脂材料によって構成された部材の部位に限定されず、金属材料やガラス材料あるいはゴムもしくは塗料被膜などの他の材料によって構成された車体表面部位を含む。
[0044]
 図5に示す例では、車体30の外表面に帯電した正(+)の静電気を放電する自己放電器31が、車体30の外表面、より具体的には、コーティング34の外表面に貼り付けられている。この自己放電器31は、導電性の部材であって、自己放電器31およびその自己放電器31が貼り付けられた部位の近傍に帯電した正(+)の静電気のエネルギーに応じてコロナ放電するように構成されている。その自己放電器31は、上述した導電性被膜12と同様に構成することができる。例えば、アルミ箔などの金属製の薄片や、導電性のある塗装などが挙げられる。また、従来知られているようにコロナ放電は、尖った部分で生じるので、自己放電器31は、複数の凹凸部が形成されている。具体的には、自己放電器31として薄片を使用する場合には、その側面(切断面)に凹凸が形成されるように、薄片を切断して形成する。なお、金属材料の粉体を混入させて塗装するなどして表面に尖塔状の凹凸部を形成してもよく、または自己放電器31の表面をローレット加工するなどして、表面に複数の凹凸を形成してもよい。図5に示す自己放電器31は、所定の厚みを有する長方形状のアルミ箔によって形成され、その外周壁面に複数の凹凸部31Aが形成されている。
[0045]
 ここで、車体30の外表面に自己放電器31を貼り付けて車体30に帯電した正(+)の静電気を自己放電すること、すなわち電気的に中和除電することによる作用について説明する。上述したように空気流が正(+)の電荷を帯び、かつ車体30の外表面も同様に正(+)に帯電している場合には、空気流が車体30の外表面から剥離するように斥力が生じる。一方、車体30の表面を流れる空気流には、車体30との相対速度差に応じて、コアンダ効果により、車体30の表面に沿った流れとなる。車体30の表面が前述したように屈曲していて空気流の剥離が生じやすい特定部位においても、コアンダ効果により、空気流が車体30の表面に沿って流れようとする。しかしながら、上記の斥力は、そのような空気流の流線の変化を阻害するように作用する。この斥力の原因となる車体30の電荷が増大すると、ついには自己放電器31でコロナ放電が生じ、それに伴って車体30の外表面のうちの自己放電器31の近傍の部分の正(+)の電位が低下する。上記のように自己放電器31およびその近傍の部分の正(+)の電位が低下することにより、斥力が小さくなる。また、自己放電器31での電荷が増大することに伴って、その周囲に空気のマイナスイオンを生じさせ、これを自己放電器31およびその周囲のプラス電荷が吸引することにより空気流が車体30の表面における自己放電器31の周囲に吸引される。このようにして、空気流が車体30の外表面から剥離することを抑制することができる。なお、図5には、自己放電器31により電位が低下する領域を示しており、その範囲は、自己放電器31を中心として、直径が約150~200mmの範囲である。
[0046]
 上述したように空気流の剥離が抑制されるので、ピッチング方向やローリング方向あるいはヨー方向での空力特性が変化、もしくは悪化することを抑制することができる。その結果、回頭性あるいは操縦安定性や加速性などの走行性能を向上させることができる。例えば、旋回時に空気流に対して車体30が偏向した場合であっても、車体30の内輪側と外輪側とにおける空圧の相違が抑制され、設計上想定した所定の回頭性あるいは旋回性能を得ることができる。また、上述したように自己放電器31を中心として、所定の範囲の電位を低下させることができるので、横風を受けている時や旋回走行時など車両10に斜め前方から空気流が流れた場合であっても、上述したような効果を奏することができる。したがって、横風を受けている時や旋回走行時であっても操縦安定性を向上させることができる。
[0047]
 なお、上述したように構成された自己放電器31は、その自己放電器31を貼り付けた部分を中心として所定の範囲の正(+)の静電気を中和除電することができる。また、自己放電器31の上面に空気があればよい。したがって、例えば、図6に示すように車両10の外観として現れる外表面とは反対側の裏面に自己放電器31を取り付けても、車両10の外観として現れる外表面に自己放電器31を貼り付けた場合と同様に、車体30に帯電した正(+)の静電気を中和除電することができる。なお、図6に示す例では、鋼板32とカバー部材33との隙間を空気が流動することができるものとする。さらに、車両10の外観として現れる外表面とは反対側の裏面に自己放電器31を貼り付ければ、外観を損なうことなく、上述した効果を奏することができる。なお、図6は、自己放電器31を車両10の外観として現れる外表面とは反対側の裏面に自己放電器31を貼り付けた例を示し、図6(a)はその断面図を示し、図6(b)はその平面図を示している。
[0048]
 上述した例では、車体30の外表面またはその反対側の面に自己放電器31を配置しているが、要は、空気流が剥離しやすい箇所の正(+)の電位の絶対値を低下することができればよい。具体的には、車体30の表面に沿った流れからその表面から離れた流れに変化し始める剥離形状の箇所に、自己放電器31を配置すればよい。より具体的には、走行風の流れ方向に対して、車体30の外表面が所定の角度以上屈曲して形成されている部分に自己放電器31を配置すればよい。上記の剥離形状の箇所は、空洞実験などにより予め定めることができる。または、車体30の外表面の形状に基づいて定めることができる。したがって、空気流が剥離して車体30の表面から離れた流れに変化することを抑制することにより操縦安定性が向上する箇所を予め求め、その部位に自己放電器31を貼り付ければよい。そのように自己放電器31を貼り付ける位置を予め定めることにより、自己放電器31を過剰に取り付けることを抑制することができる。そのため、ピッチング方向やローリング方向あるいはヨー方向での空力特性を、想定した範囲に維持することができる。
[0049]
 したがって、本発明に係る車両の製造方法は、車体モデルもしくは試作車両を用いて、上述した空気流の剥離が生じ易い箇所を求める。併せて、それらの箇所のうち前述した導電性被膜12もしくは自己放電器31を取り付けることによって正の電位を低下させることにより車両10の操縦安定性が向上する部位を実験的に求める。車両10の製造工程では、こうして求められた部位の正の電荷を低下させるように前述した導電性被膜12もしくは自己放電器31を取り付ける。
[0050]
 図7は、自己放電器31を設ける位置を示す車両10の斜視図であり、図7(a)は車両10を斜め前方から見た斜視図を示し、図7(b)は車両10を斜め後方から見た斜視図を示している。また、図中の「●」を付している部分は、自己放電器31を貼り付ける位置を示している。図7に示す車両10は、小型ハッチバックの車両である。この車両10では、鉛直方向に空気流が剥離することを抑制するように、すなわち、空気流が剥離することによりピッチング方向での空力特性が変化することを抑制するように自己放電器31が配置されている。具体的には、車両10の幅方向における中央部分の正(+)の電位を低下するように自己放電器31が配置されている。なお、車体30のピッチング方向での空力特性が変化することを抑制することができればよいので、車体30の上面または下面のうちの少なくとも車幅方向における中央部分に自己放電器31が配置されていればよい。したがって、その中央部分を挟んで両側に所定の間隔を空けて自己放電器31を複数配置していてもよい。また、操舵輪である前輪42の接地荷重が低下することを抑制するために、中央部分に加えて左右均等に複数の自己放電器31を配置して、車幅方向における広域での空気流の剥離を抑制することが好ましい。以下、車体30のピッチング方向での空力特性が変化することを抑制するように自己放電器31を貼り付ける位置と、その位置に自己放電器31を貼り付けることによる作用とを説明する。
[0051]
 図7に示す例では、車体30の上面の空気流が剥離することを抑制するように、エンジンフード35の前端部(図中にa点と示す)、エンジンフード35の後端部(図中にb点と示す)、フロントガラス36の下端部(図中にc点と示す)、フロントガラス36の上端部(図中にd点と示す)、天井37の前端部(図中にe点と示す)、天井37の前部(図中にf点と示す)、天井37の後部(図中にg点と示す)、ルーフスポイラー38(図中にh点と示す)などに自己放電器31を配置する。なお、ワイパー39が車両10の外表面に吐出している場合には、ワイパー39が段差となって空気流が剥離する可能性があるので、図7に示すi,j点と示すようにワイパー39のブレード40およびアーム41に自己放電器31を配置することが好ましい。このように車体30の上面の正(+)の静電気を放電するように自己放電器31を配置することにより、車体30の上面の空気流が車体30の上面から剥離することにより車体30の上面側が負圧となることを抑制することができる。すなわち、車体を押し下げるダウンフォースの低下を抑制して、前輪42または後輪43と路面との接地荷重を想定した範囲、または適正値に維持することができる。
[0052]
 図8は、セダンタイプの車両10におけるフロントガラス36の下端部およびエンジンフード35の下面に自己放電器31を貼り付けた例を示している。なお、図8(a)は、その車両10の斜視図を示し、図8(b)は、フロントガラス36の下端部およびエンジンフード35の下面に自己放電器31を貼り付ける位置を示す断面図である。自己放電器31は、少なからず厚みを有しているため、自己放電器31が空気流に曝されて設けられていると、自己放電器31の近傍で空気流が乱れる可能性がある。そのため、図8に示す例では、エンジンフード35の上面およびフロントガラス36の表面に沿う空気流に曝されない位置に、自己放電器31が設けられている。具体的には、鉛直方向におけるエンジンフード35の上面よりも下方側の部分で、フロントガラス36の外表面に自己放電器31を貼り付け、また、エンジンフード35の後端部における下面に自己放電器31を貼り付けている。なお、図8に示すようにフロントガラス36とエンジンフード35との間には、雨水を排出するなどのための隙間が形成されているので、フロントガラス36に向けて流れる空気の一部が、その隙間に流れる。そのため、自己放電器31の表面を空気が流れるので、上述したように自己放電器31およびその周面の車体30の表面の正(+)の静電気を除電することができる。
[0053]
 上記のように自己放電器31を設けることにより、フロントガラス36の下端部およびエンジンフード35の後端部の正(+)の電位を低下することができるので、エンジンフード35の上面からフロントガラス36の表面に空気が流れる際に、空気流に斥力が生じることを抑制することができる。そのため、空気流が剥離することにより車体30の上面側が負圧となることを抑制することができる。すなわち、車体を押し下げるダウンフォースの低下を抑制して、前輪42または後輪43と路面との接地荷重を想定した範囲、または適正値に維持することができる。
[0054]
 なお、上述したように自己放電器31の近傍を空気が流れることが好ましいが、フロントガラス36とエンジンフード35との隙間が大きいと、その隙間からエンジンルーム内に流動する空気量が多くなるなど種々の理由によりフロントガラス36に沿う空気流の空力特性が変化する可能性がある。そのため、図9に示すように、自己放電器31よりも上部であり、かつ鉛直方向におけるエンジンフード35の上面より下方側に、フロントガラス36とエンジンフード35との隙間から流入する空気量を少なくするように形成された整流カバー44を設けてもよい。なお、図9に示す整流カバー44は、フロントガラス36とほぼ同一の幅に形成された板状の部材である。
[0055]
 図10は、天井37の静電気を除電するために自己放電器31を貼り付ける位置を説明するための断面図である。図10(a)に示す例は、天井37の車室側に所定の隙間を空けて樹脂材料により形成された室内ルーフライナ45が設けられており、その天井37と室内ルーフライナ45との間が外部に対して閉じられた空間となっている。上述したように自己放電は、自己放電器31の近傍を流れる空気が負のイオンとなることにより、自己放電器31およびその周囲の電位を低下させる。したがって、図10(a)に示すように天井37の外表面とは反対側の裏面が、閉じられた空間となっている場合には、その空間内に自己放電器31を配置することによる効果を得られない可能性がある。そのため、図10(a)に示す例では、室内ルーフライナ45における車室内側の面に自己放電器31を貼り付けている。このように室内ルーフライナ45に自己放電器31を貼り付けた場合には、室内ルーフライナ45が中和除電される。そのように室内ルーフライナ45の電位が低下させられることにより、上記閉鎖空間の電位が低下するので、結局、鋼板により形成された天井37の電位が低下させられる。すなわち、室内ルーフライナ45における車室側の面に自己放電器31を貼り付けることにより、室内ルーフライナ45および閉鎖空間の空気層を介して間接的に天井37の電位が低下させられる。その結果、天井37の外表面から空気流が剥離することを抑制することができるので、車体30を押し下げるダウンフォースが低下することを抑制することができる。また、旋回走行時や横風を受けた場合などに空気流が、車両10の前後方向から傾斜した方向に剥離することを抑制することができるので、ヨー方向の空力特性が変化することを抑制することができる。その結果、操縦安定性や乗り心地などを向上させることができる。
[0056]
 図10(b)は、天井37の静電気を除電する他の例を示す断面図である。図10(b)に示す例は、天井37のうちの空気流が剥離する特定部位における天井37の外表面とは反対側の裏面に、室内ルーフライナ45の一部が接触するように、室内ルーフライナ45が屈曲して形成されている。そして、その屈曲した部分45aの正の電位を低下させるように自己放電器31が、室内ルーフライナ45の車室側の面のうち上記屈曲した部分45aの近傍に自己放電器31を設けられている。このように自己放電器31を貼り付ければ屈曲部45aを中和除電して正の電位を低下させることができるので、空気層を介さずに天井37の正の電位を低下させることができる。その結果、天井37の外表面から空気流が剥離することを抑制することができるので、車体30を押し下げるダウンフォースが低下することを抑制することができる。また、旋回走行時や横風を受けた場合などに空気流が、車両10の前後方向から傾斜した方向に剥離することを抑制することができるので、ヨー方向の空力特性が変化することを抑制することができる。その結果、操縦安定性や乗り心地などを向上させることができる。なお、天井37と室内ルーフライナ45との隙間が閉じられた空間となっていない場合には、図10(b)に破線で示すように室内ルーフライナ45における上面(天井37と対向した面)、または天井37における外表面とは反対の裏面に自己放電器31を貼り付けてもよい。
[0057]
 また、図11に示すようにセダンタイプの車両10は、リアガラス46とラゲージドア47とに隙間が形成されている。そのため、図8と同様に、リアガラス46の正(+)の電位を低下するために、リアガラス46の下端部に自己放電器31を設けている。具体的には、鉛直方向におけるラゲージドア47の上面よりも下側の部分のうちの外表面に、自己放電器31が設けられている。このように自己放電器31を配置してリアガラス46の正(+)の静電気を放電して正(+)の電位を低下することにより、リアガラス46から空気流が剥離することを抑制することができる。その結果、車体30を押し下げるダウンフォースの低下を抑制して、前輪42または後輪43と路面との接地荷重を想定した範囲、または適正値に維持することができる。
[0058]
 さらに、図12は、リアスポイラー48およびリアバックドアガラス49に自己放電器31を配置する位置を詳細に示している。なお、図12(a)は、ハッチバックタイプの車両10の斜視図を示しており、図12(b)は、リアスポイラー48およびリアバックドアガラス49に自己放電器31を貼り付ける位置を示す断面図である。図12に示す例では、リアスポイラー48の上面に自己放電器31を配置して、その自己放電器31近傍の正(+)の静電気を放電して正(+)の電位を低下している。なお、空気流を乱さないためなど種々の条件に応じて、図12(b)に破線で示すように自己放電器31をリアスポイラー48の下面に配置してもよい。
[0059]
 また、図12に示す例では、リアスポイラー48の基部から下方側に垂下してリアバックドアガラス49が形成されている。したがって、走行時に車体30の周囲を流れる空気流は、リアバックドアガラス49の表面を流動することはない。しかしながら、リアバックドアガラス49の表面から空気流が剥離すると車両10の後方部分の空気流が乱れ、走行時に車体30の周囲を流れる空気流を間接的に乱す可能性がある。そのため、図12(b)では、リアバックドアガラス49の正(+)の静電気を除電するように自己放電器31が設けられている。より具体的には、リアバックドアガラス49の上部の外表面に自己放電器31が設けられている。なお、図13は、ワンボックスタイプの車両10の斜視図を示しており、そのリアスポイラー48およびリアバックドアガラス49にも同様に自己放電器31を設けている。具体的には、図13(b)に示す断面図のように、リアスポイラー48の上面、または下面に自己放電器31を設け、かつリアバックドアガラス49の上端のうちの外表面に自己放電器31を設けている。
[0060]
 上述したように車両10のピッチング方向での空力特性が変化しないように、車両10の幅方向における中央部分に自己放電器31が配置されていればよい。また、自己放電器31を配置する位置は、上述した位置に限定されず、例えば、図7における天井37の前部(f点)に設けられた自己放電器31のように、車体30の上面の空気流の方向に沿って、一定間隔を空けて自己放電器31を複数設けていてもよい。このように空気流の方向に沿って自己放電器31を複数設けることにより、車体30から空気が剥離することをより一層抑制することができる。
[0061]
 また、図7に示す車両10は、車体30の下面の空気流が剥離することを抑制するように、フロントバンパー14の下端部の前縁(図7中にk点と示す)、車体30の床下に配置されたリア燃料タンク(後述する)、車体30の床下のリアトランクの下部(図示せず)、リアバンパー50の下端部(図7中にl点と示す)などに自己放電器31が配置されている。このように車体30の下面の正(+)の静電気を放電するように自己放電器31を配置することにより、車体30の下面の空気流が車体30の下面から剥離することを抑制することができる。その結果、車体30の下面から空気流が剥離し、その剥離した位置よりも後方側にカルマン渦が発生するなどにより、車体30の下面の圧力が増大することを抑制することができる。その結果、車体30を押し上げる荷重が生じることを抑制することができるので、ダウンフォースの低下を抑制して、前輪42または後輪43と路面との接地荷重を想定した範囲、または適正値に維持することができる。
[0062]
 図14は、車両10の後方部に設けられたリア燃料タンク51に自己放電器31を配置する箇所を示す図である。車体30の下面の空気流の流動抵抗を低減するためのアンダーカバーを設けていない場合には、リア燃料タンク51が、車両10の下面に露出している。したがって、リア燃料タンク51が帯電していると、リア燃料タンク51の表面の空気流が剥離して、車体30の下面の圧力が増大する可能性がある。そのため、図14に示すように車両10の走行方向におけるリア燃料タンク51の前方部および後方部に自己放電器31が配置されている。
[0063]
 一方、車体30の下面の空気流の流動抵抗を低減するために、図15に示すようなアンダーカバー52を設けている場合がある。なお、図15には、エンジンルームの下部に取り付けられるフロントアンダーカバー52を示しており、図15(a)はアンダーカバー52を車両10の下方側から見た平面図であり、図15(b)は自己放電器31を貼り付ける位置を示す断面図である。また、図15における左側が、車両10の前方を示しており、一点鎖線が車両10の幅方向における中央部分を示している。フロントアンダーカバー52は、段差などを車両10が乗り越える際に、その段差と接触しないように前方側が鉛直方向における上側に向けて傾斜して形成されている。したがって、図15(b)に示すように、アンダーカバー52の前方から流動した空気流が、アンダーカバー52の上下方向での屈曲点で剥離する可能性がある。そのため、図15に示す例では、その屈曲点の静電気を放電するようにその屈曲点またはその近傍に自己放電器31が貼り付けられている。なお、図15に示す例では、外表面とは反対側の裏面に自己放電器31が貼り付けられている。より具体的には、車幅方向における車体30の中央部分と、その中央部分を挟んで左右均等になる位置とにそれぞれ自己放電器31が貼り付けられている。なお、中央部分に貼り付けられた自己放電器31と、左右に貼り付けられた自己放電器31との距離は、約150~200mmとすることが好ましい。
[0064]
 また、車体30の下面を介して車体30の後方の空気流を制御するリアデュフューザ53を設けている場合には、そのリアデュフューザ53に自己放電器31を設けてもよい。図16は、そのリアデュフューザ53を示す図であり、図16(a)はリアデュフューザ53を車両10の下面から見た図であり、図16(b)は自己放電器31を貼り付ける位置を示す断面図である。また、図16における右側が、車両10の後方を示しており、一点鎖線が車両10の幅方向における中央部分を示している。リアデュフューザ53は、車体30の下面を介して車体30の後方側に流動する空気流の流速を増大させるために、後方側が鉛直方向における上側に向けて傾斜して形成されている。したがって、図16(b)に示すように、リアデュフューザ53の前方から後方に流動する空気流が、リアデュフューザ53の屈曲点で剥離する可能性がある。そのため、図16に示す例では、その屈曲点の静電気を放電するようにその屈曲点またはその近傍に自己放電器31が貼り付けられている。なお、図16に示す例では、外表面とは反対側の裏面に自己放電器31が貼り付けられている。より具体的には、車幅方向における車体30の中央部分と、その中央部分を挟んで左右均等になる位置とにそれぞれ自己放電器31が張り付けられている。なお、中央部分に張り付けられた自己放電器31と、左右に貼り付けられた自己放電器31との距離は、約150~200mmとすることが好ましい。
[0065]
 上述したように車体30の上面および下面に帯電した正(+)静電気を放電して正(+)の電位を低下することにより、それらの面に沿う空気流が剥離することを抑制することができる。そのため、車体30のピッチング方向の空力特性が変化することを抑制することができる。その結果、前輪42や後輪43の接地荷重が変化することを抑制することができるので、加速性能や旋回性能あるいは操舵安定性が低下することを抑制することができる。
[0066]
 また、車体30の両側面に沿う空気流が剥離すると、ローリング方向またはヨー方向の空力特性が変化する。そのため、車体30の両側面から空気流が剥離することを抑制するように、図7に示す例では、車体30の幅方向における中央部について左右対称となる部位のうちのいずれか一対の部位に、自己放電器31を配置している。以下、車体30のローリング方向またはヨー方向の空力特性が変化することを抑制するように自己放電器31を配置する位置と、その位置に自己放電器31を配置することによる作用を説明する。
[0067]
 左右対称となる部位の一例としては、サイド窓ガラス54、ドアミラー55、ドアハンドルの握り部56、前輪42、後輪43、フェンダ57などがある。したがって、図7に示す例では、ドアミラー55の基部のうち車体30の前方側に最も突出した部分(図中にm点と示す)、サイド窓ガラス54のうち視界に入らない位置、より具体的には、サイド窓ガラス54と雨水などがフロントドア58やリアドア59内に混入することを防止するベルトモール60との間(図中にn点と示す)、ドアハンドルの握り部56(図中にo点と示す)、前輪42のタイヤホイール61の中心位置(図中にp点と示す)、前輪42のタイヤホイール61の中心位置と同一の高さであり、かつ空気流の上流側に位置するフロントバンパー14またはフロントフェンダ62の側面部(図中にq点と示す)、前輪42のタイヤホイール61に嵌め込まれたタイヤホイールキャップ63の中心位置(図中にr点と示す)、後輪43のタイヤホイール64の中心位置(図中にs点と示す)、後輪43のタイヤホイール64の中心位置と同一の高さであり、かつ空気流の上流側に位置するリアドア59またはロッカパネル65(図中にt点と示す)、後輪43のタイヤホイール64に嵌め込まれたタイヤホイールキャップ66の中心位置(図中にu点と示す)、フロントドア58の前方部(図中にv点と示す)などの一対の部位に自己放電器31が配置されている。
[0068]
 図17は、フロントドア58またはリアドア59とベルトモール60との間に自己放電器31を配置した例を示す断面図である。図17に示す例では、クリップ67を介して車室側ベルトモール60aがフレーム68に連結されている。なお、クリップ67には、ドアトリム69が連結されている。また、図示しない他のフレームに連結されたフロントドア58またはリアドア59に、車外側ベルトモール60bがクリップ70を介して連結されている。ベルトモール60は、サイド窓ガラス54に付着した雨水などがドアトリム69とフロントドア58またはリアドア59の間(以下、戸袋Sと記す)に流入することを防止するためのものであり、各ベルトモール60a,60bは、ゴムなどの樹脂材料により形成されており、各ベルトモール60a,60bは、サイド窓ガラス54を挟み付けるように配置されている。なお、図17に示す例では、各クリップ67,70には、鉛直方向に所定の間隔を空けてそれぞれ二つのベルトモール60a,60bが連結されている。
[0069]
 また、サイド窓ガラス54の下端部は、断面形状がU字状に形成された保持部材71によって保持されており、その保持部材71は、戸袋Sに配置され、かつ図示しないモータにより上下動するように構成されている。したがって、保持部材71を下降させることにより、サイド窓ガラス54を戸袋Sに収容することができる。
[0070]
 そして、サイド窓ガラス54の正(+)の静電気を放電する自己放電器31が、サイド窓ガラス54の下部に貼り付けられている。具体的には、サイド窓ガラス54が最も上昇した場合であっても、自己放電器31が戸袋S内に位置するように、サイド窓ガラス54に自己放電器31が貼り付けられている。また、ベルトモール60の上端部は、ドアトリム69やフロントドア58あるいはリアドア59から突出しており、車両10の外観に現れ、車体周りの空気流に曝されている。したがって、ベルトモール60の正(+)の静電気を中和除電することが好ましい。そのため、図17に示す例では、サイド窓ガラス54が最も上昇した場合に、下方側の車室側ベルトモール60aと自己放電器31とが接触するように、自己放電器31をサイド窓ガラス54に貼り付ける位置が定められている。なお、サイド窓ガラス54が上下動した際に、常時、サイド窓ガラス54および車室側ベルトモール60aが接触するように、下方側の車室側ベルトモール60aに自己放電器31を貼り付けていてもよい。
[0071]
 上述したようにサイド窓ガラス54または車室側ベルトモール60aに自己放電器31を貼り付けることにより、サイド窓ガラス54とベルトモール60との正(+)の静電気を放電することができるので、サイド窓ガラス54の外表面に沿う空気流が剥離することを抑制することができる。また、自己放電器31は、戸袋S内に設けられているので、戸袋S内の空気に、サイド窓ガラス54やベルトモール60の正(+)の静電気を放電することができる。なお、図17に示す例では、サイド窓ガラス54における車室側に自己放電器31を貼り付けた例を示しているが、図17に破線で示すように車外側に自己放電器31を貼り付けてもよい。
[0072]
 また、図17には、フロントドア58またはリアドア59に形成された窓枠の下縁部に設けられたベルトモール60とサイド窓ガラス54との正(+)の静電気を放電するための構成を示しているが、図7に示すように左右の縁部に設けられたベルトモール60の内側に、自己放電器31を貼り付けていてもよい。
[0073]
 図18には、フロントバンパー14およびフロントフェンダ62に自己放電器31を貼り付けた例を示している。なお、図18における下側が車幅方向における左側であり、図18における左側が車両10の前方である。図18に示すようにフロントバンパー14の側面に沿って流れる空気流は、そのまま前輪42に沿って流れる。そのように空気流が流れることにより、車両10の前後方向におけるフロントフェンダ62と前輪42との間であって、かつ車幅方向におけるフロントバンパー14の側面の位置が負圧になる。そのため、フェンダーハウスから空気が車幅方向における外側に吸引されて、フェンダーハウス内から空気を排出して流動性を良好に保つ。したがって、フロントバンパー14の側面から意図しない位置で空気流が剥離すると、フェンダーハウスから空気が車幅方向における外側に吸引されにくくなる可能性がある。
[0074]
 そのため、図18に示す例では、フロントバンパー14の側面であって、外表面とは反対側の面に自己放電器31が貼り付けられ、かつフロントフェンダ62、より具体的には、フェンダライナ72におけるフェンダーハウス側の面とは反対側の面に自己放電器31が貼り付けられている。また、各自己放電器31は、鉛直方向における前輪42の中央部と同一の高さに配置することが好ましい。このように自己放電器31を設けることにより、フロントバンパー14の側面に沿う空気流が、フロントバンパー14のうちの意図しない位置で剥離することを抑制することができる。すなわち、また、前輪42を冷却するため、より具体的には、前輪42に制動力を作用させるブレーキを冷却するためにフェンダーハウスに取り込まれた空気が、車幅方向における外側に吸引されにくくなるなどの事態が生じることを抑制することができる。すなわち、フェンダーハウス内の空気流の流速が低下することを抑制することができる。
[0075]
 また、ドアハンドルの握り部56は、その製造上の都合により、中空に形成されている場合がある。そのようにドアハンドルの握り部56が中空に形成されている場合には、その中空部に自己放電器31を配置することが好ましい。あるいは、ドアハンドの握り部56が、断面形状がU字状に形成されている場合、言い換えると、ドアハンドルの握り部56にスリットが形成されている場合には、そのスリットに自己放電器31を配置することが好ましい。
[0076]
 上述したように左右対称となる部位のうちのいずれか一対の部位に自己放電器31を配置することにより、車体30の両側面から空気流が剥離することを抑制することができる。より具体的には、いずれか一方の側面から空気流が剥離することによるローリング方向またはヨー方向での空力特性の変化を抑制することができる。特に、旋回走行時における旋回方向の内側の側面から空気流が剥離してローリング方向やヨー方向の空力特性が変化することを抑制することができる。その結果、操縦安定性などの走行性能が低下することを抑制することができる。
[0077]
 さらに、各部材は、フレームに固定されており、そのフレームは、バッテリーのアース部(マイナス端子部)と電気的に接続されている。したがって、フレームの電位を低下することにより、車体30の各部分に帯電する正(+)の静電気の電位を低下することができる。そのため、図19に示す例では、本発明における接地部位に相当するバッテリー73のマイナス端子部、より具体的には、マイナスターミナル74に、自己放電器31を貼り付けて、そのマイナスターミナル74の負(-)の電位を下げるように構成されている。なお、バッテリー73のケース部75または蓋部76に自己放電器31を貼り付けてもよい。通常、バッテリー73は、エンジンルーム内に設けられており、また、エンジンを冷却するために外気がエンジンルーム内に取り込まれて流動している。したがって、上記のように自己放電器31からコロナ放電が生じることによる除電作用を奏することができる。
符号の説明
[0078]
 10…車両、 12…導電性被膜(帯電抑制材)、 12A…角部、 14…バンパカバー(樹脂部品、外装部品)、 16…ドアミラー(外装部品)、 18… ヘッドランプ(外装部品)、 30…車体、 35…エンジンフード、 36…フロントガラス、 37…天井、 38…ルーフスポイラー、 39…ワイパー、 42…前輪、 43…後輪、 45…室内ルーフライナ、 46…リアガラス、 47…ラゲージドア、 48…リアスポイラー、 49…リアバックドアガラス、 50…リアバンパー、 51…リア燃料タンク、 52…アンダーカバー(フロントアンダーカバー)、 53…リアデュフューザ、 54…サイド窓ガラス、 55…ドアミラー、 56…ドアハンドルの握り部、 57…フェンダ、 58…フロントドア、 59…リアドア、 60…ベルトモール、 61,64…タイヤホイール、 62…フロントフェンダ、 63,66…タイヤホイールキャップ、 65…ロッカパネル、 72…フェンダライナ、 73…バッテリー、 74…マイナスターミナル、 75…ケース部、 76…蓋部。
請求の範囲
[請求項1]
 路面に対して絶縁状態に保持されている車体が、走行することを含む外部要因による静電気で正に帯電する車両において、
 走行時に前記車体の周囲に流れる正に帯電した空気流が、前記帯電した車体の表面に沿った流れから前記表面から離れた流れに変化し始める剥離形状の箇所のうちの少なくとも何れか一つの特定部位の正の電位を、該正の電位に応じて負の空気イオンを生じさせる自己放電により中和除電して低下させる自己放電式除電器を備えていることを特徴とする車両。
[請求項2]
 請求項1の車両において、
 前記特定部位は、前記車体の上面と下面との少なくともいずれか一方の面における該車体の幅方向での中央部分の部位を含むことを特徴とする。
[請求項3]
 請求項1の車両において、
 前記特定部位は、前記車体の幅方向での中央部分について左右対称となる部位のうちのいずれか一対の部位を含むことを特徴とする。
[請求項4]
 請求項1ないし3のいずれかの車両において、
 前記特定部位は、前記空気流の流れる方向に沿って一定間隔を空けた複数の部位を含むことを特徴とする。
[請求項5]
 請求項1ないし4のいずれかの車両において、
 前記特定部位は、樹脂材料で形成された部品の一部を含むことを特徴とする。
[請求項6]
 請求項1ないし5のいずれかの車両において、
 前記自己放電式除電器は、前記特定部位および該特定部位の近傍に帯電した前記正の電荷の静電気のエネルギーに応じて前記自己放電する帯電抑制材によって構成され、
 前記帯電抑制材は、前記車体を構成している部品のうちの、前記空気流が前記車体の表面に沿った流れから前記表面から離れた流れに変化し始める前記特定部位に設けられている
ことを特徴とする。
[請求項7]
 請求項6の車両において、
 前記帯電抑制材は、前記自己放電を生じさせる鋭利もしくは尖った角部を有する導電性金属の被膜によって構成されていることを特徴とする。
[請求項8]
 請求項6または7の車両において、
 前記帯電抑制材は、前記車両の外表面とは反対側を流れる空気流に曝された裏面に設けられていることを特徴とする。
[請求項9]
 請求項1ないし8のいずれかの車両において、
 前記特定部位は、バッテリーのうちの負の電位の接地部位に接続された部位を含み、前記自己放電式除電器は、前記接地部位の負の電位を低下させるように構成されている
ことを特徴とする。
[請求項10]
 路面に対して絶縁状態に保持されている車体が、走行することを含む外部要因による静電気で正に帯電する車両の製造方法において、
 走行時に前記車体の周囲を流れる正に帯電した空気流が、前記車体の表面から剥離して前記車体の表面から離れた流れに変化することを抑制することにより、前記車両の操縦安定性が向上する部位を予め求め、
 前記部位の正の電位を、該部位の正の電位に応じて負の空気イオンを生じさせる自己放電により中和除電して低下させる自己放電式除電器を前記車体に取り付ける
ことを特徴とする車両の製造方法。
[請求項11]
 請求項10の車両の製造方法において、
 前記車体の上面と下面との少なくともいずれか一方の面における該車体の幅方向における中央部分の部位のうち、走行時に前記車体の周囲を流れる正に帯電した空気流が、前記車体の表面近傍から剥離することを抑制することにより、前記車両の操縦安定性が向上する部位を予め求めることを特徴とする。
[請求項12]
 請求項10の製造方法において、
 前記車体の幅方向での中央部分について左右対称となる部位のうち、走行時に前記車体の周囲を流れる正に帯電した空気流が、前記車体の表面から剥離して前記車体の表面から離れた流れに変化することを抑制することにより、前記車両の操縦安定性が向上するいずれか一対の部位を予め求めることを特徴とする。
[請求項13]
 請求項10ないし12のいずれかの車両において、
 走行時に前記車体の周囲を流れる空気流の流れる方向に沿って、一定間隔を空けて前記自己放電式除電器を前記車体に複数取り付けることを特徴とする。
コメント
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