遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』第4話 ある父と娘に関する物語

2024-03-31 00:18:13 | DVD・VHS・動画など

2024/3/29

仲良し父娘の娘が、父の机の引き出しから「死後あけること」と書かれた手紙を見つけてしまい、開封するかどうか迷う話。

DVDの解説によると、十戒の中の「あなたの父母を敬え」という第五戒がテーマらしい。

直接表現しているわけではないので、一致していると言えばしているし、よくわからない。

どちらかというと、親とは何かという話。踏み込んだ表現もあるけど、比較的穏当な話だったと思う。

過去3回もそうだけど、登場人物の顔が強い。

今回も娘の顔が強い。演者はアドリアンナ・ビエェンスカ。名前を覚えられる気がしない。

話はとてもシンプルで、なんなら既視感もあるくらいだけど、娘の表情がコロコロ変わって楽しい。

派手な演出表現はないので、落ち着いて顔の情報量を楽しむことができる。

各話、同じアパート内の話なので、2話の医者が同じエレベーターに乗り合わせてますます顔面が強いシーンになっていた。

あと、娘の部屋の巨大山男風壁紙が謎。一体どういう趣味しているんだろう。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「5 Guys Shakespeare Act1:[HAMLET]」

2024-03-30 00:04:10 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2024/3/29

・デンマークの王子ハムレットが、前王である父親の幽霊からの命令を受け、新しい国王となった叔父に復讐しようとする話。ミュージカル。

・役者は男性5人のみ。ハムレットは一人が演じ、他の四人で残りすべての登場人物を演じる。

・ハムレットの母親ガートルードや恋人オフィーリアも男性が演じる。恋人同士のやり取りもギャグに逃げず、真正面から演じている。すごく真面目。

・登場人物の紹介、関係性、展開、うまく編集されていて2時間弱。わかりやすいのでシェイクスピア作品の入門編としてもおすすめできそう。

・ハムレット以外の演者は、一つの役でも異なる演者が担当したりする。なので、衣装が重要。

・演じているほうは混乱しないのかなと思ったけど、楠美津香さんみたいな人もいるから今さらか。

・着替えは舞台上で見せる方針で、仕草や照明などにきちんと演出がついていて緊張感が途切れない。

・単に好みということもあるけど、演劇という虚構で真実を暴こうとするアイディアはやっぱりおもしろい。

・虚構と真実を行ったり来たりする仕掛けは、演劇の得意分野だと思う。

・ここでは「生きるべきか死ぬべきか」「成すべきか成さぬべきか」というフレーズが出てくる。

・復讐を実行するか思いとどまるかの逡巡なので、生きるべき死ぬべきと微妙にズレている感じがするんだけど、どういうニュアンスになるんだろう。

・「尼寺へ行け!」は何度聞いても酷いし、唐突な感じもするけど、決めフレーズとしてパワーがある。

・このあたりのセリフは、前後の文脈以前にハムレットを上演する以上、避けては通れない感じもする。

・レアティーズとオフィーリアの兄妹はあいかわらずかわいそう。復讐に必要な犠牲には見えない。ほんとハムレットが悪い。

・終盤、サシの決闘がかなりかっこいい。最初の礼から始まって、高速の殺陣、光を反射する刀身。

・公演名的に今後も男性5人でシェイクスピアを続けるんだろうけど、次は何をどんな形式でやるんだろう。

・四大悲劇が優先かなと思うけど、『じゃじゃ馬ならし』を男だけでやったらどんな感じになるのか気になる。

(U-NEXT)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』第3話 あるクリスマスイヴに関する物語

2024-03-29 00:14:32 | DVD・VHS・動画など

2024/3/26

クリスマスイブの夜、タクシー運転手の男のところに元恋人がやってきて、彼女の現恋人が行方不明になったから一緒に探してほしいと言われる話。…だと思うけど、よくわからない。

本編1時間弱。30分くらい見て話に付いていけず、最初から見直してみたけど、よくわからなかった。

主人公の男は妻がいるのに、元カノの頼みに応じて一晩を一緒に過ごす。

妻には「車が盗まれたから警察に通報しておいて」という言い訳をする。意味がわからない。

妻に内緒にすること、言い訳に盗難被害という嘘をつくこと、実際に警察へ通報させること、どれも飲み込みにくい。

一歩間違えたら逮捕されるし、実際逮捕されそうになっている。

元カノが唐突に怒り出すのもよくわからない。

留置所?放水おじさんや、スケボー駅員さんなど、パンチの効いた登場人物を単発で楽しむ感じになってしまった。

誰かの見た夢の話だと言ってくれたほうが飲み込みやすい。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベン・モンゴメリ『グランマ・ゲイトウッドのロングトレイル』

2024-03-28 00:27:12 | 読書感想文

2024/3/26

・1955年、女性で初めて全長3300㎞のアパラチアントレイルを踏破したエマ・ゲイトウッドを紹介するノンフィクション。

・当時の彼女は67歳。1955年5月2日から同年9月25日までの146日、起伏の激しい山岳道を、単純計算で1日あたり20~25㎞くらい歩き続けた。

・激しい起伏、足場の悪さ、記録的なハリケーン、ガラガラヘビなどの危険な動物たち。

・本の大部分はこの最初のトレイルの様子と、彼女の生い立ちの紹介にあてられている。

・過酷なトレイルでも、彼女にとっては楽しいことだったらしい。実際、彼女は一回では満足できず、二回目、三回目と挑戦している。

・一方で、彼女の生い立ちのほうで語られる、夫からの暴力は目も当てられない状態。

・時代背景的に珍しいことではないと言っても、だからと言って殴られた傷が痛まないわけではない。

・単純に「歩くことが好きだから歩いた」と言えれば気持ちいいが、それだけでスルーハイクをしようとしたわけではないと思う。

・彼女自身歩くことに関して特別な訓練を受けていない。

・しかし、長年の農作業と11人もの子育てで培った、料理、裁縫、食べていいもの駄目なものの見極め、動物のあしらい方など、トレイルに転用できる技術を今の人とは比較にならない練度で身に着けている。

・初めてヤマアラシを食べようとして、肝がマズくてやめた話が好き。

・道中様々な人が彼女を助けてくれる。今でもハイカー間の助け合いの伝統はあるよう。ただ同じ場所を歩いているだけで絆が発生している。

・ロサンゼルスからニューヨークまで走るウルトラマラソンを題材にした小説『遥かなるセントラルパーク』でも同じような現象が起きていた。賞レースですらそうなんだから、当然かもしれない。

・掲載されている地名と地図が全然ピンと来ない。地名はともかく、地図のほうはもう少し何とかならなかったんだろうか。

・ちょっと前に見た『ロング・トレイル!』の主人公(のモデル?)ビル・ブライトンの話題も出てくる。

・本書では、彼の本で紹介されているエマの書き方に悪意があると、彼女の娘ルーシーに「おまえは途中リタイアしただろ」という感じでリアクションされている。

・当時よりはだいぶん整備されたようだけど、今でも挑戦したければ、基本的に一回仕事を辞めることが条件になる。ハードルが高すぎる。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』第2話 ある選択に関する物語

2024-03-27 00:12:28 | DVD・VHS・動画など

2024/3/26

不義による妊娠をしてしまった女が、生むべきかどうか判断するため、意識不明になってしまった夫の主治医から話を聞き出そうとする話。

姦淫という十戒らしいテーマ。

ただし、十戒に対応しているのは偶像崇拝の禁止らしい。どの部分が対応しているのかはよくわからない。

「私は私だけの神を持っている」というセリフなのかな。

十戒をそのまま組み込むのではなくて、作り手側が、それに対してどのように考えているかを作品にしている感じ。

夫が回復して一緒に暮らせるようになるなら、不義による子供は生めないという考え方って、個人的にはあんまりピンとこない。

自分は父親とは血がつながっていないけど、それで特にネガティブな気持ちになったことはない。

1話に続いて動物がたくさん出てくるけど、あいかわらず見ている人を不安にさせる要素が強い。

特に最後のほう。コップに入った赤い液体から這い出てくる虫。良いようにもとれなくはないけど、どういう意図なんだろう。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NODAMAP『赤鬼』

2024-03-26 00:17:10 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

 

2024/3/25

村の嫌われ者の女が、海から漂着してきた「赤鬼」と出会う話。

小さめの演技スペースを客席が囲む会場。

四人の俳優が、それぞれの基本の役と、シーンに合わせて様々な村人の役を演じる。

切り替えが早く、時々ギャグも入るので、見ているほうも忙しい。

演者たちの瞬発力はさすがだし、最前列のお客さんに話しかけたり、バッグをお借りして攻撃したりする。楽しそう。

嵐の表現や、ボールとポールで船に見立てるのもちゃんとそのように見える。

赤鬼は外国人のことなのかなと思ったけどそういう感じでもなさそうで、人間として考えていいのかどうなのか、よくわからなかった。

話の筋自体はとてもシンプルなので、何の話かわからなくなるということはないけど、そのぶん飛躍しそうでしない感じがもどかしかった。

思ったより楽しみ方がむずかしかった。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ケン・クワピス監督『ロング・トレイル!』(2015年)

2024-03-24 22:08:58 | NETFLIX/Amazon/UNEXT/Apple TVで観た

2024/3/24

老年の作家が思い立って全長3500㎞のアパラチアントレイルに臨む話。

もともとコミュニケーションの苦手な人が、よき理解者と出会って長年一緒に暮らしているうちに、ますます他者との距離感がとりにくくなっている感じが生々しい。

相棒は彼よりもヨボヨボのおじいさん。

老年だからというより、完全に山歩きをナメていて、踏破できそうな要素が全くない。

熊との遭遇や滑落のような絶体絶命のトラブルもどこか呑気。かなり薄められている。

熊と対峙して逃げずにちゃんと威嚇したのはよかったけど、人の食い物を奪って去っていくのは餌付けと変わらないので怖い。アパラチアの熊はそういうものなのか。

トレイルと関係の無いトラブルが多い。途中で泊まったホテルはちゃんと料金を払ったんだろうか。

諦めさせようとする妻のまわりくどい説得や、途中から同行するうっとうしい女性ハイカーが楽しい。

引き際があっさりしているのも良いところだった。

(U-NEXT)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

岡真理『ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義』

2024-03-23 13:11:00 | 読書感想文

2024/3/22

今起きているガザの問題、というか今のイスラエルという国家の問題点を解説した本。

自分の知識では軽々しく事の是非を判断することはできないけど、態度を保留にすれば中立になれるわけでもない。むずかしい。

実際、イスラエルが目指しているのはまさにそこ。

周囲の人々に態度を保留させているかぎり、イスラエルはジェノサイド(大量殺戮)を続けられる。

なので、病院や難民キャンプを襲っている時点でイスラエルの擁護は厳しい、くらいは言っておきたい。

大国アメリカも親イスラエル系のロビイストが力を持っていて、止めるどころか支援を続けている。

日本にも似たような話はあって気が滅入る。

ユダヤ人の国と言いつつシオニズムは敬虔なユダヤ教徒に認められていないという話、イスラム国と言いながらイスラム教とあまり関係なかったISILを思い出す。

あとで「あのとき何やってたの?」と言われない程度には態度を示していきたい。

ホントはそういうことは国や大手メディアでちゃんとやってほしい。一庶民よりは力あるんだから。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』第1話 運命に関する物語

2024-03-22 16:12:29 | DVD・VHS・動画など

2024/3/22

モーゼの十戒をモチーフにした短編10作品のうちの一話目。

理知を重んじるインテリ親子が、運命からの逆襲に遭う話。

理知と信仰の対比(本当に対比になるかどうかはあやしいかも)が軸になっている、哲学的かつ宗教的な話。

50分強と短く、単純な構図で、心配していたほどのストレスはない。

十戒のひとつ「あなたは私の他になにものも神としてはならない」を犯した親子が悲劇に遭うという道徳的な話に見えなくもないけど、その神やら運命やら何か得体の知れないものに屈服するのか、抗い続けようとするのか、その人の生き方が現れる瞬間を描いた話とも言える。

動物がよく出てくる。血の付いた鳩や犬の死体など、人を不安にさせる動物たち。

今見るとかなり旧式のパソコンの緑色の光が、人間らしさとの対比のように使われている。

派手な装飾はないけど、構図が強く、見せ方が生々しくて見る人に思考を要求する話だった。

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

黒澤明監督『椿三十郎』(1962年)

2024-03-19 23:29:44 | 演劇を見てきた

2024/3/19

・椿三十郎を名乗る浪人が、冤罪で拘束された城代家老を救おうとする若者たちを助ける話。

・その若者たちが九人もいる。似たような若い武士たちが彼のあとをウロウロついていく。

・椿三十郎は若者たちを一人も殺さないようにゴールに導く。ゲームの『レミングス』っぽい。

・金魚のフン状態の若者たちの中でも決して埋もれない田中邦衛の顔面力。

・96分。時間が短い。内容も軽い。巨匠の作品という感じがしない。

・各登場人物の役職や身分がよくわからないまま見ていたけど、その時その時で登場人物たちが何をしたいのかわかりやすく全然ストレスにならない。

・囚われのお姫様ならぬ城代家老のおじいちゃん。命の危機だったのに、己の馬面をネタにしてのほほんと若者たちを笑わせている。胆力があるとも言えるけど、ゆるい。

・家族の危機なのに奥方も娘もなんだかのんびりしている。小川に椿の花弁が流れたら突入の合図。

・そして、押し入れの中のあいつが一番軽い。

・こんなに緊張感が無くていいのか不安になる。

・とにかく椿三十郎の言うことを聞いていれば安心。

・見ている間は、椿がどうして若者たちを助けるのかよくわからなかった。最初に十人目を自称するところも、それまでの彼の言動とは合わないように感じる。

・あとで確認したら、『用心棒』の続編的作品とのことなので、彼の人間性や行動原理についてはそちらのほうで言及されているのかも。次はこれ見よう。

・椿三十郎の小細工と力技の振り幅がものすごい。

・三十人叩き斬ったあとに、逆に襲われたことにするから縄で拘束しろと言う。

・普通はそれじゃ成立しないはずなんだけど、三船敏郎の殺陣の迫力と存在感で楽しく見ることができる。

・椿三十郎のライバル役を仲代達矢が演じている。全体的にゆるいせいで強いのに損な役回りになっている。

・このころはまだ若手と言っていいと思うけど、のちの主演作品『切腹』を見ると、この時の三船敏郎並みの迫力を身に着けていた。しっかり受け継がれている。

・血の吹き出し方が思い切っている。公開時も見た人からツッコまれていたらしい。

・椿が重要なモチーフになっているのに、誰も首をはねられていなかった。それは安易ということか。

(U-NEXT)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする