遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

報告:即興組合第27回本公演『シアタースポーツ』(1日目)

2019-07-28 12:19:32 | 観フェス2019

即興組合、1日目が終わりました。

ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

今日は14時と19時の2回。

遠藤自身が選ぶ遠藤雷太賞(いいキーワードを提供していただいたお客さんへの賞)を中心に振り返ります。

14時回は「即興家族」と「元リベラルシアター」(両方ともチーム名)の戦い。

今回いいお題が揃っていたと思うんですが、元リベラルシアターチームのミュージカル「闇営業」を採りました。

ミュージカルはハマると強いです。

反社会的な集団が物心つかぬ子供を娑婆に戻す話。

それが厳密な意味で闇営業と言えるのかは微妙なところですが、相手チームも巻き込んでシーンを重ね、結構な力技で話に厚みを持たせました。

客席の小さなお子さんの声を拾って、次の展開につなげられたところは、インプロ感のある良いシーンでした。

子供好きをアピールするシーンで、二人の歌が、一人は外見、一人は中身と、瞬時に役割分担していたところもよかった。

他にも「酢キャベツ」「納骨堂」のような個性的なキーワードや、「やっと終わった」のような話を引き出しやすいセリフなど、良いお題が多かった中で、ベタな時事ネタは選びにくかったんですが、内容の良さで選びました。

他に、『やっぱり猫が好き』にギョーザで似たような名作エピソードがあった「スイカ」や、テクニカルプレイヤーが強力に後押しした「オカリナ」など、どれも見所の多い作品だったと思います。

個人的には採点の幅が狭く、ちょっと日和った感じになってしまったのが反省点です。

 

19時の回は、「プリンスアイズフジ」と「山菊山」(チーム名)の戦い。

今回は初めて「鮭(シャケ)」「サーモン」の二つのキーワードを採りました。他に選びようがなかった。

こういうこともあるんですね。

チーム「プリンスアイズフジ」の最初の演目が「鮭」というタイトルで、最後の演目が「サーモン」という関係性。

お題だけで伏線が張られ、回収されていました。

演者さんがその偶然性をしっかり消化し、鮭の恩返しを完成させました。まさにカムバックサーモン。

こういう興奮はインプロならではです。

途中、岡田みちよさんの「新巻鮭が海に帰ったら塩が抜けてサーモンになる」という、あまりにも謎な理論を強引に通した役者力に感服しました。理屈だけじゃ演技は出来ません。

「鮭」も「サーモン」もごくありふれた単語ですが、そういう普通の言葉でも見せ方次第で特別になれるというのは、インプロというか、演劇そのものの魅力だと思います。

他には「キツツキ」「こあがり」が印象に残りました。「キツツキ」は4コママンガのような起承転結があり、「こあがり」はシュールさが突き抜けていました。一人だけ何を言っているのかわからない制約がかえって想像力を煽ってきました。

 

大まかな振り返りですが、ひとまず以上です。

インプロはネタバレ気にせずに書けるので普段より助かります。

日曜日も14時と17時も上演されます。

よろしければどうぞ。

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仙台シアターラボ『透明な旗』(観フェス2019)

2019-06-09 00:35:39 | 観フェス2019

観劇三昧:仙台シアターラボ『透明な旗』

2019/6/7

水槽の前で四人の男達が記憶の断片をつないでいく話、だと思う。

取引先からの絶望的な一言。

コンビニにいる、仕事はできるが性格が悪いという厄介な先輩店員。

「あんたは目の前のことしか大切に出来ないんですか!」という理不尽な人格否定。

自分も過去に似たようなこと言われたことがあるような気がする。

見ていて辛くなるシーンが多い。

明らかにモテないのに嫉妬深い男もつらい。

水槽の中で静かにゆれる水面が、それらを浄化しようとしているように見える。

旗は目標の象徴だとして、それが透明だということは、抽象的な意味で迷子になった人たちの話なのか。

目標は見えない。しかし、追い続ける。

英語の先生のシーンもそういうコンセプトの一環なんだろうけど、面白味が強すぎて、ただ面白いだけだった。

高尚な話なんだと思うんだけど、ちょいちょい茶目っ気が漏れ出ていて不思議なバランスの作品だった。

 

劇団名 仙台シアターラボ
公演時期 2013/06/28
地域 東北

出演
野々下孝/澤野正樹/本田椋/飯沼由和

スタッフ
構成・演出:野々下孝 照明:山澤和幸/音響:中村大地/舞台監督:鈴木拓(boxes Inc.)/宣伝美術:川村智美 /情宣写真:佐々木隆二/制作協力:佐々木一美/製作:仙台シアターラボ

あらすじ

■テーマ「記憶のプール」
演劇を創る過程で、我々の頭の中には、先人の様々な営みや想いが浮かんでは消えていく­。
アートというものはそうして誰かから受け継いで創られていくものなのかもしれない。
だとすればアートとは自己表現でありながらも、その範疇に留まらないものになる可能性­を秘めている。
我々の内部に「記憶のプール」と呼べる、歴史や想いが集積したタンクの様なものが眠っ­ていると仮定する。
演劇における故郷喪失者である我々にも「記憶のプール」はある。
古典を失い、規範を失い、続けること自体が孕んでいる絶対の孤独と戦いながら、個人の­原風景をもとに演劇活動を続けている我々にも、そのプールに浮かぶことはできるのだ。
歴史はいつも否応なく伝統を壊すように動く。
個人は常に否応なく伝統の本当の発見に近づくように成熟する。
過去と未来が非連続となり、歴史感覚が失われている現在、
故郷喪失者たちは、抽象的な観念の美に酔うことしかできない。

※観劇三昧HPより引用

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メガネニカナウ『メガネニカナウ4』(観フェス2019)

2019-06-07 23:58:03 | 観フェス2019

観劇三昧:メガネニカナウ『メガネニカナウ4』

2019/6/6

40分程度の短編演劇3作品と、オープニング、ブリッジのコント。ボリュームがえげつない。

『春は青いし、ココロハオトメ』。

男に振られて自暴自棄になった女と、彼女に憧れて人間化していく猿の話。

自分を見失った女の姿が前衛的過ぎてかわいい。ヒゲ。

裸に必然性を持たせる手際すごい。

『プアエスパ』。

世界の滅亡を予言した超能力者の崩壊した家族の話。

みんなが怒っているか精神を病んでいるので、見ていてなかなかしんどい。

新聞の言葉だけしか話せないという設定が面白い。

『V&R』。

仮想現実のゲーム内で駄弁っている伝説のキャラクター達に新入りが絡んでいく話。

ジャックさんのポリゴン感。「無課金丸出しやな」というセリフ。

ぴゅーたと父さんの掛け合いでゲラゲラ笑う。

山本香織さんの名前と顔をばっちり覚えた。

最初のブリッジのリアクション面白いし、次のブリッジでの朗読はかっこいい。

誰が見ても好きになるタイプだと思うけど、どうだろ。

 

劇団名 メガネニカナウ
公演時期 2018/11/30
地域 関西

出演
上杉逸平(メガネニカナウ)/永津真奈(Aripe)/飯嶋松之助(KING&HEAVY)/ザキ有馬(ステージタイガー)/さぶりな(IsLand☆12)/田米カツヒロ(舞夢プロ)/磯淵良幸(俺たちの地球空洞説)/井路端健一(演劇集団ザ・ブロードキャストショウ)/亀山貴也/丹下真寿美(T-works)/鳩川七海(幻灯劇場)/米山真理(彗星マジック)/河口仁(シアターシンクタンク万化)/浜口望海(STAR☆JACKS)/為房大輔(劇団ZTON)/東千紗都(匿名劇壇)/濱辺緩奈/梨田いづみ/山本香織(イズム)

スタッフ
音響:八木進(baghdad cafe’)/照明:西村洋輝/舞台監督:北村侑也/宣伝美術:二朗松田(カヨコの大発明)/映像:堀川高志(KUTOWANS STUDIO)/メイキング映像編集:ながたゆうか(MEHEM)/制作:渡辺大(Limited_Spice)/制作協力:窪田”R”秀夫

あらすじ

◆A『春は青いし、ココロハオトメ』
作・演:野村有志(オパンポン創造社)
~あらすじ~
ある日、全てを捧げた彼に捨てられた。
この後の記憶はあまりなくて、気付くと山でひとり。
私は泣いていた。
大量の猿に囲まれながら。
泣いてる理由が変わるほどに囲まれながら。

一匹の猿と、ひとりな私の日々録。

◆B『プアエスパ』
作・演:勝山修平(彗星マジック)
~あらすじ~
世界は止ん事なき事情で滅亡を余儀なくされた。
滅亡を忌避しようと国家民間問わず対策を講じるも虚しく時間だけが過ぎ往く中、余り期待もされず注目もされず知られてもいない乍らも世界を救うため日々研鑽を重ねる超能力者達。の中で超能力と呼ぶにもおこがましい微々たる能力しか持たない能力者、小能力者達は更に劣等感とも戦っていた。容赦なく焼き付けられた役立たずという烙印、惨めなまま終わるかも知れない人生、振り返りたくない過去。それでも彼らは自分達を信じ、今日も限りある貴重な日常を消費する!

◆C『V&R』
作・演:二朗松田(カヨコの大発明)
~あらすじ~
2045年。科学技術の著しい進歩により急激に発達した仮想現実。人々は苦しい現実から逃れるように「blur」と呼ばれる仮想世界へと耽溺、24時間ログインをし続けている。blur内で最も人気を誇るのが戦争サバイバルゲーム「ヴァルガー・アンド・ランペイジ」、通称「V&R」。戦場へと飛び出していく多くの若者たち。死と再生を繰り返す中で彼らはその向こうに何を見るのか。また、ロビーで駄弁ってるだけの奴らは一体何をやっているのか。仮想と現実、ポリゴンと実体の間で揺れ動く若者たちの青春残酷ホラー戦争恋愛ヴァーチャル大活劇。

※観劇三昧HPより。

『メガネニカナウ』-official blog- 
『メガネニカナウ4』Aチームの紹介。
『メガネニカナウ4』Bチームの紹介です。
『メガネニカナウ4』Cチームの紹介です。
(配役は見つからなかったので参考に)

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