2024/3/19
・椿三十郎を名乗る浪人が、冤罪で拘束された城代家老を救おうとする若者たちを助ける話。
・その若者たちが九人もいる。似たような若い武士たちが彼のあとをウロウロついていく。
・椿三十郎は若者たちを一人も殺さないようにゴールに導く。ゲームの『レミングス』っぽい。
・金魚のフン状態の若者たちの中でも決して埋もれない田中邦衛の顔面力。
・96分。時間が短い。内容も軽い。巨匠の作品という感じがしない。
・各登場人物の役職や身分がよくわからないまま見ていたけど、その時その時で登場人物たちが何をしたいのかわかりやすく全然ストレスにならない。
・囚われのお姫様ならぬ城代家老のおじいちゃん。命の危機だったのに、己の馬面をネタにしてのほほんと若者たちを笑わせている。胆力があるとも言えるけど、ゆるい。
・家族の危機なのに奥方も娘もなんだかのんびりしている。小川に椿の花弁が流れたら突入の合図。
・そして、押し入れの中のあいつが一番軽い。
・こんなに緊張感が無くていいのか不安になる。
・とにかく椿三十郎の言うことを聞いていれば安心。
・見ている間は、椿がどうして若者たちを助けるのかよくわからなかった。最初に十人目を自称するところも、それまでの彼の言動とは合わないように感じる。
・あとで確認したら、『用心棒』の続編的作品とのことなので、彼の人間性や行動原理についてはそちらのほうで言及されているのかも。次はこれ見よう。
・椿三十郎の小細工と力技の振り幅がものすごい。
・三十人叩き斬ったあとに、逆に襲われたことにするから縄で拘束しろと言う。
・普通はそれじゃ成立しないはずなんだけど、三船敏郎の殺陣の迫力と存在感で楽しく見ることができる。
・椿三十郎のライバル役を仲代達矢が演じている。全体的にゆるいせいで強いのに損な役回りになっている。
・このころはまだ若手と言っていいと思うけど、のちの主演作品『切腹』を見ると、この時の三船敏郎並みの迫力を身に着けていた。しっかり受け継がれている。
・血の吹き出し方が思い切っている。公開時も見た人からツッコまれていたらしい。
・椿が重要なモチーフになっているのに、誰も首をはねられていなかった。それは安易ということか。
(U-NEXT)