遠藤雷太のうろうろブログ

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弦巻楽団『死と乙女』

2023-12-05 10:53:21 | 演劇を見てきた

2023/12/3

・拷問による心の傷が癒えない女性ポーリナが、かつて自分を拷問した医師ロベルトに、彼女なりの方法で復讐する話。

・事実をもとにしたフィクション。三人芝居。

・彼女はその医師を拘束し、自白を迫る。

・その間、彼女の夫ジェラルドとひたすら激しく重苦しい口論が続く。

・膨大なセリフ量をものすごいスピードで繰り出していく役者さんの負荷を考えると、ホントにもうおつかれさまですとしか言いようがない。

・法的に裁けないとしても、ある人にとっては間違いのない真実だとわかることはある。

・少し前の映画『それでもボクはやっていない』を思い出す。確信しているのは冤罪だから逆なんだけど。

・観客として見ていると、彼女が狂っているのか、医師がとぼけているのかわからないバランスで進行する。

・特に序盤、拘束して自白を迫るという手口が日本の冤罪事件の取り調べと一緒で心配になってしてしまう。

・現実では十分な証拠がないと加害者の糾弾は難しい。

・本作はフィクションとして描かれているので、しっかり加害者を断罪することができる。

・真実を創作に隠すやりかたは色々応用が利く。

・パンフに書かれている、実際に起きたのほうの出来事を参照すると、驚くほど誰も罪に問われていない。認定された死者だけで2279名も犠牲になっているのに。

・本作は「死人に口なし」という、残念な現実の裏返しでもある。

・さらに残念なのは、生きていたとしても、愛する夫にまで正気を疑わるくらい、激しく主張しないと正当性を証明できないという矛盾。

・物言わぬ、言えぬ被害者がどれだけいたことか。

・本作では創作らしい機転で医師の嘘を確信する。もし拷問される機会があったら参考にしたい。

・ポーリアが拳銃を過信しすぎていてハラハラする。彼女にとっての命綱なのに、わりと隙があるように見えた。

・意図的な調整だと思うけど、夫の言いようがうっすらモラハラ気味なのも影響している。

・最後の医師のぬめっとした座り方。座った後は、無言でただひたすら夫婦を見つめる。

・被害者の奇跡的ながんばりにより断罪はなされたものの、憎悪の連鎖までは終わっていないという風に解釈した。

(12/2 コンカリーニョ)


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