2023/12/20
・劇作家の男が、ある秘密を抱えながら、拘置所で死刑囚の女との面会と取材を重ねる話。
・配信含めて三回目の観劇。前は2021年と2022年。
・前回見たときよりも、最初の入り方が軽い感じ。
・今回は仙台、松本公演の報告会を兼ねていたり、会場が専用劇場ではないのでそういうバランスになったと思うけど、題材が重めなぶん今回の入り方が好みだったりする。
・舞台装置は従来通り。面会用のアクリル板をはさみ二人が会話する。最小限でたしかにツアー向き。
・今回はそんな舞台を囲むように客席が作られている。
・自分は比較的二人の顔が見えやすい中央よりの席。窓際のせいか意外なほど腰が冷える。
・演出効果は照明くらいで、とにかく演技勝負。
・前回から期間が空いているものの、話は大体わかるし、距離も近いので、演技に集中して観ることができた。
・詞葉は、7人を殺した死刑囚でありながら、犯行時の記憶を失っている。その記憶も完全に消え去っているわけではなく、悪夢のような記憶がよみがえる不安も抱えている。
・それゆえに死刑になるべく契約結婚を持ち掛け、つかの間で独特な新婚生活にちょっとうかれてしまっている。
・感情のレイヤーが幾層も重なっている。役者経験はほとんどないけど、演者的にはやりがいがありそうなのはわかる。
・一春さんが軽い失言をして表情だけで謝る雰囲気になっているところ好き。
・三回見るとあまり気にならなくなるけど、死刑執行の後押しになりかねない執行日の任意指定とその期限の設定、両親や配偶者の精神的負担が厳しそうな同意が必要という制度にはやっぱり納得できていない。
・張りつめた空気のまま終幕すると、余韻もそこそこにパーティーモードに切り替わる。
・明逸人さんは、終演後の言動のほうがより演技感強めになっていてちょっと不思議。
・だいぶん駆け足気味のツアー報告動画、突貫工事気味ながらテンションで乗り切る漫才コーナー。
・そして、さっきまで死刑囚をやっていた飛世早哉香さんが微笑亭乙姫として演じる落語『鈴ヶ森』。
・二人芝居のあとに落語を一席。スタミナと温度差がすごい。
・落語では演劇家族スイートホームの本庄一登くんがいじられていた。おいしいということでいいんだと思う。
(あけぼのアート&コミュニティーセンター 中ホール)
※今はWEBで読める戯曲が増えているので助かる。→戯曲アーカイブ 刈馬カオス『異邦人の庭』