EG02、EG03、EG10、EG11、EG12、EG13、EG14、EG15と続いてきた品詞シリーズ。今回、「接続詞」を扱います。以下、見ましょう。
(1)John and Mary play tennis. (ジョンとメアリーがテニスをする。)
(2)John or Mary plays tennis. (ジョン、または、メアリーがテニスをする。)
(1)の‘and’や、(2)の‘or’が接続詞です。接続詞は、文字通り、あるものと他のものを接続するのが、その機能ですから、(1)や(2)の例を見る限り、簡単と言えば、簡単です。ただ、注意点として、英語では、主語と動詞の関係で、動詞の方に、「三人称・単数・現在」という概念によって、語尾に‘-s’を付けることが約束になっていますから、その点、気をつけておけば、OKです。
(1)の‘and’では、ジョンとメアリーを足し合わせて、合計2人と見なし、「複数」ですから、‘play’に‘-s’は付きません。しかし、一方、(2)では、ジョンとメアリーを足し合わせるようなことはせず、2人のうち、どちらかがテニスをする、という解釈ですから、結局、テニスをするのは、1人ということになり、「単数」ですから、‘play’に‘-s’が付きます。
しかし、このような意味の取り方という違いはあっても、前後のものを接続する、という仕事自体に関しては、‘and’も‘or’も、同じはたらきをしているわけですから、その点、接続詞という品詞は単純であり、扱いやすい印象があります。
(3)John and Tom and Mary play tennis. (ジョンと、トムと、メアリーがテニスをする。)
(4)John or Tom or Mary plays tennis. (ジョンか、トムか、メアリーがテニスをする。)
(3)や(4)のように、‘and’や‘or’は、いくつもの接続が可能です。‘A and B and C’「A と B と C」や、‘A or B or C’「A か B か C」というように、‘and’や‘or’は、それぞれ、接続されるものの間に、はさんで使うことができます。そして、基本的には、いくつのものを接続しようとも、その数には、制限がありません。
(5)John and Tom and Jack and Mary and Lucy and Susan play tennis.
(ジョンと、トムと、ジャックと、メアリーと、ルーシーと、スーザンがテニスをする。)
(6)John or Tom or Jack or Mary or Lucy or Susan plays tennis.
(ジョンか、トムか、ジャックか、メアリーか、ルーシーか、スーザンがテニスをする。)
というわけで、接続詞‘and’や‘or’は、かなり使いやすい印象がありますが、しかし、(3)~(6)のような使い方は、実際には、ほとんどないと言ってもよく、例え、いくつもの接続がなされたとしても、接続詞は1つだけで済ませるケースが大半です。
(7)John、Tom and Mary play tennis. (訳同(3))
(8)John、Tom or Mary plays tennis. (訳同(4))
(9)John、Tom、Jack、Mary、Lucy and Susan play tennis. (訳同(5))
(10)John、Tom、Jack、Mary、Lucy or Susan plays tennis (訳同(6))
(7)~(10)では、接続されるものが、いくつであっても、‘and’や‘or’は、1つだけで済ませています。発音の仕方もクセがあって、‘and’や‘or’の前にある、それぞれの語句は、1つ1つ上昇調イントネーションで発音され、最後の語句のみ、下降調イントネーションになります。
ところで、(7)~(10)のように、‘and’や‘or’を、1つだけで済ませる接続のやり方には、必ず、守らなければならないルールがあって、常に、最後に接続されるものの直前でのみ、‘and’や‘or’を使うことになっています。
つまり、‘A and B and C and D and E and F’「A と B と C と D と E と F」や、‘A or B or C or D or E or F’「A か B か C か D か E か F」は、それぞれ、‘A、B、C、D、E and F’や、‘A、B、C、D、E or F’、というように、最後の接続詞を残して、残りは全て消去してしまうのがルールになっているということですね。しかし、一見、このルールが破られているかのように見えるケースも存在します。
(11)John、Tom、and Jack and Mary、Lucy and Susan are two big trio singers.
(ジョンとトムとジャック、そして、メアリーとルーシーとスーザンが、2大トリオ歌手だ。)
(11)では、6つのもの (6人) に対して、‘and’が3つ使われていて、パッと見た感じ、‘and’がデタラメに使われているように見えますが、実は、そうではなく、‘John、Tom and Jack’と‘Mary、Lucy and Susan’の3人ずつの組み合わせが、それぞれ1つのまとまりとなって、2組に分かれていることを示しています。
ですので、前半の組である‘John、Tom and Jack’というまとまり自体は、最後の接続詞のみを残すという、ルールに従って接続されていますし、一方、後半の組である‘Mary、Lucy and Susan’というまとまり自体も、同様に、最後の接続詞のみを残すという、ルールに従って接続されています。
そこで、「‘John、Tom and Jack’= X」と、「‘Mary、Lucy and Susan’= Y」が、最終的に、「X and Y」のカタチで接続されていると見なすことによって、結果的に、(11)のような接続方法は、ルール違反ではない、ということになります。では、以下、(11)の接続関係を、カッコでくくって示します。
(12)((A、B and C) and (D、E and F))
つまり、接続の方法として、(1)~(10)のように、並列的に横並びのものを単純につないでいる場合は、最後に接続されるものの直前でのみ接続詞が使われるので簡単ですが、一方、そうなっていない場合は、接続の仕方が、言わば、階層的になっているのではないか、と疑ってみる必要がある、ということですね。
こういったことをトータルで踏まえた上で、なぜ、(3)~(6)のように、「A 接続詞 B 接続詞 C ・・・」といった、逐一、接続詞を間にはさむやり方が、あまり好まれないのか、ということを考えてみた場合、ある1つの理由が明らかになります。
(13)John and Tom and Jack and Mary and Lucy and Susan are two big trio singers.
(訳同(11))
つまり、(13)のような例をみたときに、一発で、(11)のような解釈が保証されないということなのです。確かに、(13)を見る限り、一体、誰と誰の組み合わせで、2組の大物トリオ歌手になるのかが、さっぱりわかりません。ですので、特に理由もなく、最後に接続されるものの直前でのみ接続詞が使われる、といった簡略式のルールが定着しているわけではないのです。
今回のポイントは、品詞の中の接続詞というものが、どのような使われ方をするのか、ということです。接続詞は、その名のとおり、あるものとあるものを接続するのが、その役割なので、単純明快であり、とても使いやすい印象がありますが、その使用法には、意外なコツがあるのがわかったと思います。
今回の(11)のような例は、あまり、頻繁にお目にかかれるものではありませんが、しかし、使うべきときには、やはり、使わなければならない表現方法であり、特に、(9)と(11)の間に、明確な解釈の差があるという事実は、単純な‘and’のような接続詞にすら、割と厳密なルールが存在しており、その使用法によって複雑な解釈を可能にしているという、効率性です。
日本語の場合、「~ と」、「そして」、「~ か」、「~ または」のように、‘and’や‘or’に対する語彙が、割と豊富にあるので、それを上手く使い分けていれば、解釈が複雑になることは、まずないのですが、一方、英語の場合、‘and’や‘or’だけで、複雑な解釈を、ヤリクリしなければなりません。
そこで、英語は、今回示したようなルールを設定して、その解釈を明確にするという手段をあみ出した、というわけですね。しかし、わかりやすさ、という点からは、ハッキリ言えば、語彙の豊富な日本語の方が優れているんですけど、そういった語彙依存型の人種である日本人には、やはり、慣れるのがちょっと大変な解釈方法ですね。
接続詞は、また次回、続きをやりたいと思います。
■注 :英語の接続詞は、種類分けがあり、今回、扱った‘and’や、‘or’は、文法的には、「等位接続詞」と呼ばれています。等位接続詞の他には、「従属接続詞」と呼ばれるものがあります。
●関連: EG02、EG03、EG10、EG11、EG12、EG13、EG14、EG15
★みんなの英会話奮闘記★ ★英語・人気blogランキング★
(1)John and Mary play tennis. (ジョンとメアリーがテニスをする。)
(2)John or Mary plays tennis. (ジョン、または、メアリーがテニスをする。)
(1)の‘and’や、(2)の‘or’が接続詞です。接続詞は、文字通り、あるものと他のものを接続するのが、その機能ですから、(1)や(2)の例を見る限り、簡単と言えば、簡単です。ただ、注意点として、英語では、主語と動詞の関係で、動詞の方に、「三人称・単数・現在」という概念によって、語尾に‘-s’を付けることが約束になっていますから、その点、気をつけておけば、OKです。
(1)の‘and’では、ジョンとメアリーを足し合わせて、合計2人と見なし、「複数」ですから、‘play’に‘-s’は付きません。しかし、一方、(2)では、ジョンとメアリーを足し合わせるようなことはせず、2人のうち、どちらかがテニスをする、という解釈ですから、結局、テニスをするのは、1人ということになり、「単数」ですから、‘play’に‘-s’が付きます。
しかし、このような意味の取り方という違いはあっても、前後のものを接続する、という仕事自体に関しては、‘and’も‘or’も、同じはたらきをしているわけですから、その点、接続詞という品詞は単純であり、扱いやすい印象があります。
(3)John and Tom and Mary play tennis. (ジョンと、トムと、メアリーがテニスをする。)
(4)John or Tom or Mary plays tennis. (ジョンか、トムか、メアリーがテニスをする。)
(3)や(4)のように、‘and’や‘or’は、いくつもの接続が可能です。‘A and B and C’「A と B と C」や、‘A or B or C’「A か B か C」というように、‘and’や‘or’は、それぞれ、接続されるものの間に、はさんで使うことができます。そして、基本的には、いくつのものを接続しようとも、その数には、制限がありません。
(5)John and Tom and Jack and Mary and Lucy and Susan play tennis.
(ジョンと、トムと、ジャックと、メアリーと、ルーシーと、スーザンがテニスをする。)
(6)John or Tom or Jack or Mary or Lucy or Susan plays tennis.
(ジョンか、トムか、ジャックか、メアリーか、ルーシーか、スーザンがテニスをする。)
というわけで、接続詞‘and’や‘or’は、かなり使いやすい印象がありますが、しかし、(3)~(6)のような使い方は、実際には、ほとんどないと言ってもよく、例え、いくつもの接続がなされたとしても、接続詞は1つだけで済ませるケースが大半です。
(7)John、Tom and Mary play tennis. (訳同(3))
(8)John、Tom or Mary plays tennis. (訳同(4))
(9)John、Tom、Jack、Mary、Lucy and Susan play tennis. (訳同(5))
(10)John、Tom、Jack、Mary、Lucy or Susan plays tennis (訳同(6))
(7)~(10)では、接続されるものが、いくつであっても、‘and’や‘or’は、1つだけで済ませています。発音の仕方もクセがあって、‘and’や‘or’の前にある、それぞれの語句は、1つ1つ上昇調イントネーションで発音され、最後の語句のみ、下降調イントネーションになります。
ところで、(7)~(10)のように、‘and’や‘or’を、1つだけで済ませる接続のやり方には、必ず、守らなければならないルールがあって、常に、最後に接続されるものの直前でのみ、‘and’や‘or’を使うことになっています。
つまり、‘A and B and C and D and E and F’「A と B と C と D と E と F」や、‘A or B or C or D or E or F’「A か B か C か D か E か F」は、それぞれ、‘A、B、C、D、E and F’や、‘A、B、C、D、E or F’、というように、最後の接続詞を残して、残りは全て消去してしまうのがルールになっているということですね。しかし、一見、このルールが破られているかのように見えるケースも存在します。
(11)John、Tom、and Jack and Mary、Lucy and Susan are two big trio singers.
(ジョンとトムとジャック、そして、メアリーとルーシーとスーザンが、2大トリオ歌手だ。)
(11)では、6つのもの (6人) に対して、‘and’が3つ使われていて、パッと見た感じ、‘and’がデタラメに使われているように見えますが、実は、そうではなく、‘John、Tom and Jack’と‘Mary、Lucy and Susan’の3人ずつの組み合わせが、それぞれ1つのまとまりとなって、2組に分かれていることを示しています。
ですので、前半の組である‘John、Tom and Jack’というまとまり自体は、最後の接続詞のみを残すという、ルールに従って接続されていますし、一方、後半の組である‘Mary、Lucy and Susan’というまとまり自体も、同様に、最後の接続詞のみを残すという、ルールに従って接続されています。
そこで、「‘John、Tom and Jack’= X」と、「‘Mary、Lucy and Susan’= Y」が、最終的に、「X and Y」のカタチで接続されていると見なすことによって、結果的に、(11)のような接続方法は、ルール違反ではない、ということになります。では、以下、(11)の接続関係を、カッコでくくって示します。
(12)((A、B and C) and (D、E and F))
つまり、接続の方法として、(1)~(10)のように、並列的に横並びのものを単純につないでいる場合は、最後に接続されるものの直前でのみ接続詞が使われるので簡単ですが、一方、そうなっていない場合は、接続の仕方が、言わば、階層的になっているのではないか、と疑ってみる必要がある、ということですね。
こういったことをトータルで踏まえた上で、なぜ、(3)~(6)のように、「A 接続詞 B 接続詞 C ・・・」といった、逐一、接続詞を間にはさむやり方が、あまり好まれないのか、ということを考えてみた場合、ある1つの理由が明らかになります。
(13)John and Tom and Jack and Mary and Lucy and Susan are two big trio singers.
(訳同(11))
つまり、(13)のような例をみたときに、一発で、(11)のような解釈が保証されないということなのです。確かに、(13)を見る限り、一体、誰と誰の組み合わせで、2組の大物トリオ歌手になるのかが、さっぱりわかりません。ですので、特に理由もなく、最後に接続されるものの直前でのみ接続詞が使われる、といった簡略式のルールが定着しているわけではないのです。
今回のポイントは、品詞の中の接続詞というものが、どのような使われ方をするのか、ということです。接続詞は、その名のとおり、あるものとあるものを接続するのが、その役割なので、単純明快であり、とても使いやすい印象がありますが、その使用法には、意外なコツがあるのがわかったと思います。
今回の(11)のような例は、あまり、頻繁にお目にかかれるものではありませんが、しかし、使うべきときには、やはり、使わなければならない表現方法であり、特に、(9)と(11)の間に、明確な解釈の差があるという事実は、単純な‘and’のような接続詞にすら、割と厳密なルールが存在しており、その使用法によって複雑な解釈を可能にしているという、効率性です。
日本語の場合、「~ と」、「そして」、「~ か」、「~ または」のように、‘and’や‘or’に対する語彙が、割と豊富にあるので、それを上手く使い分けていれば、解釈が複雑になることは、まずないのですが、一方、英語の場合、‘and’や‘or’だけで、複雑な解釈を、ヤリクリしなければなりません。
そこで、英語は、今回示したようなルールを設定して、その解釈を明確にするという手段をあみ出した、というわけですね。しかし、わかりやすさ、という点からは、ハッキリ言えば、語彙の豊富な日本語の方が優れているんですけど、そういった語彙依存型の人種である日本人には、やはり、慣れるのがちょっと大変な解釈方法ですね。
接続詞は、また次回、続きをやりたいと思います。
■注 :英語の接続詞は、種類分けがあり、今回、扱った‘and’や、‘or’は、文法的には、「等位接続詞」と呼ばれています。等位接続詞の他には、「従属接続詞」と呼ばれるものがあります。
●関連: EG02、EG03、EG10、EG11、EG12、EG13、EG14、EG15
★みんなの英会話奮闘記★ ★英語・人気blogランキング★
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます