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英語学習法(11)

2004年12月11日 | 品詞
EG02、EG03、EG10に続いて、英語の品詞です。「冠詞」と呼ばれるものについてです。以下、見ましょう。

(1)a pen (ペン (1本))
(2)an apple (リンゴ (1個))
(3)the car (そのクルマ (1台))

(1)~(3)のそれぞれの名詞‘pen’「ペン」、‘apple’「リンゴ」、‘car’「クルマ」の前に付いている、‘a’、‘an’、‘the’は、全て、「冠詞」という品詞分類を受けているものです。冠詞は日本語の品詞に存在しない、英語独特の品詞です。その単語数としては、英語の品詞全般で最小であり、(1)~(3)であげた3つが全てですので、もう他には、冠詞と名のつく単語はありません。

しかも、(1)の‘a’と、(2)の‘an’に関しては、ただ発音上、直後の単語が、母音か子音かで、どちらかが選ばれるだけで、単なる語形変化として見なされています。ですので、それを考慮すれば、実質的には、(1)の‘a’と(2)の‘an’は、1つの単語と見なしても全く問題はなく、結局、冠詞はたったの2つしかない、ということになります。

そして、冠詞は、原則として名詞につく、というルールがありますので、まずは、名詞なしには存在し得ないと記憶しておいてもかまわないでしょう。ところで、冠詞は、(1)の‘a’や、(2)の‘an’ を、「不定冠詞」と呼び、一方、(3)の‘the’を、「定冠詞」と呼びます。

「不定」と「定」の概念は、何かとややこしいのですが、大ざっぱに分けて考えると、あるグループから、任意に選ばれたものが「不定」で、一方、指定を受けて選ばれたものが「定」、というような違いがあります。「不定」の場合、「ある ~」と表現され、一方、「定」の場合、「その ~」と表現される、と言えば、わかりやすいと思います。 (詳しくは、EG72、EG73、参照。)

ですので、(1)は、ペンというグループの中で、とにかく、「ある1本のペン」、(2)は、リンゴというグループの中で、とにかく、「ある1個のリンゴ」であり、指定されていない、ということになります。一方、(3)は、クルマというグループの中で、予め、「その1台のクルマ」という、指定を受けていることになります。

(4)a stylish wooden chair (おしゃれな木製のイス)
(5)the big useless PC (その大きくて役立たずのパソコン)

ところで、冠詞は、語順という視点から考えると、その用法は、極めて単純なので、その点、扱いやすい品詞であると言えます。まず、名詞につく際は、原則的に、その最先頭につきます。(4)や(5)の例では、形容詞が付いている名詞のさらに前に、それぞれの冠詞がついています。

つまり、冠詞は、名詞の最先頭につく、というルールさえ知っていれば、様々な表現がくっついて、どんなに名詞が長くなっても、冠詞をどこに入れるか、などと迷うことはありません。これを言いかえれば、冠詞から始まって、名詞で終わる場合、そのカタチは、ある1つのカタマリとなっていると見なすことができます。

(6)John is an only child. (ジョンは、1人っ子だ。)
(7)John is only a child. (ジョンは、ほんの子供だ。)

(6)は、冠詞‘a’と‘child’「子供」の間に、‘only’がはさまっていますから、‘an only child’全体で、1つのカタマリと見なし、「唯一の子供 → 1人っ子」と解釈します。一方、(7)は、‘a chlid’が、1つのカタマリではあっても、‘only’は、その外にあると見なし、「たかが、ほんの」という意味の程度表現にとらえて、‘a chlid’という1つカタマリを、程度評価している、と解釈します。

ここで、不定冠詞‘a’と定冠詞‘the’の役割に関する注意点ですが、どちらも同じ冠詞という枠でくくられているからと言って、全ての側面において対極的な位置にある、と考えるとマズい場合があります。

(8) a. a table (〇) (テーブル (単数))
   b. a tables (×) (訳同上 (複数))

(9) a. the table (〇) (そのテーブル (単数))
   b. the tables (〇) (訳同上 (複数))

(8a)は、不定冠詞‘a’と単数形‘table’の組み合わせがOKで、一方、(8b)は、不定冠詞‘a’と複数形‘tables’の組み合わせがアウトです。これは、一見、当たり前で簡単なことですが、重要なのは、一方、(9a-b)の定冠詞‘the’によるペアが、単数‘table’と複数‘tables’で、両方ともOKであり、結果的に、(8a-b)と(9a-b)の可否が、並行的ではないというコントラストです。

これは、不定冠詞には、「不定」という概念以外に、「単数・複数」の区別という、もう1つ別の概念が含まれているのに対し、一方、定冠詞には、「定」という概念はあるが、「単数・複数」の区別という、もう1つ別の概念は含まれていない、ということによるものです。

つまり、冠詞は、その名前こそ、「不定冠詞・定冠詞」などと呼んで区別されているのですが、実際は、「単数・複数」の区別をもつか否か、という全く別の問題にも支配されている品詞なんですね。ですので、冠詞は、本来、「定・不定」という観点からは、対極的な位置付けにある、と言ってもよいのですが、一方、「単数・複数」の区別に関しては、一方にはあるが、他方にはない、としか言えません。

そこで、結果的に、定冠詞は、「定・不定」の区別のみを見ていればよい冠詞であるのに対し、一方、不定冠詞の方は、「定・不定」以外に、「単数・複数」の区別という、別の仕事もやらなければならないので、その点、定冠詞よりも仕事量が多い冠詞、ということになります。

(10)tables (テーブル (複数))

そして、不定冠詞は、単数形にのみ付き、複数形に付いてはならない、といった、「単数・複数」の区別があるように、「定・不定」の区別とは、別の仕事もやらなければならない関係上、その不定冠詞という名前の割には、(10)の‘tables’のように、まさに不定である複数形の名詞に付くことができない、(だから、(8b)がアウトになる) という変な矛盾もかかえてしまっているわけです。

今回のポイントは、日本語にはない品詞である、「冠詞」の概要です。冠詞は、不定冠詞と定冠詞の2タイプしか存在せず、その名のとおり、意味的には、「定・不定」の区別をする役割を担っています。そして、語順という点からは、お互いに、全く同様の振る舞い方をするので、これらの点からは、とてもスッキリとした見通しのよい品詞と言えるのですが、その一方で、混乱の原因となっている要素もあります。

それは、一般に、不定冠詞における、「単数・複数」の区別をする仕事に関しては、「定・不定」とは全く別の概念であると強調して解説されることがほとんどない、ということです。このため、「定冠詞・不定冠詞」の名前の由来が、共に「単数・複数」の概念と何らかの関係をもっているのであろう、と誤解されたり、「単数・複数」の概念を、不定冠詞に特有の付随概念とは見なさず、なぜか、定冠詞までも含めて論じるといった、変な説明がなされるフシが多く見られます。

ですので、「定冠詞」と「不定冠詞」の名前の由来における正しい理解は、ただ単に、「定・不定」の概念において、対極を成すから、というだけのものであって、あくまで、「単数・複数」の概念については、別個のものと考え、不定冠詞のみにおける付随的な仕事である、と理解するべきなのです。

なお、今回は、冠詞という品詞の紹介ですので、大ざっぱにしか扱っていませんが、「定・不定」の概念は、別の機会に詳しく扱いたいと思いますので、そのときまで。

■注 :冠詞における語順の例外は、‘how’、‘too’、‘so’、‘as’の4つの単語のうち、いずれかが絡んだ際に起こります。例えば、‘John is too busy a worker.’「ジョンは忙しく働き過ぎだな」、という文では、‘too’があるために、本来の語順‘a busy worker’に、例外的な変更が起こっています。

●関連: EG02EG03EG10EG72EG73

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