D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

The Book Of Taliesyn('68)/Deep Purple

2012-05-02 09:41:00 | zep purple-connection
邦題”詩人タリエシンの世界”


・・速くも5月ですね。
このGWは、例年のように旅にも出られず、もっぱら自宅周辺でゴソゴソ過ごしておりまする。

先日、友人を伴い神戸市内の中古盤屋めぐりを楽しんできました。
店舗の絶対数は、残念ながら少ないのですが、意外に掘り出し物があって、中々大変な思いをした訳です。
少し前なら迷わず手当たり次第買ってたでしょうが、ここもと考えるところも多く、セーヴするのが非常に辛ろう御座いました。
そんな中で、図らずも手に入れたこの作品、Deep Purpleの2nd作”The Book Of Taliesyn”・・紙ジャケ盤で御座います。
本命の”3”は無かったのですが、手に取った瞬間にレジに向かってました・・セーヴも限界。

DPとしては第1期の面子となりますが、聴いてみて、確かに彼ららしい音じゃないかと感じました。
カッチリした中にも自由な雰囲気が濃いのは、ひとえにリッチーのもがくようなギターが主張しまくってるからじゃないかな。
ソロを聴いてると、凄く窮屈そうに感じられるんですよね。
でも、バッキングについては、どの曲でもしっかりと弾いてる訳で、単に拗ねてるんじゃなくて意図して弾いてることが伺えます。
やる気満々みたいな。
タイトルから想像されるアートロック的な雰囲気は薄く、むしろプログレハードの走りみたいな感じかも。
・・まさにハードロック誕生前夜的な匂いがプンプンしてますね。

personnel:
Ritchie Blackmore(g)
Rod Evans(vo)
Ian Paice(d)
Nick Simper(b,cho)
Jon Lord(kb,cho)

ロッド・エヴァンスのヴォーカルは実に安定してて、シャウトはないけど王道の風格さえ感じられます。
イアン・ペイスのドラムも、ジャズ的なアプローチを織り交ぜ、方向性としての手法はここで既に出来上がってますよね。
そして、本作の主役は、やはりジョン・ロードってことになりましょうか。
この人のアプローチは、なぜかクラシカルなイメージが強く、必死で演ってると思われるジャズ的要素が、意外なほど希薄に感じられます。
・・”ブルーズ・ラヴ”てのは凄く感じるんですがね。
でね、動画観てたら、既にMade in Japanのようなインプロ合戦を繰り広げていたりするんですね。
ジャズロックにも憧れてたのかしら・・あ、リッチーの強要か?

tracks:
1.Listen,Learn,Read On
2.Hard Road(Wring That Neck)(inst.)
3.Kentucky Woman
4.(a)Exposition(inst.)
 (b)We Can Work It Out ”恋を抱きしめよう”
5.The Shield
6.Anthem ”聖なる歌”
7.River Deep, Mountain High

この作品では、カヴァーが3曲あって、#3がNeil Diamond、#4(b)がThe Beatles、#7がIke&Tina Turnerらの曲となってます。
この辺のチョイスからも、やっぱUS進出を視野に入れたような意図も垣間見られ、実際USでの知名度の方がUKより先行してたようですしね。
いまいちポップになりきれないロードと、活きの良いロックの有り様を模索してたリッチーと、ソウル最高!みたいなスタンスのエヴァンス、といった各々の立ち居地の違いが一体となって、実に妙な纏まりを見せていた、てのが実際のところじゃないでしょうかネ。
・・あ、この辺は完全に個人的な妄想ですが。

で、インプレ編、行きます。

まず、冒頭のこれ“Listen,Learn,Read On”。
古の吟遊詩人タリエシンを題材としたこの曲が、そのまま作品タイトルへ繋がっているという構図のようです。
深いヴォーカルエコー等の効果が時代を感じさせますが、充分カッチョエエやないですか。
エヴァンスの落ち着きすぎた歌いまわしがもう少し熱さを孕んでいればなぁ・・なんて。
Deep Purple - Listen, Learn, Read On


多分、この面子でのライヴ映像じゃないのかな、これ。
ジャズフェスでの貴重な記録となってる“Hard Road(Wring That Neck)”の熱演。
リッチーの凄いソロや、途中で止め多分掛け合いを要求してた、といったようなハプニングなど、なかなか見ごたえがあります。
Deep Purple - "Wring That Neck" (Live at the Bilzen Jazz Festival 1969)


この作品の中でも、精神性を感じさせる曲があって、それがこれ“The Shield”。
何といってもリッチーのギターが白眉なんですが、Gソロバック等のコンガも結構ナイス。
・・誰が叩いてんでしょうね?
Deep Purple-The Shield


で、締めはこの曲“River Deep, Mountain High”。
今から思えば、R&B的要素ってのはこの曲のように、作品中あちこちに散りばめられていたんですね。
それにも増して、エヴァンスのソウルフルな歌い回し自体が、そんなスタイルにフィットしすぎてたのかもしれません。
Deep Purple - River Deep, Mountain High (Ike & Tina Turner cover)


このほか、“Kentucky Woman”も王道で良い感じだし、1st作でもチョイスしてたThe Beatlesのカバー第2弾“恋を抱きしめよう”てのも、実に面白いアレンジですね。
あのリッチーが、ちゃんと弾いてるのが凄く印象的です。
基本、彼は凄く真面目に取り組んでいることが、本作の全篇を通じて感じられます。
唯一、ソロになった場面での“はみ出し感”てのが尋常じゃないあたり、“こんなんちゃうねん!”てな試行錯誤の跡も伺える訳で。
この辺からも、やはりギランとの邂逅がやはり必然であったのかと、これを聴いて切に感じました。

・・良い作品です。


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2 コメント

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実は (sorapapa)
2012-05-07 23:22:53
かなりこのアルバム大好きなんですねえ。
サイケながらクラシカル。
痺れますねえ。
M2、4、6、、、
聴きまくりました(笑)
それと、ケンタッキーの女のソロはキテますね。ヘンテコリン過ぎて。
ローリーも大絶賛のこの作品。
キッズにも聴いてほしいな。
無理ですな、きっと(苦笑)
sorapapa様 (elmar35)
2012-05-10 17:58:19
どもども♪
>ローリーも大絶賛・・
コアですねェ~。(笑)
この辺すこっと聴いてなかったんで追々試そうと思ってます。
・・ガキンチョでも意外に聴いてるやつおりまっせ。(笑)