Manaboo 電子政府・電子申請コラム 

電子政府コンサルタントの牟田学が、電子政府・電子申請、その他もろもろ、気まぐれにコメントしてます。

電子申請は確実にコスト高をもたらす、出口戦略と適切な効果試算が必要

2010年01月06日 | 電子政府
電子申請の現在と未来のおまけ、電子申請のコストについて、少し補足しておきましょう。


まず、電子申請の費用が下がったのは、デフレでも何でもなくて、普通の価格適正化です。

家庭用の薄型テレビが100万円、200万円では、やはり高い。10万円、20万円となって、初めて普及が進むのと同じようなものですね。

では、10万円になったら薄型テレビを買うのが良いかと言えば、そうでもありません。

パソコンがあれば、「テレビは不要」という選択肢もあるからです。

そういう視点で、電子申請も考えた方が良いと思います。


●電子申請は、確実にコスト高をもたらす

そもそも、電子申請は、確実にコスト高をもたらします。

関連>>電子申請は本当にコスト高をもたらすのか?:ITpro

紙の処理に加えて、電子用の受付システムを作って処理するのですから、お金もかかるし、職員の仕事も増えます。

ですから、出口戦略(撤退を含む)を考えておかないと、コスト高が続くことになります。

そうしたコストを考慮して、それに見合った効果が見込める場合に限って、電子申請の導入は許されるのです。

ところが、そうした試算をしないまま、国が地方自治体に対して「公的個人認証対応の電子申請システムを構築せよ」と促して(つい最近まで)、多くの電子申請システムが作られました。そして、今になってようやく廃止です。

例えば、電子自治体の先進と言われてきた横須賀市は、公的個人認証対応の電子申請を導入していません。

参考>>横須賀市の電子手続き

投資効果を上げたいのであれば、国民の行動に関係なく効果が見込めるものへ、優先的に投資することです。業務やデータの標準化、バックオフィスの連携など。納税と社会保障の番号統一も、その一例ですね。


また、政府が提示する電子政府や電子申請の効果試算も、甘すぎるので要注意です。

例えば、事業仕分けで止められた電子私書箱は、利用率70%(利用者8000万人?)ぐらいを前提に効果試算していますので、ほとんど詐欺みたいなものです。こういうのは止めた方が良いです。

関連ブログ>>「国民電子私書箱」構想の課題、まずは100万ユーザーを目指せ

今後の電子政府・電子申請では、「事前に止める仕組み」が必須ですね。


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