旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

ニュースショー

2007年11月01日 | 時事
子供の頃、テレビのニュースというと、アナウンサーが感情の無い声で淡々と原稿を読み上げるものであって、感情と本能で生きている子供だった私にとっては、どうして大人はこんな面白くもない番組を見るのか不思議でならなかったものです。もちろん、ほとんどが文字で埋められた新聞についても同じ事を感じていました。

最近、そんな事を思い出しました。というのも、最近のニュース番組は視聴者に特定の感情的反応を強要しようという意図が全面に出ていて、正直、うるさく感じるからです。番組によってはゲストとして呼んだコメンテイターの発言すら誘導しようとしたり、あるいは番組の意図に合うように敢えて曲解してキャスターが紹介してみたり、ひどいものもあります。

そんな事を考えているうち、子供の頃の淡々と原稿を読みあげられたニュースを懐しく思いもしましたし、もう1つ、ラジオからテレビというメディアに切り変わる時、新しいメディアの扱い方がいまひとつ分からずに、カメラの前にアナウンサーを立たせて、ただ原稿を読み上げさせた、ラジオ的な使い方しかできなかった時代があったという話を思い出しもしました。

そういう意味ではテレビというメディアも成熟し、いかに視聴者の感情に訴えかけ、コントロールするかという技術も進歩したという事でしょうか。しかし、メディアが視聴者をコントロールできるようになってきたとしたら恐い事でもありますね。

たとえば、日本の首相が誰になるかなんて事に皆がそれほど関心を示さなければならない事でしょうか。誰がなろうと、自分たちには本心、あまり関係ないと思っていながら、何となくどこかから仕入れてきた反応の仕方をしているだけなら、むしろ、"自分はあまり関心が無い"という反応をする方が、まともな反応だと思いますし、世の中の出来事の中で自分が関心を持っている事に対しては人に反応のし方を教えてもらわなくても反応できるものであるはずです。反応のし方まで教えてくれるニュースショーは、たいていの人にとって大きなお世話だと思うのです。

それでも、ニュースだけでなく反応のしかたまで指導してくれる、親切なニュースショーが増えているという事はそういうニュースショーを視聴者も求めているという事であって、ある出来事についての事実と同時にそれに対してどう反応するかまで教えてもらいたい人が世の中には沢山いるという事と、実際にはたいていの人は興味や関心が無いという事を物語っているのかもしれません。


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