TBSラジオ 荻上チキのセッション22で、ヤングケアラーについて特集していた。番組では、成蹊大学准教授澁谷智子女史が招かれ、調査研究等から得られたものを荻上チキが質問し、女史がそれに答える形で、話が進められ、また、番組に寄せられたヤングケアラーの体験談や意見等が紹介されていた。
ヤングケアラーとは、18歳未満で家族の介護をしている人を指す言葉で、まあ、そういう人たちがいることは誰でも知っている。しかし、その実態と問題点についてはまだほとんど知られていない。ヤングケアラーという言葉ができ、ようやく細々ではあるが、調査と実態把握が始まった段階だという。小学生や中学生で、親が病気になったり、祖父母が高齢化したりで、家事や介護をせざるを得なくなった子供たち、成長期にあるだけに、深刻な問題を抱えている。学業に影響が出たり、就職等に影響が出て、社会との接触は狭まり、また、相談する相手がなく、一人悩みを抱えたり、そこに生じて来る問題は様々だ。ヤングケアラーだった人の体験談や意見等では、介護に携わっている間、意識も生活も介護に集中し、狭まり、追い詰められていく様が如実に表現されていた。
介護の問題は老若男女を問わず、介護に携わる人に多大な負担を強いられる。老々介護の問題がしばしば社会問題として取り上げられているが、しかし、若ければ若いほどその後に与える影響も大きく、深刻である。社会から離脱していた期間が長ければ長いほど、社会復帰は困難さを増すと言えよう。
私も妻を介護していて、現在、そのために多少不自由な面があって、不満に思っていたが、私の場合、定年後に介護が始まり、経済的に見て、十分ではないにしても、これからの生活もやていけるだろうという見通しも立つ。もし、私が若く、就労すべき年齢であったら、介護のために離職してしまったら、収入はなくなり、その日の生活にも困窮するのは目に見え、将来への不安も加わって来るだろう。また、私がもっと高齢であったら、介護自体が困難になるのではないかという不安も生じて来る。まあ、そんなことを考えていくと、私は、割と恵まれた状況で介護にあたることができているのだと改めて気づいた次第だ。