<東京都庁にも黄金比が>
◆都庁にひそむ黄金比
【デザイナーの豆知識】01
21世紀は「デザインの時代」。そして、ものづくりが見直されている21世紀はまさに「工業デザイナーの時代」。工業デザイナーが元気になれば、日本も元気になる。
そういうわけで、これから、日本の若手(気持ちの若手も含めて)工業デザイナーを応援していきます。
毎週1回の更新で、デザイン書籍の紹介やデザインの豆知識やデザイナーの転職の心得などをお知らせしています。
質問がありましたら、いつでもコメントくださいね。コメントでの匿名の質問には無料でお答えいたします。具体的なご相談がありましたら、以下のアドレスまでメールください。
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■都庁にひそむ黄金比
先週、「黄金比はすべてを美しくするか?」という本の紹介をしました。【デザイナーの豆知識】の最初を飾るのに「黄金比」の話はふさわしいかと思い、今回は黄金比の薀蓄を書いてみようと思います。
実は、東京都庁舎にも、黄金比が隠れています。都庁の外観に黄金比があるわけではありません。都庁舎内部の天井高2250mmという寸法に黄金比が隠れています。
都庁舎をデザインした建築家丹下健三は、「丹下モデュロール」によって、天井高を2250mmにしました。丹下健三が決めた「モデュロール」だから、「丹下モデュロール」と言います。
では、「モデュロール」とは何か?
モデュロール(Modulor)はモジュール(Module)と黄金比(section dor)の合成語で建築家のル・コルビュジエが考案した言葉です。
コルビュジエは、人体の主要な特徴を基に「モデュロール」という独自の数列を作り出し、自らのデザインに適用しました。「モデュロール1」「モデュロール2」という本も執筆し、モデュロールによって、ドアノブのサイズから建築・都市空間に至るまで調和的な比が与えられると考えていました。
モデュロールはフランス人の人体の比に基づいており、コルビュジエは、フランス人男性の平均身長1829mmと、その男性が手を上げたときの床から指先までの2260mmを基準にした2つの数列を考案しました。
1つ目の数列は、1829mmを(床)から(へそ)までの1131mmと、(へそ)から(頭頂)までの698mmに分割します。
2つ目の数列は、2260mmを(頭頂)から(下ろした腕の指先)までの1397mmと、(下ろした腕の指先)から(床)までの863mmとに分割します。
すると、それぞれ数字の分割の比率 (1131/698)と(1397/863)は、どちらもほぼ黄金比になります。それらを順次、黄金比で分割していくことで、モデュロールの寸法体系はできあがっています。
2つのモデュロールはそれぞれ以下の通りです。
39, 63, 102, 165, 266, 432, 698, 1829
48, 78, 126, 204, 330, 534, 863, 2260(単位は㎜)
■丹下モデュロールの失敗?
都庁を設計した丹下健三は時代的にもコルビュジエに強い影響を受けていました。
黒川紀章が丹下事務所にいた頃、コルビュジエの書籍は奪い合いの状態ですべてのページが手垢で汚れていたそうです。
コルビュジエに影響を受けた丹下は、彼に倣い、日本人の体型に合わせて、独自のモデュロールを考案しました。そして、その「丹下モデュロール」を都庁の天井高に適用したのでした。
黒川紀章によると2250mmの天井高は、あまり評判が良くないそうですが、私も都庁を訪ねてみて、少し天井が低いという印象を受けました。
ご存知のように、天井高は徐々に高くなっており、最近では2400mm前後が一般的ですから、確かに天井高2250mmはちょっと低い。
黄金比を美しいというか、そうでないというかは、作り手であるデザイナーが自分で決めなくてはならない問題だと前回書きましたが、建築の天井高という具体的な寸法は、圧迫感という生理的な判断基準が入ってくるため、作り手のこだわりだけでは、すべての人の共鳴を得られるわけではないと言う実例になってしまったようです。
以前、別のブログで黄金分割や黄金長方形や白銀長方形の話をしてきました。
デザインに詳しくない中小企業の方向けの内容ですので、デザイナーには自明のことも多いと思いますが、よろしければ、覗いてみてください。
黄金比
黄金分割
黄金長方形の作図
黄金長方形にしておけば大丈夫
営業で使える黄金比
三分割法
フィボナッチ数
標準数
白銀比
白銀長方形の作図
正方形と整数分割
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◆都庁にひそむ黄金比
【デザイナーの豆知識】01
21世紀は「デザインの時代」。そして、ものづくりが見直されている21世紀はまさに「工業デザイナーの時代」。工業デザイナーが元気になれば、日本も元気になる。
そういうわけで、これから、日本の若手(気持ちの若手も含めて)工業デザイナーを応援していきます。
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■都庁にひそむ黄金比
先週、「黄金比はすべてを美しくするか?」という本の紹介をしました。【デザイナーの豆知識】の最初を飾るのに「黄金比」の話はふさわしいかと思い、今回は黄金比の薀蓄を書いてみようと思います。
実は、東京都庁舎にも、黄金比が隠れています。都庁の外観に黄金比があるわけではありません。都庁舎内部の天井高2250mmという寸法に黄金比が隠れています。
都庁舎をデザインした建築家丹下健三は、「丹下モデュロール」によって、天井高を2250mmにしました。丹下健三が決めた「モデュロール」だから、「丹下モデュロール」と言います。
では、「モデュロール」とは何か?
モデュロール(Modulor)はモジュール(Module)と黄金比(section dor)の合成語で建築家のル・コルビュジエが考案した言葉です。
コルビュジエは、人体の主要な特徴を基に「モデュロール」という独自の数列を作り出し、自らのデザインに適用しました。「モデュロール1」「モデュロール2」という本も執筆し、モデュロールによって、ドアノブのサイズから建築・都市空間に至るまで調和的な比が与えられると考えていました。
モデュロールはフランス人の人体の比に基づいており、コルビュジエは、フランス人男性の平均身長1829mmと、その男性が手を上げたときの床から指先までの2260mmを基準にした2つの数列を考案しました。
1つ目の数列は、1829mmを(床)から(へそ)までの1131mmと、(へそ)から(頭頂)までの698mmに分割します。
2つ目の数列は、2260mmを(頭頂)から(下ろした腕の指先)までの1397mmと、(下ろした腕の指先)から(床)までの863mmとに分割します。
すると、それぞれ数字の分割の比率 (1131/698)と(1397/863)は、どちらもほぼ黄金比になります。それらを順次、黄金比で分割していくことで、モデュロールの寸法体系はできあがっています。
2つのモデュロールはそれぞれ以下の通りです。
39, 63, 102, 165, 266, 432, 698, 1829
48, 78, 126, 204, 330, 534, 863, 2260(単位は㎜)
■丹下モデュロールの失敗?
都庁を設計した丹下健三は時代的にもコルビュジエに強い影響を受けていました。
黒川紀章が丹下事務所にいた頃、コルビュジエの書籍は奪い合いの状態ですべてのページが手垢で汚れていたそうです。
コルビュジエに影響を受けた丹下は、彼に倣い、日本人の体型に合わせて、独自のモデュロールを考案しました。そして、その「丹下モデュロール」を都庁の天井高に適用したのでした。
黒川紀章によると2250mmの天井高は、あまり評判が良くないそうですが、私も都庁を訪ねてみて、少し天井が低いという印象を受けました。
ご存知のように、天井高は徐々に高くなっており、最近では2400mm前後が一般的ですから、確かに天井高2250mmはちょっと低い。
黄金比を美しいというか、そうでないというかは、作り手であるデザイナーが自分で決めなくてはならない問題だと前回書きましたが、建築の天井高という具体的な寸法は、圧迫感という生理的な判断基準が入ってくるため、作り手のこだわりだけでは、すべての人の共鳴を得られるわけではないと言う実例になってしまったようです。
以前、別のブログで黄金分割や黄金長方形や白銀長方形の話をしてきました。
デザインに詳しくない中小企業の方向けの内容ですので、デザイナーには自明のことも多いと思いますが、よろしければ、覗いてみてください。
黄金比
黄金分割
黄金長方形の作図
黄金長方形にしておけば大丈夫
営業で使える黄金比
三分割法
フィボナッチ数
標準数
白銀比
白銀長方形の作図
正方形と整数分割
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