木全賢の工業デザイナー応援ブログ

これからは「デザインの時代」。デザイナーが元気になれば、日本も元気になる。日本の若手デザイナーを応援します。

アイデアをお蔵入りにしない方法

2009-07-13 12:44:12 | デザイナー応援ブログ



◆アイデアをお蔵入りにしない方法
【デザイナー応援】


 21世紀は「デザインの時代」。そして、ものづくりが見直されている21世紀はまさに「工業デザイナーの時代」。工業デザイナーが元気になれば、日本も元気になる。

 そういうわけで、これから、日本の若手(気持ちの若手も含めて)工業デザイナーを応援していきます。

 毎週1回の更新で、デザイン書籍の紹介やデザインの豆知識やデザイナーの転職の心得などをお知らせしています。

 質問がありましたら、いつでもコメントくださいね。コメントでの匿名の質問には無料でお答えいたします。具体的なご相談がありましたら、以下のアドレスまでメールください。

 designerouen★goo.jp (★を@にしてください)


アイデアをお蔵入りにしない方法

 知合いの若いデザイナーから、相談を受けました。相談者の許可を得て、ここで紹介します。

 この相談は、フリーのデザイナーなら遭遇する可能性が高いのではないかと思います。

 相談の概要は以下の通りです。


相談内容

 知人のデザイナーは、ある会社と年間契約を結んで、特定マーケットでの販売を目的に、商品開発およびデザイン提案を行いました。

 提案をした時点では、クライアントの社長は大変喜んで、すぐに製品化したい、発売したらデザインのロイヤリティも考えているといい、デザイナーは製品化がすぐ始まるだろうと考えていました。

 ところが、しばらくして、社長が他の製品開発に夢中になってしまい、知人のアイデアはほぼお蔵入りの状態になってしまいました。

 一般的に年間契約をして提案したアイデアを製品化するかどうかは、クライアントの判断ですが、今回のデザイナーの相談には、そこから先があります。

 デザイナーから提案したアイテムのなかで、数案は、いままでデザイナーが暖めていたアイデアでしたが、生産技術的に難易度が高く、他のクライアントに提案できないでいたアイデアでした。たまたま、今回のクライアントがその技術を持っていたために、提案したという経緯がありました。

 デザイナーとしては、クライアントに関らず、暖めていたアイデアを世の中に出したいと考えていました。その意味では、技術力のあるクライアントと出会えたのは幸運でした。

 ところが、最初は乗り気だったクライアントの社長が、他に目移りしてしまい、デザイナーのアイデアがお蔵入りになってしまいそうな状況になってしまいました。


問題点の整理

 以上の経緯で、知人のデザイナーからの相談は次のようなものでした。

 デザイナーとしては、「今まで大切に暖めてきたアイデアを製品化したい。」と言う想いがあり、今回それが難しい状況になり、どうすればいいか悩んでいるということでした。

 ずいぶん悩んでいるようでしたので、ゆっくり話を聞いて整理していきました。

 どうも、問題点は下の三つのようです。

 (1) 年間契約で、暖めていたアイデアを提案した。対価をもらっているので、製品化する権利はクライアントにあると考えている。

 (2) クライアントの社長が、提案当時はやる気があり製品化されると考えていたが、今はお蔵入りになっているように感じる。このままでは、大事なアイデアが製品化されなくなってしまう。

 (3) 年間契約料も払ってくれたし、製品化したらロイヤリティの話もしてくれており、社長自身は悪い人ではないので、今後も付き合いを続けたい。


第一の解決策

 一つずつ整理していきました。解決策は二つあるようです。

 (1) については、確かに、デザイン契約の下、デザイナーから提案されたアイデアの製品化権はクライアントに帰属します。

 しかし、同時にそれは外部のデザイナーにも帰属します。製品化に関しては同じ権利が両者に発生します。ただし、デザイナーとクライアントの権利で唯一違うのが、デザイナーだけに発生する「意匠登録を受ける権利」です。

 つまり、「意匠登録を受ける権利」をクライアントに譲渡しない限り、デザイナーしか、意匠登録を出願することができません。

 一つ目の解決策は、デザイナー自身が自分のアイデアを意匠登録してしまうことです。

 ただし、クライアントから権利を守るために意匠登録をするということではなく、一緒に開発を進めるために、権利関係の問題をクリアするためにデザイナーが自腹を切って意匠出願をしたという説明をクライアントにする必要があります。

 上記のデザイン契約で、製品化権はクライアントにもありますので、デザイナーが意匠登録をしたからと言って、クライアントに内緒で他のメーカーに製品化権を渡すことはできません。

 あくまで、デザイナーとクライアントが二人三脚で製品化を進めるために、デザイナーが権利関係の問題を担当したというスタンスが大切です。

 意匠登録に必要な費用も大きな金額ではありません。

 (2) についても、デザイナーが意匠登録することで、製品化権に関してデザイナーのほうが若干ですが、有利な立場に立てるようになります。


第二の解決策

 (3) について考えると、クライアントの社長さんは悪い人ではないようですので、今後も波風を立てずに付き合っていくためには、しばらく様子を見るというのも有効な方法のようです。

 今は、他の製品開発に夢中になっていても、2〜3年待てば、こちらのアイデアにまた興味をもつ可能性は充分にありそうです。

 3年以上経っても製品化の動きが見えないようならば、意匠登録をして、社長に事前に断わっておけば、他の会社に提案しても大きな問題にはならないと思います。

 ただし、そのときにもデザイナー側が意匠登録しておくことが必要です。


若手デザイナーの相談に乗ります

 上のような相談を受けて、同じようなことで悩んでいる若いデザイナーが多いのではないかと思いました。

 内容を拙ブログ上で公開しても良ければ、悩みをコメントいただければ、無料で回答いたします。


 ■グローバルテクノロジーデザイン  クリエーター・エンジニアの転職アドバイザー

 ■ビートップ・ツー  工業デザイナーの転職アドバイザー

 ■MATSUKATU dot com  元工業デザイナー松岡克政さんのマインドマップ基礎講座



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 ●新書「デザインにひそむ<美しさ>の法則」(第3刷) 好評発売中

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キーワード
クライアント 工業デザイナー 意匠登録を受ける権利 マインドマップ クリエーター ものづくり
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