WBOスーパーバンタム級タイトルマッチ
プエルトリコのウィルフレド・バスケスJr選手(Wilfredo Vazquez Jr)にメキシコのベテランホルヘ・アルセ選手(Jorge Arce)が挑んだSB級戦は米ラスベガスで行われ、アルセ選手が4回にノックダウンを喫したものの逆転の12回TKOで勝利してメキシカン初の4階級制覇を達成した一戦でした。(体格比較)
スタートからぐいぐい前進して左フックや右ストレートで仕掛けていくアルセ選手。スーパーバンタム級でのアルセ選手の体力不足を懸念した試合前でしたが、体格差体力差はそれほど感じさせない立ち上がりでした。
バスケス選手はフットワークを使いながらアルセ選手の入りに右ストレートやカウンターの左フック、アッパーを合わせていこうとするのですが、アルセ選手のしつこい突進に巻き込まれ気味でなかなか自らの望むボクシングを展開できません。
それでもやはりパワーの差は明白で、下がらされながらもバスケスJR選手の力強いカウンターが入る場面が増えた3回4回。4回の終了直前に左フックをカウンターで決めて鮮やかなノックダウンを奪います。
しかしこの日のアルセ選手の執念は見事でした。5回も開始からプレスを敢行してピンチを切り抜けると6回から再び試合のペースを掌握していきます。ジュニア選手の強いカウンターブローを食う場面も再三見られるのですが、右ストレートリードやそこから返す左フックを振るっての突進を続けてバスケスjr選手を押しこんでいきます。アルセ選手の頭を嫌がる感じで、手数も減り、押し込まれ中に入られてクリンチという場面が増えていった後半戦。
さらに終盤に入って疲れの色も見せ始めたバスケスJr選手で、11回にはアルセ選手の右ストレート左フックでピンチに陥る場面も見せてしまいます。そして最終12回、アルセ選手の右ストレートから返した左フックを食ってロープに詰まり、一気に勝負を仕掛けたベテラン3階級制覇王者の猛攻に晒された場面でコーナーがギブアップしての最期でした。
11回終了までの公式のスコアは107-102アルセ、104-104が2人というマジョリティドローだった模様(リングサイドの記者のスコア)。シロート採点106-102アルセ。
メキシカン初の4階級制覇がアルセ、というのがちと腑に落ちなくもあるんですが、この劇的な勝利での偉業達成に拍手を贈りたいです。
しかし番狂わせが多い最近です・・・
CompuBox Punch Stats: Jorge Arce-Wilfredo Vazquez Jr.
アルセはバスケスJrよりも284発多くパンチを繰り出し42発多いヒットを奪っていた。パワーショット(ジャブ以外)の分野ではアルセ212ヒットに対しジュニア135ヒット。
アルセ選手は57勝(44KO)6敗2分。バスケスJr選手は20勝(17KO)1敗1分。
ボクシング ウィルフレド・バスケス・Jr vs ホルヘ・アルセ
Jorge Arce Stops Wilfredo Vazquez Jr. in a Shocker(Rick Reeno/BoxingScene)
Arce vs Vazquez a Draw at The Time of The Stoppage(Rick Reeno/BoxingScene)
Vasquez Jr. saved by legendary father in 12th round(Steve Cofield/Yahoo! Sports)
写真
Photos: Pacquiao-Mosley Mega Event Gallery, Undercard(BoxingScene)
複数階級制覇
ウィルフレド・バスケスJr対ゾルト・ベダク(2010/05/29)
ウィルフレド・バスケスJr対マービン・ソンソナ(2010/02/27)
ウイルフレド・バスケスJr対ベンジャミン・オロスコ(2007/09/15)
ホルヘ・アルセ対セシリオ・サントス(2010/04/24)
ホルヘ・アルセ対アンキー・アンコタ(2010/01/30)
ホルヘ・アルセ対シンピウェ・ノンカイ(2009/09/15)
ホルヘ・アルセ対フェルナンド・ルマカド(2009/06/27)
ビック・ダルチニアン対ホルヘ・アルセ(2009/02/07)
ホルヘ・アルセ対イシドロ・ガルシア(2008/11/01)
ラファエル・コンセプション対ホルヘ・アルセ(2008/09/15)
ホルヘ・アルセ対デビット・ルックマハナック(2008/05/17)
ホルヘ・アルセ対トマス・ロハス(2007/09/16)
クリスチャン・ミハレス対ホルヘ・アルセ(2007/04/14)
ホルヘ・アルセ対フリオ・レア(2007/01/27)
最近のながれ的にも、なんとなくバスケスJr.もコケるんじゃないかという予感があったんですが、見事にやられちゃいましたね。
ただアルセの執念としつこさはすごかったですね、若手がああいうのを乗り越えれないとほんとに強い選手、スター選手にはなれない気がします。
どうも最近は一歩手前で、うーん・・・っとなっちゃうスター候補選手が多いですね。
バスケスJr.もオルティスのように復活してほしいです。
バスケスJrはそれほどパンチを喰ってなかったと思いますが、アルセのタフネス、頭に辟易として10Rあたりから弱気になってしまいましたね。
アルセはあっぱれ、バスケスJrは精神面での弱さが見えた試合でした。
しかし、メキシカン初4階級制覇はアルセがもっともめがないと思ってました。(私的にはソトが最有力でした)。
アルセは、1階級下げて、日本のあの方に勝てば5階級制覇ですね。サウスポーは大の苦手ですが、突進力で押しきれると思います。
あの方は1階級下げるみたいですが…
どれをとってもそこそこレベルの高い技術はみせますが、どうもこれといった華がない気がしてならないです。
アルセは、玉砕戦法に近いですが、観ていて面白いですし勇敢です。自分のボクシングスタイルの核をちゃんと持っていてそれを貫いている印象が強いかな。
今回、4階級目をGETしましたがSB級で今後どれだけ戦えるかが楽しみです。
ミハレスに敗れて以降、体力的な限界を感じさせる試合の連続でアルセはもう早く引退した方がいい、と思ってた時期がずっとあったのですが、この日のパフォーマンスは本当に見事でした。これしかない、という自分のやり方を貫いての勝利に熱くなりました。
バスケスJrはまだ若いですからね。
親父さんもイスラエル・コントレラスに初回で沈められて完全に終わった、とか思わせてから復活しましたし、まだまだこれからでしょう。
>まっからむさん
アルセはフライ級がポンサクいるのに暫定で防衛続けてたり、スーパーフライも暫定だったり(後からWBO獲りましたが、これも決定戦だった)、ちとケチをつけたくなる部分が多々ある4階級制覇だと思います。
ただ、本当によく頑張ったと思いますしこの日の勝利にはちと胸が熱くなってしまいました。
>ボクシング狂さん
アルセはトップ選手としてのキャリアが長いので大ベテラン、との印象強いですがまだ31なんですよね。
まっからむさんがおっしゃってるように、バンタムに下げて5階級とかもまるっきり可能性ゼロではないかもしれません。
カルバハル渾身の右ストレートで逆転KO!の試合がもう何十年も前のように思えます。
今回のアルセのパフォーマンスは見事でしたが、上述の試合を最後にカルバハルが引退したように、
アルセも引退をお勧めしたい……ですが、まあ辞めないでしょうね。
それにしてもアルセの肉体作り、上の階級でのフィットネスには感心しました。
日本のボクサーもこの肉体作りはもっともっと研究しないといけないなと思います。
アルセのここ最近の試合を見ていなかったのですが、この日は体力不足をほとんど感じなかったのが意外でした。バンタム級やスーパーフライでも体力不足を感じたので。
しかしこのスタイルでタフな試合もいっぱいやってきているアルセがキャリアのこの時期でこういった勝利を掴むんですから本当にたいしたもんだと思います。
久しぶりに興奮した試合を見せて頂きました。アルセはお世辞にもきれいなボクシングとはいきませんが、一昔の韓国人的なスタイルですね。
自分は打たれてもとにかく「攻撃は最大の防御なり」と言わんばかりのそれで人気を博してるのも十分理解できます。
それにしても、バスケスjrのオヤジさんは、自分がロハスと戦った試合を思い出したのではないでしょうかね。今回の様に採点は接近はしていなかったですが、かなり不利な展開にもかかわらず、逆転で勝った試合が皮肉にも息子が味わうなんて夢にも思わなかったでしょう。
アルセは是非日本に来てほしい選手ですね。日本人が大好きなスタイルなんでしょうから、人気が出ることは間違いないと思います。
タフな戦いや挫折を乗り越えて晩年でまた大きく花を咲かせた親父さんでしたし、ジュニアもこんな1試合ぐらいでヘコまないで欲しいです。
これからっすよ。
地元で人気の高いアルセですが、モンティエルやジョニゴンが来たことを考えれば可能性なくはないですよね。日本人選手との絡みはぜひ見てみたいところではあります。